二重まぶた切開法の傷跡ケアで絶対に守るべきこと

二重まぶた切開法は、二重のラインを切開して、余分な筋肉や脂肪、組織などを切除し、傷跡が目立たないよう縫合する手術です。
目もとを切開して縫合するので、傷跡がどうしても気になりますね。
二重まぶた切開法のダウンタイムで、特に気になる傷跡についてまとめました。

1.目を閉じると傷の食い込みが目立つ?

二重まぶた切開法は、余分な眼輪筋(がんりんきん)や瞼板前(けんばんまえ)組織などを切除し、予定のラインの皮膚をその下の組織に癒着させ、半永久的な二重を作る手術です。
もともとのまぶたが薄い人は、余分な組織を切除して、皮膚を下の組織に癒着させても、癒着した二重のラインと、その周りの皮膚に段差ができません。
そのため、目を閉じたときの傷の食い込みはほとんどなく、きれいで目立ちません。
もともとのまぶたが厚い人が、狭い二重を作った場合は、下の方(まつ毛側)の薄い皮膚の下の組織を切除して癒着させます。
すると、二重のラインと周りの皮膚に段差ができないので、目を閉じたときの傷の食い込みは目立たなくなります。
幅を広くして作った場合は、上の方(眉毛側)の厚い皮膚の下の組織を切除して癒着させるので、切除する組織の量が多くなります。
そのため、目を閉じたときの傷の癒着の食い込みが強くなるのです。
まぶたが非常に分厚い人に、無理してかなり幅の広い二重を作った場合、切除しなければならない組織の量が非常に多くなります。
最悪の場合、目を閉じたときの傷だけでなく、傷の下の皮膚までくぼむことがあります。
このように、切開法では、その人に合った幅にすれば、目を閉じたときの傷はほとんど目立ちません。
しかし、その人に合っていない広い幅にすると、傷が食い込んで目立つことがあります。
まぶたが厚い人に切開法で幅広い二重を作る場合でも、切除する組織の量を少なくして、癒着を軽くすれば、目を閉じたときの傷が食い込まないようにすることができます。
ただしその場合、癒着が弱いので、二重がはっきりしなかったり、二重のラインがなくなって元に戻ってしまったりします。

2.傷跡の縫合糸についた血の塊は無理に取らない

二重まぶたの切開法を初めとして、眼瞼下垂(がんけんかすい)、目頭切開、タレ目形成(グラマラスライン/下眼瞼下制術)などの目もとの手術、その他の傷跡を縫合する手術全てに共通しますが、傷跡の縫合糸にこびりついた血の塊は、無理に取る必要はありません。
傷跡を縫合する手術をすると、術後24時間くらいは、傷口からジワジワと少量の出血があります。
その血液が固まり、傷跡や縫合糸に塊がこびりつくこともあります。
この血の塊を無理に取ろうとすると、傷跡に負担がかかり、縫合糸が取れてしまうことがあります。
血の塊は、抜糸のときに縫合糸と一緒に取り、きれいに掃除するので、無理に取る必要はありません。
抜糸までの間、傷跡に血の塊がついていても、それが傷跡や術後の経過、仕上がりなどに悪影響を及ぼすことは特別ありませんので、安心してください。

◆症例
20代の女性です。
数年前に二重まぶた埋没法を受けましたが、だんだん埋没糸がゆるみ、ラインがはっきりしなくなってきていました。
二重まぶた切開法で、以前の埋没法とほぼ同じラインを切開しました。
まぶたの脂肪がやや余分にあったので、眼窩内(がんかない)脂肪を適量切除し、ROOF(眼輪筋下脂肪組織)も少し切除しました。
埋め込まれていた埋没法の糸は、今後の不安を取り除くため全て除去しました。
皮膚の切除はしていません。
術後は、目を開けた状態で少し二重の幅が見える程度の、自然ではっきりした印象の末広型二重になりました。

手術前。
手術直後(目を開けた状態)。
局所麻酔注射の影響などにより強く腫れていますが、必ず引くので心配ありません。
手術直後(目を閉じた状態)。
切開法で使用する一番細い縫合糸の青色透明ナイロン糸で縫合しています。
1週間後(目を開けた状態)。
抜糸をしました。
1週間後(目を閉じた状態)。
1ヶ月後(目を開けた状態)。
腫れはだいぶ引きました。
1ヶ月後(目を閉じた状態)。
傷跡の赤みがだいぶ目立たなくなってきました。
6ヶ月後(目を開けた状態)。
腫れはほぼ完全に引きました。
6ヶ月後(目を閉じた状態)。
傷跡はだいぶ目立たなくなりました。
【出典:http://www.takasu.co.jp/operation/eye/sekkai035.html

3.抜糸のときは麻酔をする?

