コミュニティ領域
皮膚障がいをお持ちの方へ向けた「美容ノウハウ」の開発

メディカルソワンエステティック

カネボウ化粧品では形成外科における植皮後等の後治療として行なわれる「形成リハビリテーション」の一環として、医師の指導のもと、「メディカルソワンエステティック」を開発し、医療施設において技術指導および化粧品を提供することで、患者さんが充実感や満足感をもって日常生活を送っていただくサポートに取り組んでいます。

皮膚障がいをお持ちの方のクオリティオブライフを美容ノウハウでサポート

ソワンとは、フランス語で“手入れ、心遣い”という意味です。カネボウ化粧品では、一人ひとりの異なる心・肌・体の特徴、状態を大切にし、くつろぎを与えながら、健康で美しい状態へと導くという気持ちをこめて、“ソワンエステティック”を提唱しています。
メディカルソワンエステティックとは、その中で特に、形成外科による植皮術等の後療法の一環として行われるソワンエステティックのことです。生まれつきのあざ、唇裂、有毛性母斑や、不慮の事故による熱傷・外傷によって、容貌・容姿を損なった方々に対して、植皮等の外科的処置を施したあとのスキンケアとして行います。

メディカルソワンエステティックは、医師の治療方針に従って施されるco-medical※の一部です。その施術はエステティシャンが行います。
エステティシャンは、エステティック施術のほか、家庭でのスキンケア指導や個性を引き出すメイクアップ指導を行います。また、カウンセリング、スキンケア、メイクアップなどの施術を通して、外見を損なった方の悩みを理解し、深い信頼関係を構築することによって、容貌・容姿に対する自信の回復を図り、QOL(クオリティオブライフ)の向上につながるように努めています。

  • ※co-medical(コ・メディカル)とは、本来、医師、または医師・看護師以外の医療分野である、薬剤・歯科衛生・理学療法・作業療法などの分野を指します。カネボウ化粧品では、さらに医療と関連付けたエステティック、アロマテラピーなどを含めた領域もco-medicalと位置づけています。

メディカルソワンエステティックの技術

メディカルスキンケア

メディカルスキンケアは、エステティシャンが「機器」と「化粧品」を使用し、さらにエステティシャン自身の「手技」によって、植皮、瘢痕、レーザー治療後の硬さ、縮み、シワ、乾燥、色素沈着などに対するスキンケアを行う技術です。この施術は、治療により症状が安定した後の肌をよい状態に維持するという役割を持っています。
対象は顔に限らず身体のさまざまな部位で、肌の変化としては、以下のようなことが確認されています。

  • 皮膚色調が明るくなる
  • 皮膚がやわらかくなる
  • 皮膚の質感(乾燥、キメ、透明感)が整う
  • 皮膚知覚の回復に役立つ

メディカルメイク

メディカルメイクとは、植皮痕、瘢痕、あざ、シミなどを目立たなくする(カバ-する)技術です。メディカルスキンケアで補えない部分は、メイクアップの技術により治療後の皮膚のカバーを行います。
その目的は、瘢痕などをメイクアップにより目立たなくし、そのことにより精神的な負担を軽減させることにあります。また治癒過程においては、患部を目立たなくする(カバ-する)と同時に、紫外線や寒気、乾燥等から保護するという重要なスキンケアの役割も果たします。メディカルメイクで行うのは、以下のような技術です。

  • 色味(青み・赤味・黒み・白み・色素沈着)のカバー
  • 植皮部分のカバー
  • 火傷瘢痕のカバー
  • 手術や事故による瘢痕のカバー

また、美容外科においては、術前にメイクアップを試すことにより、手術の必要性を再確認できたり、術後のメイクアップへの満足度が高まるといったケースも確認されています。

