【インタビュー】
PMTCとは?ホワイトニングとの違い、費用や保険適用への疑問を解決!クリニック選びのポイントと効果についても ◇
公開日 2016 年 06 月 26 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日
1.歯科で行うPMTCとは?
PMTCとは、「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略で、一般的には「予防歯科プログラム」のことを指します。
予防であるため、虫歯などになってから治療を開始するというものではなく、虫歯などにならないように行う口腔内のクリーニングです。歯磨きは多くの人が毎日欠かさず行っている習慣ですが、個人の歯磨きだけではなかなか落とせない歯の汚れもあり、PMTCでは歯科衛生士が特別な機器を用いて、その汚れを落とします。そのため、虫歯の予防はもちろんですが、歯の見た目も美しくする効果が期待できます。
毎日丁寧に歯を磨いている場合であっても、100%の汚れを落とすことはできず、およそ90%程度が個人の歯磨きで落とすことができる限界だと言われています。残ってしまった10%の汚れは、「バイオフィルム」と呼ばれ、その付着力はかなり強力で、個人が自宅で取り除くことはほぼ不可能です。
さらに、このバイオフィルムは、1日あたり80倍~800倍に増殖すると言われています。そのため、しっかり磨いているつもりでもわずかな磨き残しから虫歯になってしまうということも十分考えられます。 そのためPMTCでは、歯科衛生士、いわば歯の清掃のプロが特別な機器を使い、このバイオフィルムと呼ばれる汚れを落とします。毎日の歯磨きに加えて、このPMTCを行うことによって、しっかりとした虫歯予防をすることができます。 PMTCは虫歯の予防以外にも、見た目の改善も期待できます。その他、磨き残しによる口臭の予防、フッ素の塗布による歯垢の付着防止、歯質の強化など、さまざまな効果ももたらすことが可能です。そのため、PMTCは歯や口腔内の衛生面、健康面を考えるならば欠かせないものだと考える方も増えています。
2.PMTCはホワイトニングとどう違う?
「歯を綺麗にする」と聞くと、汚れや黄ばみのない真っ白な歯になることを想像する方も多いと思いますが、歯科医院で行うPMTCとホワイトニングでは、「歯を綺麗にする」という目的は同じであっても、行う処置が異なります。
PMTCは特別な機器を使い、プロの歯科医師が自宅での歯磨きなどでは落とせない磨き残し、そしてその沈着物を清掃することです。歯の表面がひどく汚れている場合は、PMTCを行うことで見た目がかなり白くなる場合があります。とはいえ、歯が元々どのような色であるかは歯の表面の汚れがどれほど付着しているかではなく、エナメル質の内側、象牙質の色によって決まります。これは遺伝的に決まる要素でもあるため、元々黄色味が強いという場合もあります。
そのため、ホワイトニングではこの表面の汚れだけでなくエナメル質に作用する物質を使い、エナメル質の表面に光の乱反射を起こさせて透過を防止しています。PMTCにはエナメル質に作用し、歯を白く見せる処置は含まれません。とはいえ、普段の食べ物や飲み物、喫煙習慣などによる歯の表面についた汚れを落とすことは、PMTC本来の目的である虫歯や歯周病予防においても必要なことです。また、PMTCにはエナメル質を強化し、汚れをつきにくくすることもできるため、結果的にPMTCにも歯の白さにつながる効果があると言えるでしょう。定期的にPMTCを受けることで、効果の継続も可能です。もちろん前述の通り、遺伝的にもともと象牙質の黄色が濃い場合もあり、PMTCを受けただけでは思い描いていた理想の白い歯にはならないケースもあります。そのような場合は、PMTCに加えてホワイトニングを受ければ、さらに歯を白くすることもできるでしょう。
