治療薬
1:コルヒチン
2:IL-1製剤 コルヒチン耐性FMFの代替薬として期待されている(日本ではFMFに対しては未承認)
3:IL-6製剤 IL-1が使えないため、IL-1の代替薬として日本ではIL-6アクテムラなどを使用している。
有効との報告もあり代替薬の可能性の一つとして考えられています。
第一選択肢コルヒチンの話
日本だけでなく全世界において、FMFの第一選択肢はコルヒチンというアルカロイド系の薬剤です。以前は痛風やリウマチでよく使用されていましたが、副作用が強く現在はあまり使用されていません。コルヒチンの成人服用量は一般的に1~2㎎/日が多いようですが、不完全型はコントロールがしにくい事から成人最大量の2.5㎎/日で服用する場合もあります。また小児の場合は体重に応じて量を調整します(0.02~0.03㎎/kg/日)
不完全型は典型例に比べ、多くのコルヒチンを使用しないと効果が得にくいと言われていますが、副作用との兼ね合いもあるので量の調整と自分にあった飲み方の工夫をしていく事が重要です。
FMFの特効薬であるコルヒチンですが、服用の仕方に特徴があります。痛風などのように発作の前兆を感じた時に服用するのではFMFでは十分な効果が得られません。常用する事で血中濃度を一定に保ってはじめて炎症発作の抑制につながります。また症状の抑制だけでなく、アミロイドーシスの予防の為にも服用は必要で診断がついた場合は一生涯服用する事になります。
コルヒチン自体の一日の最大投与可能量は4㎎/日ですが、FMFにおける日本人成人の最大投与量は2.5㎎/日となっています。典型例では0.5~1㎎/日で効果が十分な効果が得られる症例が多いですが、不完全型では2㎎/日以上の服用でようやく効果が発揮される事も多いようです。
コルヒチンだけで十分な効果が得られないケースではコルヒチンとNSAIDsの組み合わせにて対応していく事になります。この組み合わせに関しては個人差があり、「コルヒチン+ロキソニン」「コルヒチン+ステロイド」「コルヒチン+リリカ」など自分に合った組み合わせと飲み方・量を主治医と相談しながら見つけ出すしかありません。
また日本では少ないようですが海外の文献では炎症発作時は最大量を服用し、炎症発作が落ち着いた後に減薬していくといった方法もあり、常用0.5~1mg/日、炎症発作時には追加で0.5mg服用するといった処方がされるケースもあるようです。日本においてはまだ症例が少なく、実際診断治療にあたっている現場の医師も少ない事から各主治医によりコルヒチン投与に関する認識の違いや使い方の指導にはまだまだばらつきがあります。
服用方法に関しても主治医により指示が違う事もあり、FMF患者同士でも違った服用法、認識の差があります。
今後診療の現場でFMFへの認識が広まるとともに、コルヒチン投与への統一した指針が広まる事を期待されます。
また各文献などでは「コルヒチン服用により顕著な効果がある」とされていますが、症状・作用の出方など個人差が大きい為「どの程度の投与量でどの程度の期間」など具体的に明言されておらず他の症例が参考にならない事もあり折角の特効薬でありながらも当事者の不安は尽きません。
今後効果の判定・試用期間などについても典型例・非典型例共に明確な参考例が示される事が期待されます
コルヒチンの副作用
有名な症状では消化器症状(下痢・嘔吐)、脱毛、白血球減少、肝機能障害、咽頭痛、蛋白尿などがあげられます。長期に渡り服用を続けていくうえでコルヒチンの副作用を確認するためにも定期的な検査、3か月ごとの効果の査定が必要になります。。またこれらの副作用は服用中止や服用量を調整することで改善されます。
しかしコルヒチンに限らず、長期間服用を続けていた薬を急に完全にやめてしまう事でリバウンドの危険性があります。安全の為にも主治医と相談の上、少ずつ減薬をしていく事が望ましいと思われます。
※コルヒチンを服用時に禁忌とされている事※
1)グレープフルーツは血中濃度を高め中毒症状を起こす危険があります。
日常生活で少量摂取するだけでは危険はないと言われていますが、個人の体質によりコップ1杯分の果汁100%ジュースを摂取して体調を崩してしまった当事者もいます。
絶対に禁止というわけではありませんがこういった可能性も考慮の上、くれぐれも摂取量には気を付けて下さい!
食べ合わせや薬剤との飲み合わせ次第では危険も生じるので必ず医師・薬剤師に相談してください!
2)妊娠とコルヒチンの関係
男女ともに服用中の妊娠は催奇性があると言われています。妊娠を希望する方は一時断薬が必要となる時期がありますので、必ず主治医と相談してください。
ただし決して妊娠・出産はできないという事ではありません!FMF当事者で妊娠出産された方は多数いらっしゃいます。ただし年齢問わずハイリスク出産となりますので、正しい知識を持って主治医他医療者との協力の元で計画を立ててください!!
