傷の治癒と必要な栄養素:その1
からだの中の細胞と同様に、 骨の基質を形成している細胞群は、 絶えず死んで新しく再生を繰り返している。 タンパク質とその利用に必要な栄養素類のどれかが不足すると、 また、結合組織の形成に必要不可欠なビタミンCが、しっかりとれないと、 骨の発育や修理は停滞しがちになる。 もしもこれらの栄養素類が欠乏すると、 非常に数多い細胞群が壊死するので、 その周辺のカルシウムは溶けて、骨は弱くもろくなっていく。 溶けたミネラル類は血中に出てきて、尿から失われやすい。 しかし全ての栄養素を補給すれば、その補修と再生は直ちに始まる。 骨折等をすると、骨折したと言う事のストレスの他に、 体の一部または全部が動けないと言う二重のストレスのために、 脳下垂体や副腎のホルモンが盛んに分泌されるので、 大量のタンパク質が破壊され、 その他の栄養素も著しく尿から失われてしまう。 骨折の修復のためには、大量のタンパク質、小麦胚芽、 ビタミンCとパントテン酸、カルシウム、マグネシウム、 ビタミンD、植物油、レシチンを特別にとる必要がある。 なかなか骨折の治癒が進まなかった55人の患者に、 タンパク質の大量投与(150g/日)をして、 速やかに完全に治った例が報告されている。 一方、周辺の組織が損傷している場合は、ビタミンEが有効で、 その大量投与は、はん痕の生成やこわばりを防ぐ。 傷が治る早さは、結合組織の生成に支配される。 その結合組織は、主にタンパク質から出来ているが、 生成時には、多くのビタミンCが必要となる。 多くの研究で明らかにされているが、 傷の治る速度と結合組織の引っ張りの強さは、ビタミンCの摂取量に比例する。 従って、ビタミンCを大量(1000mg以上)に与えると劇的な結果が得られる。 ビタミンEの補給が十分(200mg/日)で有れば、 傷跡にはん痕を残しにくくなり、外科手術の傷口がケロイド組織を作る事も少なく、 ただ薄くて柔らかい線を残すだけで異常な癒着は防げる。 また、はん痕組織の収縮による痒い引きつれる痛みは、起こらなくなる。 また、ビタミンEは酸素の要求量を減らす効果があるので、 切れたり押しつぶされた血管や、火傷を受けた損傷の部分で壊死する細胞の数を減らして、 新しい血管の再生を促すのに著しい効果を発揮する。 必須脂肪酸 (大豆油、小麦胚芽油などに特に多く含まれる不飽和度の高い脂肪酸、魚や鳥肉にも多く含まれる) なしには、新生細胞は作れない。 傷の場所で作られる結合組織の強さは、 ビタミンCとタンパク質の摂取量に比例する。 しかし、傷の治療に必要なタンパク質は、 ビタミンB2、B6、葉酸、銅、マグネシウム、 その他の栄養素を含む酵素が共存する時に限って良く合成できる。 また、ビタミンAもこの結合組織の生成に一役を演じている。 ビタミンB2が不足する場合は、傷が治るにしてもかなり手間取る。 この様に各種の栄養素が十分に補給できないと、急速な回復は望めない。 一つの栄養素が欠乏しただけでも、傷の治癒が妨げられる。 参考文献 「健康への道」アデル・デービス著
傷の治癒と必要な栄養素:その2 タンパク質 人体を構成するほとんどの部分、 皮膚、筋肉、神経繊維、骨、血管、紙の毛、爪、内臓、血液、 消化液などの主成分はタンパク質です。 人間の細胞は、毎日少しずつ古い細胞と新しい細胞が入れ替わっています。 これを新陳代謝と言い、不可欠な物質がタンパク質です。 例えば肝臓の細胞は2~3週間、 血液は3~4カ月、筋肉は7~8カ月と言うように、 皮膚、髪の毛、爪など全て入れ替わります。 替わりにくい骨でも、2年半でほぼ全体が作り替えられます。 つまり古い細胞は死滅していくので、 新しいものが追加されないと細胞が減り、体全体の維持にも影響します。 このほか毎日どんどん消費されているタンパク質もあります。 消化液は使われて大便と一緒に排泄されていきますし、 女性の場合は毎月の生理などで血液と一緒に体外に出ていきます。 エネルギー源として使用されるものもあります。 これで毎日タンパク質を補給しないと、 健康で若々しい体を維持できない事が分かります。 毎日補給するタンパク質は、良質である事が望ましい。 