ホワイトニングは、「歯を溶かす」「歯の神経を傷付ける」などと誤解していませんか? この記事では、自宅でできるホワイトニング方法と歯科医院で行うホワイトニングの種類やメカニズム、ホワイトニングの歴史などを解説します。まずは、ホワイトニングを正しく理解することから始めましょう。

歯のホワイトニングを自宅で手軽にする方法

自宅でできるホワイトニング方法をご紹介します。

市販のホワイトニング歯磨き粉

ホワイトニング歯磨き粉の主な働きは、研磨剤によって歯の表面を削り、着色部分を除去することで白くするというものです。そのため、歯の本来の色を白くする効果はありません。また、粗い研磨剤が配合された歯磨き粉を使用して強めにブラッシングをくり返すと、エナメル質が薄くなり、知覚過敏の原因になることもあるため、使用には注意が必要です。

歯のマニキュア

爪のマニキュアと同様、白色の専用塗料を歯の表面に塗布する方法です。差し歯や銀歯、神経を抜くなどして濃い色に変色した歯など、一般的なホワイトニングでは、白くすることができないといわれる歯でも白くできることがメリットです。

セルフで行う場合、ドラッグストアなどで販売されている歯のマニキュアを購入し、自分で歯に塗布します。いつでも手軽にできるなどのメリットがある反面、持続期間は基本的にその日一日と短いなどのデメリットもあります。

歯科医院で行うホワイトニング

ホワイトニングには、歯科医院にてホワイトニング剤を塗布して光を当てる「オフィスホワイトニング」と、自宅にてホワイトニング剤を塗布したマウスピースを数時間に渡り装着する「ホームホワイトニング」、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する「デュアルホワイトニング」があります。

ホワイトニング剤の成分は過酸化水素や過酸化尿素

一般的に、オフィスホワイトニング剤には、主に過酸化水素、ホームホワイトニングでは、主に過酸化尿素が使われています。

過酸化水素は強い漂白作用を持ち、以前は食品やコーヒーフィルターなどの漂白に用いられていましたが、マウスによるがんの報告があってから日本では、数の子の加工に使用する以外は使用が禁止されています。ただし、その後の研究では、発がん性は認められず、ホワイトニングによる発がんの証拠はないという研究結果も発表されています。

過酸化水素は短時間で強い効果を示しますが1時間ほどで効果は消滅し、逆に過酸化尿素は穏やかな効果が持続する特徴があります。

ホワイトニングの種類1 オフィスホワイトニング

歯科医院で行う歯のホワイトニングのことを「オフィスホワイトニング」と呼びます。

オフィスホワイトニングでは、過酸化水素(濃度30~35%程度)を含むホワイトニング剤を歯に塗布し、LEDやレーザーなどの光を当てて熱を加えることで、過酸化水素が酸素と水に分解。この時に発生した酸素がエナメル質のペクリル層(唾液中の糖タンパクなどにより形成される薄い被膜)やプラーク(歯垢)層といった有機物と結びつき、色素を無色透明に分解します。

特殊な光には、ハロゲンライト、アルゴンレーザー、スピードホワイトニング、FAPホワイトニング、プライトスマイル、ZOOM、ビヨンド、LEDなどの種類があります。

ホワイトニングの種類2 ホームホワイトニング

自宅で行う歯のホワイトニングのことを「ホームホワイトニング」と呼びます。

専用のマウスピースの中にホワイトニング剤を入れ、家で毎日、最大2時間装着(夜間の就寝中に装着するタイプもあります)。海外のものをネットで購入(既製のマウスピース付き)して自分で行う方法もありますが、基本的には歯科医院でマウスピースを作ってもらい、専門家の指導のもとで行うのがベストです。

ホームホワイトニングでは、過酸化尿素を含むホワイトニング剤を使用します。過酸化尿素は自然分解して、過酸化水素と尿素に分かれ、過酸化水素が前述のような漂白作用をゆったりともたらします。

ホワイトニングの種類3 デュアルホワイトニング

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法を「デュアルホワイトニング」と呼びます。

まずは歯科医院でオフィスホワイトニングを行い、その後(24時間以上経ってから)、自宅でのホームホワイトニングを実施。それぞれの長所を活かしながら、より効果的にホワイトニングを行っていきます。

それぞれの方法に、メリット・デメリットがあります。詳しくは『ホワイトニングの種類とメリット・デメリット』で解説していますので、メリット・デメリットをよく理解し、自分の目的(いつまでに白くしたいかなど)やライフスタイル(毎日2時間の装着が可能かなど)に合わせ、もっとも最適なのはどの方法か、よく検討してみましょう。

さらにマスキング効果で歯を白く見せる

エナメル層を漂白しただけでは、歯は白く見えません。その理由は、歯の色はエナメル層の内側にある象牙質(黄色みがかっている)の色が透けて見えることで決まるからです。日本人はこの象牙質の黄色みが強い傾向にあり、また、加齢などによってエナメル層がすり減ると象牙質の黄色みが透けて見えやすくなります。

そこで大切になるのは、過酸化水素が分解してできる酸素による「マスキング効果」です。エナメル層は無数の小柱が束になってできていますが、酸素はこの小柱の構造を角状から球状に変化させます。これをマスキング効果と呼びます。

小柱が角状だと光が通過しやすく、象牙質の色が透けて見えて歯は白く見えません。ところが、球状になると光が乱反射し、象牙質の色を覆い隠して、歯が白く見えるというわけです。これは、すりガラスが白く見えるのと同じ原理です。

