ワキガ対策に効果的な市販品が知りたいという方は多いかと思います。
どの市販品も、軽度~中度のワキガに有効ですが、肌質(敏感、乾燥、汗の量)によって相性が合わない場合もあります。
ここでは、ワキガ用の市販品の有効性、その種類と肌質別の選び方、お勧めの市販品についてご紹介いたします。
1:ワキガ臭は市販品で一時的に消臭できる
ワキガ臭は、汗腺(汗の通り道)であるアポクリン腺から出る汗が、皮膚に生息する菌(表皮常在菌)と交じることで発生します。ワキガ用の市販品は、これらの汗の消臭や殺菌ができることから、軽度~中度のワキガを一時的に抑える働きがあります。
アポクリン腺からの汗は、脂肪酸やアミノ酸、鉄、アンモニアといった臭いの元になる成分が含まれ、皮膚に生息する菌(表皮常在菌)の働きで分解されることで、より強い臭いに変わります。その結果、「腐った玉ねぎ」「カレー」「酢」などで表現されるツンとしたワキガ臭となります。
ワキガをレベル分けすると以下のようになり、市販品が有効なのはレベル2までとなります。
レベル3ほどの重度のワキガは、セルフケアだけでは難しいので、病院での治療を検討されると良いです。病院では、切開を行う『剪除法(せんじょほう)』、切開をしない『ボトックス注射』や『レーザー治療』といった施術法があります。
2:ワキガ用の市販品の種類と肌質別にお勧めの選び方
ワキガケア用の市販品には、クリームやローション、ジェル、ロールオン、スプレー、石鹸などがあります。高い効果が期待できるのは、肌になじみやすいクリームやローション、ジェルで、手軽にセルフケアができるのはロールオンやスプレーとなっています。
ワキガの方でも、敏感肌や乾燥肌、汗の量が多い方(多汗)もいらっしゃるので、それぞれに合った市販品選びが大切です。肌質に合わない市販品を使用すると、肌トラブルが起きたり、汗で成分がすぐに流れ落ちて、塗り直しが何度も必要になる事もあります。
【肌質別ワキガに適した市販品の種類】
種類 | 特徴 | お勧めの肌質 |
---|---|---|
クリーム | 最もワキガ対策に効果的なタイプで、添加物が抑えられた市販品も多いので、肌が弱い方、脇汗が多い方にも向いています。殺菌、制汗、保湿に加えて、脂溶性で水を弾く作用があるので、汗で流れ落ちることも少ないです。入浴後の清潔な脇に1日1回塗るタイプのものが多いです。 | ・全肌質に有効 |
ローション、ジェル | ローションタイプやジェルは保湿性が高いため、乾燥肌の方に向いています。菌を殺菌する成分や消臭成分、保湿成分がバランスよく含まれるので、一時的な対策に効果的です。ただし、ローションやジェルの多くは水溶性なので、汗と一緒に流れやすいと言えます。その為、脇汗が多い方は2~3時間おきの塗り直しなど、手間がかかることもあります。 | ・乾燥肌 |
ロールオン | 塗る箇所が『丸い形』をしていて、サッと簡単に塗れるので、急な発汗が多い方に向いています。消臭と制汗に優れたタイプが多いです。 | ・普通肌 |
スプレー | シュッと吹きかけて一時的にワキガ臭を抑えられるので、スポーツや運動をする方に向いています。スプレーの特性上、汗で流れやすいことが多いので、汗の量が多い方はこまめに使う必要があります。 | ・普通肌 |
石鹸、ボディソープ | お風呂やシャワー時からワキガ対策をしたい方に向いています。他タイプよりも即効性は弱めですが、殺菌と収れん(汗腺を塞ぐ)、保湿が出来るので、併用して使うと効果的です。 | ・普通肌 ・乾燥肌 ・多汗 |
※市販品ごとに添加物の有無や内容も変わるので、あくまでも目安としてお役立て下さい
【乾燥肌・敏感肌にお勧めのワキガ用市販品】
乾燥は、肌本来のバリア機能を低下させ、ワキガの原因となる菌も発生しやすい状態を作ります。敏感肌は低刺激であることが重要で、多汗なら肌の密着力の高いクリームがお勧めです。これらのポイントが抑えられた製品は、デオナチュレのさらさらクリームです。
デオナチュレ さらさらクリーム
価格:¥1,340
容量:45g
肌への安全性が高い『焼きミョウバン』が主成分のワキガクリームで、香料も添加されていません。その為、全肌質にも使える市販品と言えます。チューブタイプで両脇に付けてから伸ばせるため、缶タイプのクリームよりも手軽に使えます。
【多汗の方にお勧めのワキガ用市販品】
Ban汗ブロックロールオン
価格:¥498
容量:40ml
ロールオンタイプで、塗ることで皮膚に被膜を作り、発汗量を抑える作用があります。同時にワキガ臭の原因となる菌を殺菌する「イソプロピルメチルフェノール」が含まれています。ドラッグストアなどで入手しやすく、出先でも手軽に使いやすいことが大きな特徴と言えます。
オドレミン
価格:1,540円
容量:25ml
オドレミンは医薬部外品の1つで、収れん作用(汗腺を塞ぐ作用)が非常に強い『塩化アルミニウム』を含む液です。塩化アルミニウム液は、膚科やクリニックなどで多汗症治療の外用薬としても処方されています。市販品であるオドレミンは濃度が低めで、肌刺激も抑えられています。入浴後の清潔な肌に塗ることで強い制汗作用が期待できます。