メディカルソワンエステティックの現在の活動

医療と美容の接点であるメディカルソワンエステティックの現在の活動の一例を、具体的にご紹介します。

1.医師の診察

メディカルソワンエステティックの施術は、メディカルソワンエステティックを導入している病院・医院の医師の治療方針に従い、医師による診察や治療を受けてから行います。

2.カウンセリング&肌測定

コミュニケーションを大切にしたカウンセリングの後、最新の肌測定機器を用い、様々な角度から測定を行い、肌状態を把握した上で当日の施術を決定します。測定結果をもとに、日常のセルフケアについてのアドバイスも行います。測定結果や施術の内容などは全て記録に残し、状態の経過を把握しています。

3.メディカルスキンケア

治療後の植皮、瘢痕、縮み、シワ、乾燥、色素沈着などが生じた皮膚に対して、「医療用エステティック機器」、「化粧品」、熟練したエステティシャンの「手技」により、洗浄→血行促進→湿潤→整肌を基本とした施術を行います。

<施術の一例>
  1. 洗浄
    化粧品や機器を使って、毛穴に詰まった汚れや皮脂、厚くなった角質など皮膚の汚れを落とします。
  2. 血行促進
    手技により血行を促進し、低下した皮膚の機能に働きかけます。
  3. 湿潤(消炎)
    皮膚を柔らかくし、化粧品で湿潤して、成分を浸透させるパックを行います。
  4. 整肌
    機器により鎮静した後、皮膚の乾燥を防ぐように整えます。

これまでのケースから、継続して施術を行うことにより、患部皮膚の色・質感・形状・機能・知覚などの皮膚症状に良い成果が見られています。

4. メディカルメイク

植皮痕、あざ、しみなどをメイクアップで自然にカバーします。肌に触れるブラシや小物は、よりデリケートな素材を使用し、やさしく繊細なタッチのメイクを心がけています。メディカルメイクにより心の負担を軽減する一方で、流行や季節に合わせたメイクアップや、個性を大切にしたメイクの提案も行い、メイクアップの楽しさをお伝えしています。

カネボウ化粧品ではさらに、カウンセリング&肌測定の結果を踏まえ、数種類の精油の香りを試していただきながら、当日の心身の健康状態と好みに合った精油をご一緒に選んでいただき、トリートメントオイルでハンドケアを行うことも試みています。施術を受けている方々より、心地よい香りに包まれながらの施術は、リフレッシュやリラックスが出来るとの声をいただいています。