コルヒチンの飲み方
コルヒチンの服用を始めて多くの人がまず悩むのは副作用の存在です。
「下痢が酷く仕事にならない」「コルヒチンを飲むと怠い」という声をよくお聞きします。副作用は個人差があり、0.25㎎/日でも重大な副作用が出来る人もいれば2.5㎎/日でも全く副作用なく過ごしている人もいます。せっかく診断がつきコルヒチン服用の治療が始まっても副作用が酷く生活が出来なくないのは辛いものです。コルヒチンは服用して血中濃度が上がり効果が出るまで2~3時間かかり、少なくとも5~6時間は持続します。一気に血中濃度をあげると副作用が出やすくなるので、分配して服用する事で急激な血中濃度上昇を避け副作用を防いだり軽くすることが可能です。
飲み方に関しては主治医の指示もあると思いますので相談してみてください。
また是非薬剤師に相談してみてください 。分配方法を変えただけで副作用が軽減した方も多くいます。
コルヒチン服用後の事
コルヒチンの服用を始めると血液に副作用がでていないかの確認の為に定期的な検査が必要となります。
その際に多くの当事者が経験している事として「炎症反応が出なくなる」という現象があります。実際に症状や発熱が起こっているのに検査してみるとCRPは正常値だったりわずかな上昇だけだったりするのでこの検査結果を見て「炎症反応がないのに、なぜ症状が出るのか?」と不思議に思う先生も多いようです。しかし数値に出にくくなっただけで、実際体の中ではちゃんと炎症発作は起こっています。もしCRPの反応が出にくくなったときは血沈を確認してください。血沈ではちゃんと高値の反応が出ている可能性があります。
また内科的には炎症反応が確認できなくても眼科では確認できる場合が事あります。FMFの症状の一つに「眼症状」があります。「家族性地中海熱」は以前「全身性漿膜性炎症症候群」という名称で呼ばれていました。その名の通り、全身の漿膜(腹膜・胸膜・結膜・関節滑膜など)に炎症を起こす可能性があります。中でもぶどう膜炎は眼の症状として自覚症状だけでなく、外部からも確認しやすい部位であり眼科の検査で直接炎症の有無を確認できる部位でもあります。もし「まぶしい」「急に視力が低下した」「眼が痛い」「視界に光が見える」「視界が白くぼやける」などの症状があった時は、必ず眼科を受診して炎症の有無を確認してもらってください。
脱毛・髪の悩み
コルヒチンの服用量を増やしたら、脱毛・白髪が酷くなったという話もよくお聞きします。また髪質が変わってしまい剛くなったという悩みもお聞きします。コルヒチンは「細胞分裂を阻害する」性質があります。コルヒチンは微小管の機能を阻害し白血球の遊走能力を阻害する事で炎症発作を予防します。しかし微小管は細胞分裂に欠かせない細胞であり、細胞分裂も阻害してしまう事で脱毛が起きます。
妊娠中のコルヒチン服用に関して、海外の文献ではダウン症をはじめ発生率には大きな差はないと報告されています。しかしダウン症等の染色体疾患はコルヒチン服用の有無に関係なくある程度の発生率で起こる可能性があります。妊娠中に発作を起こすと腹膜炎など炎症の影響で流産する事もある為、欧米では妊娠中もコルヒチンの服用を推奨していますが、日本では妊婦へのコルヒチン投与は禁忌となっています。なおFMF当事者の女性の妊娠出産は年齢状態問わずハイリスク扱いになります。主治医とよく相談し、実際の発作状況や母体と胎児への影響を考慮した上でどうするか考えることが大切です。
コルヒチン服用中の母乳ですが、確かにコルヒチンはでるようです。
ただし乳児が母乳を飲む事で摂取するコルヒチンの量は、体重あたりで母親の1/10となります。これは実際さほど多い量ではありませんが、これを多いと考えるか、問題ないとするかは難しいところです。現在は乳児にその母乳を投与する事による影響が全くないとは言い切れません。人工乳ではこうしたリスクの可能性を排除できるので、人工乳を使うという選択肢も考慮してください
FMFと不妊・妊娠の関係?!
FMFは10代で発症する事が多い為、女性当事者にとっては結婚、妊娠に不安を感じている方もいるかもしれません。中でもFMFは不妊症になりやすいといわれており、実際悩んでいる当事者もいらっしゃいます。
では何故FMFで不妊症になりやすいのでしょうか?残念ながら詳しくはわかっていないのですが「繰り返す腹膜炎症状による腹膜の癒着」「卵巣へのアミロイドの沈着」が原因ではないかと考えられています。
「腹膜炎症状の抑制」「アミロイドの沈着を防ぐ」その為には現時点ではコルヒチンの服用しかありません。
先述したようにコルヒチンには催奇性があります。しかしだからといってコルヒチンを服用せず炎症を繰り返していると腹膜炎による癒着で妊娠しにくい状態になってしまいます。そこで妊娠を希望される場合は全てにおいての計画と主治医をはじめとする医療チームの協力が必要となります。妊娠に際してはまず通常よりコルヒチンを服用する事で炎症を抑制し腹膜の癒着を防いでおく事が重要となります。妊娠を希望するまでは炎症を抑制し妊娠に適した状態を作っておく必要があります。そこから計画的にコルヒチンを減薬していき3か月~半年かけて体内からコルヒチンを抜いていきます。その状態なら妊娠してもコルヒチンによる催奇性の心配はありません。妊娠後は、妊娠初期~中期にかけては胎児にとって重要な時期です。コルヒチンは胎児には影響はないといわれていますが、多くの当事者は「もしかしたら影響が出るかも…」との心配から発作が起きてもコルヒチンを服用せずロキソニンなどで対応しているようです。
FMF患者の妊娠出産は年齢にかかわらずハイリスク扱いとなります。コルヒチンの服用により不妊の合併を減少する事が判明していますし、妊娠希望の方は早めに主治医と相談し服用量の調整・減薬・出産方法を含め計画的に準備をしてください。
※コルヒチンの副作用により亜鉛の吸収障害が起こり「味覚障害」を起こす可能性があります。
もし上記の症状でお悩みの方は可能性がある事を主治医に報告の上、血液検査にて確認をしてもらってください!
亜鉛不足の場合は亜鉛投与で改善されるとの報告もあります。