ホワイトニングの安全性

ホワイトニングは、さまざまな大学(ニューヨーク大学、ニュージャージー医科歯科大学、ロマリンダ大学、昭和大学、日本大学、岩手大学など)の研究結果によって安全性が確認されています。近年、繰り返し行われた研究により、発がん性がないことも証明されています。

たとえば、「オフィスホワイトニングの光が歯の神経を損傷するのでは」という誤解がありますが、たしかに照射方法によっては温度が50度近くになる場合も。ただし、ホワイトニング剤を1~2mmの厚さで塗るため、熱が歯の神経まで届くことはありません。

また、「高濃度の薬剤は歯を溶かす」というのも間違った認識です。pH5.5を下回る飲食物は歯のカルシウムを溶かす「脱灰」を起こしますが、口の中のpHが中性に戻ると唾液中のカルシウムが歯の表面に吸着する「再石灰化」が起こり、ホワイトニングや飲食物によって歯が溶けることはありません。

アメリカのFDAが認可(または日本の厚生労働省が認可)したホワイトニング剤を使い、歯科医院による施術や指導によって正しく行えば、ホワイトニングは決して危険なものではないのです。

ホワイトニングの効果を保つために

せっかくホワイトニングをしたのに、その後すぐに歯の色が元に戻ってしまったというケースを聞きますが、それはメンテナンスの方法に原因があるかもしれません。ここでは、後戻り防止のためのホワイトニング後のメンテナンス方法についてご紹介します。

ホワイトニング後24時間の再着色

ホワイトニング終了から24時間以内は、着色しやすいといわれるタバコ、コーヒーや紅茶、日本茶、ワイン、着色料が含まれるケチャップやソースなどの調味料は、できるだけ避けるようにしましょう。

普段の生活の中での自然な後戻り

食後のブラッシングをかかさないことはもちろんですが、この時に着色を防ぐ歯磨き粉を使用するのも効果的です。

日本では、ホワイトニング剤と同様の成分(過酸化水素や過酸化尿素)が含まれた歯磨き粉の販売は認められていません。しかし、それ以外の科学的に色素を分解する作用がある成分が含まれた歯磨き粉はあります。

また、自分では、落とし切れない歯の表面に付着する汚れを、歯科医院にて定期的にクリーニングしてもらうのもおすすめです。最近は、専門家(歯科医や歯科衛生士)による歯のクリーニングのことをPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)と呼ぶこともあります。

ホワイトニングの歴史

歯を白くする研究が始まったのはかなり古く1800年代中頃。当初はミョウバンを、途中からは酸を使って歯のエナメル質を溶かして白くしていたといいます。

アメリカでのホワイトニングの歴史

1918年にホワイトニング剤に光を当てるオフィスホワイトニングの原型が開発され、1968年には歯肉炎の治療に使用していた過酸化尿素に歯を白くする作用があることがわかりましたが、実用化されるのはまだまだ先。

初めてのホームホワイトニング剤「White Brite」が商品化され、アメリカの歯科医院での使用が始まったのは1989年のことです。

このホームホワイトニングは、「歯を削らずに白くできる」と話題になり、アメリカ人の間で瞬く間に普及しました。その後、さまざまな改良を加えたホームホワイトニング剤が登場していますが、アメリカでは、低濃度のホワイトニング剤は化粧品として扱われ、ドラックストアで気軽に購入できるのも普及率を高める要因に。

一方、ホワイトニング剤に光を当てるオフィスホワイトニングが開発されたのは1991年。過酸化水素を使用したホワイトニング剤「ハイライト」を歯に塗り、ハロゲンライトを照射するというものでした。その後、ホワイトニング剤は改良され、光の照射方法もレーザーやLEDなどへと進化しています。

アメリカのホワイトニング普及率(歯科医院で扱う率)は、1999年に90%以上、2003年には100%に達しているといいます。

日本でのホワイトニングの歴史

オフィスホワイトニング剤で厚生労働省の認可がおりたのは

・1998年に「ハイライト」

・2006年に「ピレーネ」

・2010年に「ティオン・オフィス」

の3種類(2011年現在)。ただし、ピレーネは薬剤の濃度が低くすぎてあまり効果が得られないことからほとんど普及せず、ハイライトはかなり古い商品のためアメリカではすでに販売中止に。

ホームホワイトニング剤で厚生労働省の認可がおりたのは

・2001年に「NITEホワイトエクセル」

・2005年に「ハイライトシェードアップ」

・2006年に「オバールエッセンス10%」

・2009年に「ティオンホーム」

の4種類(2012年現在)。アメリカでは、15%、20%といった高濃度のホームホワイトニング剤が使われますが、日本で認可されているのは濃度10%です。さらに、日本のドラックストアでは、ホワイトニング剤が配合されたものは濃度にかかわらず販売ができません。

薬事法が厳しい日本では、認可が取りにくく、やっと許可された頃はすでにその薬剤は古くなっていて、新たに改良された薬剤が登場しているといった状況に。

このような背景に加え、ホワイトニングは「歯を削って傷付けるのではないか」といった間違った認識を持つ人も多く、日本の歯科医院での普及率も40%程度といわれています。

しかし、最近は、ホワイトニングサロンやホワイトニングを扱う歯科医院も徐々に増加。日本では、認可されていなくても、アメリカの厚生労働省とも言えるFDAが認可した新しい薬剤をいち早く輸入し、より改良が加えられて歯を白くする効果が高まったり、知覚過敏を抑える薬が配合されていたりと品質・安全性が高まったホワイトニング剤を利用する歯科医院もあります。