【日頃の使用にお勧めの石鹸】
柿茶石鹸
価格:¥1,944
容量:60g
渋茶石鹸に含まれる柿の葉は、汗腺を塞ぐ作用が強い「柿タンニン」が配合され、殺菌と保湿ができる事から、ワキガ対策にも有効です。肌に優しい植物油が原料で、合成着色料や香料も使用されていません。その為、全肌質のワキガの方にも使える石鹸です。
【使用上の注意点】
市販品に含まれる成分との相性もあるので、かゆみや赤みなどの肌トラブルが現れたら、直ちに使用を中止して、治りが遅いようなら皮膚科で診察を受けるようにしましょう。
また、ワキガ用の市販品は、使うほど消臭効果が高まるものではありません。使用頻度が高いほど肌刺激もあるので、塗り直しは最小限に抑えたり、スプレーの場合は長い時間の噴射は避けましょう。
この他、制汗アイテムが脇に残ったまま眠ることも大きな肌刺激となります。使用した1日の終わりには、石鹸やボディソープでしっかり洗い流すことも大切です。
3:重度のワキガは病院での治療がお勧め
重度のワキガで、制汗クリームなどのセルフケアを行っても効果が感じられない場合は、病院での治療を検討しましょう。
重度のワキガと診断された場合は、「剪除法(せんじょほう)」という、最も効果が高い施術が保険適用の元(両脇:約3万5千)で受けられます。剪除法は、脇の下を切開して医師の目視により、ワキガの原因となるアポクリン腺を除去していくため、ワキガ臭の治療には最適です。ただし、皮膚の切開により手術痕が残るのがデメリットです。
切開を行わない方法としては、ボトックス注射という、1回の施術で半年~1年ほどの効果が得られる注射療法や、ミラドライなどの施術法もあります。
4:肝機能を正常に保つことも臭い軽減に役立つ
食事、睡眠、運動に偏りがあったり、飲酒をすることが多い方は、肝臓の機能が正常に働かず、臭いの原因となるアンモニアが血液中で増え、ワキガ臭も強くなります。その為、生活習慣を向上させることはワキガ臭の軽減にも役立ちます。
【脂質、タンパク質の摂りすぎを避ける】
脂質やタンパク質は体にとって必要な栄養素ですが、摂取しすぎると、臭いの元となるアンモニアが体内で多く作られます。また、アポクリン腺からの脂肪酸の分泌が増え、「脂っぽい臭い」を強めます。
中でも、動物性タンパク質を摂り過ぎると、消化が間に合わないまま腸内に送られるので、悪玉菌が増えます。その結果、腸内環境が乱れて肝機能が低下し、体臭を強めます。
動物性タンパク質(脂質も含む)は、肉類(鶏・豚・牛)、チーズ、たまご、乳製品、魚介類、大豆に多く含まれます。タンパク質の1日の上限量はありませんが、臭いの増加に影響を与えるので、毎日大量に摂取している場合は抑えた方が良いです。
また、肝機能を正常に保つ為に、カップ麺や冷凍食品などのジャンクフードの食べ過ぎを避ける、揚げ物は週に1~2回に限定する、洋食よりも和食を中心に野菜類も摂ることも大切です。
【質の良い睡眠を習慣化させる】
毎日、夜12時には就寝して、最低6時間は眠ることは睡眠の質を確保することにもなり、ワキガ対策にとっても非常に重要です。
睡眠不足や質の悪い睡眠は、肝機能を低下させるだけでなく、免疫力を弱め、肌のバリア機能も低下させます。それに伴い、ワキガ臭の原因となる表皮常在菌も増殖しやすくなります。
質の良い睡眠は、成長ホルモンが最も活発になる午後10~深夜2時には眠りについており、1回あたり6~8時間の睡眠が確保されている事が理想的です。この睡眠習慣を行うことで、正常なターンオーバー(肌の生まれ変わり)と肝機能が維持されやすくなり、表皮常在菌の活動も抑えられます。
【定期的な有酸素運動】
運動不足は、肝機能を低下させ、血中のアンモニア濃度を増やすことから、臭いも強めます。その為、適度な運動習慣はワキガ対策にも有効です。
早歩き程度で結構ですので、1回あたり20分以上の軽く汗ばむ運動(有酸素運動)を、週に2~3回は続けるのが最も効果的です。
ただし、全力疾走や筋力トレーニングを長時間行ったりする激しい運動は、逆に肝機能を低下させることになるので避けましょう。
【適度なアルコールの摂取】
お酒に含まれるアルコールは、肝臓で分解しようとするので、大量摂取すると肝機能は低下します。定期的に飲酒する方も、普段から肝臓に負担をかけている事になるため、肝機能は弱くなり、臭いの悪化にも繋がっている事が考えられます。
アルコールは、1日20gが適切な量とされ、缶ビール1杯か日本酒1合、ウィスキーならダブル1杯ほどとなっています。それ以上の量を飲む場合は、途中や寝る前に多くの水を飲むことでアルコールの分解が助けられます。
5:まとめ
・軽~中度のワキガならば市販品でのケアでも効果がある
・乾燥肌ならクリーム、敏感肌ならローション、多汗ならばロールオンやオドレミン、日頃の体洗いでは、渋茶石鹸といった市販品での対策がお勧め
・重度のワキガはセルフケアでは限界があるため、病院での治療も検討する
・ワキガ臭の悪化や予防では、生活習慣の改善も必要
これらの事を実践してしっかりワキガ対策を行い、臭いを気にしない毎日を送るきっかけになれれば幸いです。