タンパク質の質の良さはタンパク質を作っているアミノ酸の質や量によって決まります。 タンパク質は約20種類ものアミノ酸がいろいろな形で組み合わされて出来ています。 その組み合わせの種類で、牛肉のタンパク質、卵や大豆のタンパク質といったように、 数限りない種類のタンパク質が形成されています。 私たちは、食品中のタンパク質を消化作用によってアミノ酸以下までに分解し、 これを原料として私たち自身に必要なタンパク質を作り出しています。 約20種類のアミノ酸のうち8種類は、体内で合成する事が出来ず、 食物で必ず摂取する必要があります。 これらを必須アミノ酸と言います。 タンパク質の質の良さはこの必須アミノ酸を全てバランス良く含んでいるかで判定します。 タンパク質の質の良さを表す指標にアミノ酸スコアというものがあります。 アミノ酸スコアは100に近い数値ほど良質のタンパク質と言えます。 動物性食品の卵や、人乳、牛乳、牛肉、魚肉(あじ)は、アミノ酸スコアが100です。 また、植物性食品の大豆は86、豆腐は82、精白米は65、小麦粉は44、ほうれん草は50です。 こうしてみると、良質のタンパク質をとるには、 動物性食品を多くとった方がアミノ酸スコアが高いので良さそうに思えます。 しかし、動物生食品には中性脂肪やコレステロールが多く含まれているので、 高カロリーになって肥満や成人病にもつながりやすいのです。 例えば牛肉100gでは、タンパク質は16.2gしかありません。 卵は、6.1gです。 普通の人はタンパク質を1日に体重の千分の一、 つまり、体重が60kgのひとは、60gのタンパク質が最低限必要と厚生省が指導しています。 けがをはやくなおすのに150gのタンパク質を採ると良いという事になると、 普通の食品だけでまかなおうとすると、 結構気合いを入れて、食べる必要があります。 そして、その結果デブになります。
ビタミンC タンパク質とビタミンCをたくさん採ると良いと言うのは、 この二つが結びついて、 コラーゲンという、細胞同志をくっつける繊維の役目をする物質を作るからなのです。 そこで、タンパク質が足りたら、ビタミンCと言う訳なのです。 必要所要量(これ以下だと病気になる)は、50mgです。 一般の日本人のビタミンCの摂取量は117mgです。 しかし、タバコを一本吸うと25mgのビタミンCが失われてしまいます。 タバコを3本吸えばそれでおしまいです。 最近の日本人は、ビタミンCの9割方を、野菜と果物からとっています。 果物で、3割、緑黄色野菜で3割、その他の野菜で3割です。 以前は、果物をもっと多くとっていたのですが、最近は果物離れが目だちます。 50mgのビタミンCをとるには、夏みかん1個、または、グレープフルーツ1/2個必要です。 1000mgのビタミンCをとるには、夏みかん10個必要となります。 また、全ての果物に、ビタミンCが含まれている訳ではなく、 葡萄や梨、すいかやバナナには殆ど含まれていません。 トマトやキュウリ、にんじんなどでみてみても、 昔とずいぶん味が変わった事に気がつきます。 夏に塩をかけて丸かじりしたトマトの味、 キュウリも昔は曲がっていて、ヘタの所が苦かったのが、今では苦く有りません。 にんじんも、にんじん臭さがなくなっています。 また、最近は旬でなくても色々な野菜を食べる事が出来ます。 品種改良や温室の普及がこの原因です。 品種改良をして、食べやすくした事により、 野菜のビタンミン含有量が昔の半分以下になっています。 更に、温室により日光のある波長が遮られる事と、 育成状態の変化により、更に、栄養素が減っています。 なぜ、これを許したか、 農家が、栄養の事よりも、売れる野菜を如何に作るかに専念したためです。 だから、うちは家庭菜園で作っていると言っても、 元の種が既に品種改良されてしまっているのです。 昔の倍野菜を食べようと思っても昔より胃が大きくなっているわけではないので無理だし、 多く食べれば太り、成人病の原因となります。 この事実は、今と昔の「食品成分表」と言う本を見比べればすぐに分かります。 更にこのことは、栄養士の人は知っていますが、 彼らの主な仕事は、栄養素の計算より、 カロリー計算や塩分計算に追われているのが事実です。