メディカルソワンエステティックの活動の歴史
1966年形成リハビリテーションのためのメイクアップ技術を慶應義塾⼤学医学部形成外科と共同研究開始。(カネボウ化粧品)
  • ※メイクアップが患者の精神⾯に⼤きな影響があることを認識する。
1967年フランスからの技術をベースに、カネボウソワンエステティックの開発がスタート。
形成リハビリテーションのためのソワンエステティック技術研究を開始。(カネボウ化粧品)
1970年慶應義塾⼤学医学部形成外科とカネボウ美容研究所の協⼒により、銀座にて毎週⼟曜⽇、無償での施術を開始する。
第13回⽇本形成外科学会総会において「形成外科術後のリハビリテーション」を発表。(当時、慶應義塾⼤学医学部形成外科 教授 伊藤盈爾)
  • ※メディカルソワンエステティックの医学的効果について⽇本で初めての報告。
1971年形成リハビリテーションセンター理学診療所を⽂京区湯島に開設。(カネボウ化粧品)
  • ※⽇本で初のメディカルエステティック専⽤施設。1977年⽬⿊に移転後、2001年閉鎖。
1975年第6回国際形成外科学会にて「形成外科術後のリハビリテーション」について、研究成果発表。(当時、慶應義塾⼤学医学部形成外科 教授 伊藤盈爾・磯良輔)
1981年カネボウの開発した「メディカルソワンアパレイタス」が厚⽣省(当時)より、医療⽤エステティック機器の認可を受ける。※医療⽤機器としては⽇本で初。(カネボウ化粧品)
北⾥⼤学にメディカルソワンエステティック導⼊。(カネボウ化粧品)
1982年『メディカルソワンエステティックーエステティックと医学の接点―』を刊⾏。(⽇本エステティシャン協会)
1985年第34回国際シデスコ⼤会にて、メディカルソワンエステティックの改善効果と活動の実際について講演。(当時、慶應義塾⼤学医学部形成外科 教授 伊藤盈爾)
1988年『新外科学体系』(中⼭書店)に、形成外科のリハビリテーションとしてのメディカルソワンエステティックを紹介。(当時、磯良輔形成リハビリテーションセンター院⻑)
1993年『Simulation and Computer-Aided Surgery』に「COLOUR MATCH AND TEXTURE MATCH IN THE FREE SKIN GRAFT」を掲載。内容:メディカルソワンエステティックによる遊離植⽪の⾊調及び質感の改善効果を解説(分担執筆 当時、磯良輔形成リハビリテーションセンター院⻑)
1995年『クレアボー』(No.2)「メディカルエステとその効⽤」(カネボウ化粧品 島上和則)『クレアボー』(No.3)「メディカルメイクの実際」(カネボウ化粧品)を掲載。
第18回⽇本美容外科学会総会にて「美容外科におけるメイクアップの術前併⽤」を共同発表。(当時、北⾥⼤学医学部形成外科 助教授 ⼤⽵尚之⽒)
1997年⽇本エステティシャン協会25周年⼤会にて、カネボウ美容研究所より「美容と健康のダイナミズム バランスとリズムの融和」発表。美容を医学との接点でとらえる視点から、メディカルソワンエステティックデータを紹介。(カネボウ化粧品 島上和則)
1999年第25回⽇本医学会総会 ⽣命の博覧会にて「美容と医学の連動ケアシステム メディカルソワンエステティック導⼊30年の歴史と美容を科学する3つの視点」展⽰発表。(カネボウ化粧品 島上和則)
熱傷フェニックスの会にて「メディカルエステティックの社会的役割と熱傷への応⽤」講演。(カネボウ化粧品 島上和則)
『⽇本⾹料品科学会誌』(23巻2号,108-115)に「マッサージ―エステティック施術とやすらぎ効果」を掲載。(カネボウ化粧品 島上和則)
2001年韓国ソウルで開催の「⽪膚の再活マッサージに関するシンポジウム」にて、「メディカルエステティックの効果とその社会的役割」について講演。(カネボウ化粧品 島上和則)
⾹港で開催の第51回国際シデスコ⼤会にて「THE “CHRONO-ESTHETIC” The Dynamic Principleof Balance and Rhythm Creates Health and Beauty」講演。(カネボウ化粧品 島上和則)
2002年⽇本エステティック協会30周年⼤会にて「エステティックの進歩と調和(メディカルエステティックデータの紹介)」講演。(カネボウ化粧品 島上和則)
2005年第1回エステティック学術会議にて「科学的検証“Evidence Based Aesthetic”による有効性の追求」講演。(カネボウ化粧品 島上和則)。
2008年第3回エステティック学術会議にて「『co-medical』としてのエステティックの重要性」講演(カネボウ化粧品 島上和則)
2012年北⾥⼤学病院シンポジウムにて、「北⾥⼤学形成外科・美容外科における、エステティシャンが患者のQOLに与える影響について」を北⾥⼤学形成外科・美容外科:杉本佳⾹⽒(共同研究者/⾼⼭敦⼦⽒・島倉康⼈⽒・武⽥啓准教授・内沼栄樹教授)より発表。
2015年北⾥⼤学病院シンポジウムにて 「瘢痕、肥厚性瘢痕に対するメディカルソワンエステティックの患者⼼理への効果」を北⾥⼤学形成外科・美容外科:朴圭⼀⽒(共同研究者/杉本佳⾹⽒・島倉康⼈⽒・武⽥啓教授、カネボウ化粧品 舘内君枝・川井春⾹・林征⼦)より発表