3.PMTCはどんな手順で進むのか
PMTCの主な手順は以下です。
①歯の状態のチェックと歯石・歯垢の除去
PMTCの初期段階として、まずは歯の状態をチェックします。「染め出し液」を使用すると、磨き残しなどが原因で歯に蓄積している歯石や歯垢(プラーク)がピンク色に染まります。このピンク色が濃ければ濃いほど、歯石や歯垢が多く残っていことになります。歯の状態を確認してから、歯石と歯垢の除去をします。超音波を使用し、歯の表面や歯肉との境目に付着している歯石と歯垢を壊します。それから水と一緒に洗い流します。
②PSC(プロフェッショナル・ステイン・クリーニング)
歯石と歯垢を洗い流した後は、PCMTのメインとなる専門の機械を使ったクリーニングになります。歯を守り強くするフッ素を配合した研磨ペーストやジェルを、歯と歯の間や歯と歯茎の間に注入します。 研磨剤を注入し終えたら、回転式のブラシやゴム製のチップなどを使ったクリーニングを始めます。チップも回転ブラシもやわらかい素材で作られているため、歯や歯茎を傷つける心配はなく、痛みももちろんないため、通常の虫歯の治療などよりもリラックスして受けることができます。
③フッ素コーティング
専用の機械でほぼ完ぺきに歯の汚れが洗浄された状態で、歯の表面に仕上げのフッ素を塗っていきます。フッ素ジェルを表面に塗った後は、数分間放置します。歯に浸透したら終了です。
ほぼ完ぺきに汚れが無い状態でフッ素コーティングをした場合、通常よりも効果的に、歯の着色汚れや虫歯を予防する事が期待できます。なお、フッ素をより浸透させれるため、PMTCが終了した後、1時間ほど飲食は控えます。一連の作業が終了した後は、歯科衛生士から歯の磨き方や、普段の生活で歯の健康のために必要な事に加え、受診するペースなどの説明があります。健康で綺麗な歯を保つため、指導に従い1日1日しっかりケアすることが大切になります。
4.PMTCでとれる歯石とは?
歯科医院では歯石を取り除くことができますが、PMTCで行なう歯のクリーニングと単純な歯石除去には方法と結果に違いが出てきます。
そもそも歯石とは、歯垢が固くなってしまったものを指します。毎日の歯磨きでは、100%歯垢を取ることができないと言われており、10%~20%ほど残ってしまった歯垢は唾液中のミネラルと結合し、少しずつ固くなっていってしまいます。歯と歯茎の境目や歯と歯の間にできやすく、できてしまうと通常の歯磨きだけで取り除くことはできなくなります。そのため、歯石を除去するには歯科医院での処理が必要になります。この歯石除去の処置は虫歯や歯周病の治療の一環として、歯科医院で行われるものです。
一方のPMTCは、治療ではなく虫歯などにならないようにする「予防」として行われるものであるため、そこに大きな違いがあります。通常の歯石除去を含む歯科医院での治療では、歯全体を美しくすることは考えられていませんので、虫歯や歯周病予防、口臭予防、歯を美しくする研磨などの処置を含めたPMTCとは違います。ただ、PMTCを受ければしっかりとした歯石除去の処置を受けることができるため、結果的には虫歯の治療と同じように、石のように固く付着してしまっている歯石もきれいに除去することができます。PMTCで歯石を除去することを含め、歯磨きによる磨き残しも除去しフッ素コーティングなども行えば、結果的に虫歯や歯周病になりにくくなるので、歯科医院に行く機会も減ることにつながるでしょう。
PMTCを行い虫歯を予防するという考え方は、欧米などから積極的に取り入れられてきましたが、虫歯治療に保険適用がされ、比較的安価での治療が可能な日本ではまだまだ認知度は低いと言えます。歯に関していえば、歯が美しいことと歯の健康はほぼ同じ結果となって現れるため、歯石除去や虫歯予防を考えているなら、PMTCを受けるのは良い選択と言えるでしょう。
5.PMTCにかかる費用はどれくらい?