カルシウム 次に、カルシウムの話です。 骨は、主にタンパク質とカルシウムとリン酸塩で、 構成されています。 いちばん多い成分は、タンパク質なのです。 他の組織の細胞が次々に入れ替わっているのと同様に、 骨も、それを構成している細胞は、破骨細胞というものにより、 壊されその部分に新しい骨の細胞が発生し、骨が形成されています。 体の細胞のほとんどは入れ替わっています。 仮に、骨を構成している細胞に、a君、b君、c君・・・・・・と名前をつけて行ったすると、 a君細胞は、今日、骨に別れを告げて卒業して行った、 b君は明日、c君はあさってとか、そして、2年後、 骨の細胞を見てみると、 2年前にいた細胞君達は全員卒業しての 新しい細胞君達がそこにいたと言う事になるのです。 新しい細胞君達は、どこから来るか。 それらは、口から入る食べ物の中に、違う姿で入っていて、 噛み砕かれ、消化・吸収され、血液に乗って運ばれてきたのです。 今の自分の体の中の骨のある細胞p君の一部分は、 一昨日食べた納豆の中に入っていたものかも知れないのです。 人間の体の中のカルシウムの99%が、骨に蓄積されています。 残りの1%が血液の中に含まれています。 この血液中のカルシウムのが人間の生理作用に大きく影響を与えています。 だから、血液中のカルシウム量が減ると、 骨の中のカルシウム分を溶かし、血液中のカルシウム濃度を調整します。 よって、食べるカルシウムの量が少ないと、 骨がどんどん溶けて行きます。 そして一度溶け出すと、血液中のカルシウム量が十分になっても、 なかなか溶けるのが止まりません。 現代の日本人のカルシウムの必要所要量(これ以下だと病気になる)は、 600mgなのですが、摂取量は537mgで、慢性的な不足状態です。 せっかく骨になったカルシウムが、どんどん溶けて行ってしまっています。 さらに、この骨を溶かす事に拍車をかけているものがあります。 それは、食品添加物の中に含まれるリンです。 リンが血液中に多くなると、リンの量とカルシウムの量とのバランスをとるため、 骨の中のカルシウムが溶け出します。 現在は、食品の鮮度を落とさないようにするため、 大量のリンを含む食品添加物オンパレードの時代です。 清涼飲料水、魚介類、おでんの種に代表される練り製品には 特に多く使われています。 体にとっていけない現象です。 カルシウムについてもう一つの問題があります。 それは食品中のカルシウムは体に吸収されにくいということです。 200g、約コップいっぱいの牛乳の中に約200mgのカルシウムが含まれています。 だから、一般的には、それだけで、 一日の必要所要量の三分の一のカルシウムが取れると勘違いされています。 ところがそのカルシウムの吸収率が、40%つまり、200mg×0.4の80mgしか、 吸収されないのです。 乳製品中のカルシウムの吸収率がいちばん高くて40%、 魚類は20%、ひじきや野菜類ではそれ以下なのです。 さらに、カルシウムの吸収には、活性化したビタミンDが必要です。 食品の中からビタミンDをとり、日光に当たると活性化されます。 一日30分以上の日光浴が必要です。 家の中にいては日光浴の時間が足りません。現代のサラリーマンは、 体を洋服で囲って、日差しの強くない朝に駅まで歩いて行って、 建物や車の中で過ごし、暗くなってから帰ってくる。 これでは、ビタミンDが十分に活性化されません。 それから、運動が重要です。 運動はカルシウムの吸収と蓄積を促し、骨を強くします。 重力を感じるような運動が最も効果的です。 強い運動である必要はありません。 日常の中で歩く機会を作る事が大切です。 というように、一般の食品だけでは、十分な栄養素が取れません。 そこで、栄養補給食品が必要となってくるのです。 むかし、味の素を入れるとおいしくなると言うので、 味の素がたくさん使われました。 ところが、最近では、それが体に悪いという事で使われなくなっています。 味の素の成分のグルタミン酸も合成品より、普通の食品からとった方がよいわけです。 どうように、ビタミンやカルシウムなどのミネラルも食べ物からとった方がよいわけで、 一般のビタミン剤や合成の栄養補給食品では良くないわけです。 おだいじに |