抜糸は、縫合している糸を抜く行為です。
通常、糸の端をピンセットでつまみ、糸の一部をはさみで切って抜きます。
当クリニックで使用する縫合糸は、縒り糸(よりいと)ではないモノフィラメントのナイロン糸や吸収糸、縒り糸の吸収糸などです。
どれも非常に細く、抜糸するときに糸が組織に引っ掛かりにくい、痛みがないタイプの縫合糸です。
糸をスムーズにピンセットでつまみ、はさみで切ることができれば、抜糸の痛みはありません。
ただ、目尻の縫合などの、形態的に抜糸しにくい部位の場合は、少しチクチクする痛みがあることもあります。
とはいえ、抜糸のときに麻酔をすることは、普通ありません。
抜糸する部位に麻酔の注射をしたら、腫れ上がってしまい、非常に抜糸がやりにくくなります。
そもそも、抜糸の痛みより、麻酔の注射のほうが痛いです。
抜糸前に、抜糸する部位に麻酔クリームを塗ることも普通ありません。
麻酔クリームを塗ると、創部がベタベタになるので、抜糸するのが非常に困難になってしまいます。
抜糸のために、全身麻酔、静脈麻酔、笑気ガス麻酔をかけることも普通はないです。
全身麻酔や静脈麻酔は点滴でするため、留置針を刺さなければならないので、その痛みがあります。
笑気ガス麻酔は、点滴でなくても行うことができますが、ある程度のリスクが生じる可能性があるので、むやみに使用するものではありません。
抜糸のために、呼吸や循環に作用する薬品を使うことは普通ありません。
ちなみに笑気とは、亜酸化窒素のことです。
吸引すると多幸感があり、酩酊状態になって笑いが止まらなくなることから、海外では「風船ガス」「シバガス」として乱用されています。
日本でも、規制の強まった脱法ドラッグに代わり乱用されるようになっています。

4.切開法の傷跡がケロイドになることはまずない

ケロイドは、傷が治る過程で原因不明の炎症が続き、線維形成が収束しないための皮膚線維増殖性疾患と考えられています。
手術後の縫合した傷跡は、一時的に赤みが増して硬くなることありますが、通常は術後6ヶ月程度で赤みが減り、軟らかくなっていきます。
しかし、いつまでたっても赤みが引かずに盛り上がり、チクチクするようなかゆみ・痛みが出ることがあり、これを「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」といいます。
患者さんが、「私、ケロイド体質でケロイドができやすいんです」といって傷跡を見せる場合、その多くは肥厚性瘢痕か、成熟した白色瘢痕です。
また、ケロイドはもともとの傷の範囲を越えて、周りの皮膚に伸展していきます。
ケロイドは胸、肩、お腹などにできやすく、まぶたにできることは非常にまれです。
そのため、二重まぶた切開法、眼瞼下垂、タレ目形成(グラマラスライン/下眼瞼下制術)などの手術の傷跡がケロイドになることはまずありません。

5.術後の傷をきれいに治すには?

手術の後の傷は、一般的に6ヶ月〜1年かけてきれいになり、目立たなくなっていきます。
それまでの間は、傷の赤みや盛り上がり、硬さがあります。
人間の体には、傷が早くきれいに治る部位と、なかなかきれいに治らない部位があります。
二重まぶた切開法、タレ目形成(グラマラスライン/下眼瞼下制術)などの、目の周りの皮膚の薄い部位を切開した傷は、きれいに治ります。
逆に、なかなかきれいに治らない部位は、前胸部、恥骨部、肩、肘周囲、膝周囲などです。
また、生まれつきの体質によって、早くきれいに治る人と、なかなかきれいに治らない人がいます。
傷を少しでも早くきれいに治すには、以下のような方法があります。
ただ、もっとも大事なことは、手術の上手な医者に、ていねいに縫合してもらうことです。
手術が上手に行われなければ、いくら術後のケアが完璧でも、傷はきれいに治りません。

5-1.傷を必要以上にいじらない

手術後の傷痕が気になっても、必要以上にいじらないでください。
慢性的な物理的刺激で、傷痕がいつまでたっても赤かったり、盛り上がっていたり、色素沈着を起こして黒ずんだりしてしまいます。
特に術後1年くらいまでは、傷が未熟な状態なので、必要以上に刺激するのはよくありません。
ただし、洗顔やクレンジングをするくらいは、問題ないので安心してください。
ときどき、術後に傷痕をマッサージする方がいますが、全く意味がありません。
意味がないどころか、傷痕を刺激することで、かえって汚くなってしまうのでやめてください。

5-2.創部を清潔にする

術後、傷痕を清潔に保つことも大切です。
ときどき、術後の抜糸が終わり、創部を洗っても大丈夫なのに、恐くて何ヶ月も洗わないで、垢がこびりついて大変不潔になる方がいます。
創部を不潔にしていると炎症を起こし、傷が汚くなってしまいます。
恐がらないで、適度に洗うようにしてください。

5-3.傷痕をきれいに治す薬は疑問が多い

傷痕をきれいに治す飲み薬で、リザベンというものがあります。
手術前から手術後にかけて数ヶ月間服用すると、傷が多少きれいに治るといわれています。
私の経験上、この薬は本当に効果があるのか、正直疑問です。
それどころか、一定の確率で血尿が出たり、下腹部痛が生じたりする膀胱炎症状が現れる副作用があります。
当クリニックでは、特別な理由がない限り、リザベンを処方することはありません。
また、市販されている傷痕をきれいに治す塗り薬で、アットノンというものがあります。
主成分のヘパリン類似物質は、保湿作用や血行を良くする効果があるため、赤みや盛り上がり、色素沈着のある傷痕に塗ると、きれいに治るといわれています。
私の経験では、この薬は特別大きな副作用はありませんが、大きな効果があるわけでもなく、塗らないよりは塗ったほうが若干マシという程度だと思います。
なお、この薬は、目の周囲を含めて顔面の傷痕に使用することはできません。

6.まとめ

二重まぶた切開法は、その人に合っていない広い幅にすると、目を閉じたときに傷が食い込んで目立つことがあります。
傷跡の縫合糸にこびりついた血の塊は、無理に取る必要はありません。
抜糸のときは、麻酔をすることはありません。
術後の傷をきれいに治すには、必要以上にいじらず、清潔にすることが大切です。
ただし、もっとも大事なのは、手術の上手な医者に、ていねいに縫合してもらうことです。