虫歯や歯周病の治療で歯科医院を訪れた場合、健康保険証の持参が必要ですが、それは「病気を治療する」という名目においてのみ健康保険を適用することができるからです。PMTCは、虫歯や歯周病にならないための「予防治療」とされ、この場合は虫歯や歯周病を治療する場合とは異なり、基本的には健康保険適用外となります。このような場合を自費診療といいます。
ただし、歯周病や虫歯の治療を実際に行う必要があり、その治療を受けたのち歯石除去などを含むPMTCを受けた場合は、保険診療として扱うことが可能な場合もあります。PMTCが治療の一環として扱うことができるかどうかの判断は、各デンタルクリニックや歯科医院により異なります。
<料金例>
※高校生以上~成人
・初回:5,000円~12,000円
・2回目以降:10,000
治療を含まずPMTCのみを受ける場合の費用はおおよそ、5,000円~20,000円ほどです。PMTCは、基本的にジェルなどを使用した専用の機械によるクリーニングを行ない、フッ素コーティングをするといった手順を踏みますが、デンタルクリニックや歯科医院によっては、各手順の間に行うオプションが追加料金として設定されている場合もあるかもしれません。同じPMTCであっても、どのような作業が含まれているのかどうかは、事前に確認が必要です。PMTCは、一度受ければそれで虫歯にならないというものではありません。およそ1~2割程度の歯垢が、毎日の歯磨きの磨き残しとして蓄積していってしまいます。その磨き残しが、歯石や歯を守っているバイオフィルムの細菌感染といった虫歯のリスク増大も考えられるます。 そのため、3ヶ月~半年に一度は、PMTCを受けることを薦めている歯科医院もあります。 PMTCによりしっかり虫歯予防をしたいと考える場合は、1年に2~3回受けるものとして費用を計算する必要があります。
6.PMTCはどれくらいの効果が期待できる?
PMTCの最も大きな目的は、虫歯や歯周病の予防です。
普段、自宅で行なう歯磨きでは磨ききれない歯垢が約10%~20%あるといわれており、それらが歯石となったり虫歯の原因となってしまうため、より確実性の高い虫歯予防には、プロの歯科衛生士が行なうPMTCが必要と言えるかもしれません。PMTCでは特に、「歯と歯の間」「歯ぐきと歯の境目」「歯の細かい溝」など、自宅での歯磨きでは磨きにくく、汚れの溜まり安い場所に効果的です。これらの場所にこびり付いた汚れを徹底的に落とすことができます。虫歯の予防と言う意味で、PMTCは特に海外では一般的になっています。スウェーデンでの20年間の調査によると、PMTCを受けていなかったグループは、PMTCを受けていたグループに比べて、虫歯になっている確率が70倍も高かったそうです。もちろん、汚れを落すということは虫歯や歯周病の予防以外にも、歯の見ためが美しくなる効果もあります。
歯は毎日の飲食で少しずつ着色していってしまうものもあり、特にコーヒーやワイン、カレーといった着色しやすい食事や喫煙などは、歯を汚していってしまいます。歯と歯の間などは、そういった着色汚れが溜まりやすく、自宅での歯磨きでも磨きにくいため、見た目も悪くなります。PMTCでは、それらの汚れを徹底的に落し、歯の表面にフッ素コーティングを行なうため、綺麗になった後も、汚れがつきにくくなります。歯の表面はつるつるとしたさわり心地になりますし、口臭で悩んでいる方にも改善効果があります。ただし、PMTCの効果は永続的ではありません。前述したように、毎日の飲食や生活習慣でやはり少しずつ汚れていきます。そのため、一度PMTCを受けた後も、その効果を継続させるために、3ヶ月~半年に1回は、PMTCを受けることを、多くの歯科医院が推奨しています。
7.PMTCは保険適用になるって本当?
PMTCは「病気の治療」とは認められておらず、あくまでも虫歯や歯周病の予防であるため、基本的に保険適用外となる自由診療扱いとなります。ただし、場合によってはPMTCも保険診療として受けることができる可能性があります。例えば、虫歯の治療や歯周病治療の一環として、歯石除去を含むようなPMTCを受ける場合であれば保険適用となるケースもあるようです。そのため、事前に確認しておいたほうが安心と言えます。
保険適用でないPMTCの場合、負担は1万円前後になり、年に2,3回行うとすると2~4万円は必要になってくるでしょう。もし、PMTCを治療の一環として保険適用を受けることができれば、1回あたり、2,500円~4,000円前後でPMTCを受けることが可能になり、患者側の負担がかなり軽減されます。PMTCを保険適用内で受けたい場合は、あくまでも治療の一環である必要があるため、各種検査、レントゲン撮影、その他治療や指導など他の治療としての作業が必要になります。総合的にどの程度の費用がかかるかは、治療として診察を受ける患者の歯の状態によって異なってくるでしょう。ただし、保険診療には細かなルールや制限がたくさんあります。
随時改定がなされることもあるため、以前は保険適用となっていたものが、保険適用外になるといったケースが歯科治療に限らずあり得ます。(その逆に、保険適用外だったものが保険適用の治療として認められる場合もあります。) 保険診療として扱うことがふさわしいかどうかの規制が厳しくなっている傾向もあり、PMTCを受けたいと希望したデンタルクリニックや歯科医院によっては、治療の一環であっても、PMTCだけは保険適用外として扱われる場合もあるかもしれません。PMTCだけを希望する場合は自由診療になりますし、治療の一環としてPMTCを受けた場合でも、虫歯や歯周病などの治療が一度完了してから、継続的に予防としてPMTCを受けたい場合は保険適用外として扱われると考えておいたほうがよいでしょう。
8.PMTCは医療費控除が適応される?
PMTCは、虫歯の治療や歯周病の治療とは異なり、歯のトラブルの予防を目的として行われる処置です。そのため、PMTCのみを歯科医院で受ける場合は、基本的には保険適用外として扱われます。ただし、虫歯の治療・歯周病の治療の一環として、PMTCに含まれる研磨剤を使用したクリーニングや、歯垢や歯石の除去、感染の疑いのあるバイオフィルムの除去、フッ素コーティングなどの作業が行われるのであれば、保険適用と認められる場合もあります。さらに、気になる点としては、「医療費控除」の適用がされるかどうかということがあるかもしれません。
●そもそも「医療費控除」とは? 高額な治療費を負担しなければならない場合に税金の還付を受けることができる制度です。 1月~12月の間の医療費が10万円を超える場合であれば、確定申告をして還付を受けることができます。 |
PMTCは基本的に健康保険適用外ですが、医療費控除の対象ではあるので、領収書をしっかりと保管しておき確定申告をすれば、税金の還付を受けることができます。 医療費控除の対象外となるケースは、明らかな美容目的や、何も処置をしなかった場合の検診などです。例えば、歯の検診を受けたものの、歯が健康そのものであり、フッ素コーティングや歯磨きの指導も必要なかった場合であれば、医療費として見ることはできないということです。ただ、自宅で行う歯磨きでは、どうしても取り切れない汚れが虫歯の原因になってしまうことに、PMTCで予防する価値や効果があるため、上記の様なケースは現実的にはありえないでしょう。医療費控除対象外として考えられるのは歯のホワイトニングなどです。PMTCは健康保険適用外ではありますが、虫歯や歯周病を防ぐための医療処置ではあるため、治療も含め医療費が高額になった場合は医療費控除の対象になります。
9.PMTCに使用するペーストはなにものか?
PMTCの主な目的は、普段磨き残しがどうしても出てしまう歯垢や歯石などを徹底的に洗浄し虫歯や歯周病の予防をすることです。そのため、一連のPMTCの作業において、メインとなるものが研磨剤を使用し、歯の汚れを落とす作業です。回転式の機械など特殊な機械を使って汚れを落としますが、その際使用する研磨剤を「ペースト」と呼びます。この研磨ペーストはいくつか種類があり、粒子の荒さに違いがあります。(研磨ペースト自体も、各デンタルクリニックによって使用しているものが異なります。)
研磨ペーストの粒子の荒さの違いは、歯の大きさや形、汚れを落としたい部分の隙間の大きさなど、必要に応じて変える必要があるためです。また、使用する器具にも、固めの素材から柔らかい素材もありますし、ブラシ状のものから先の細いチップや大きなチップなど様々です。もちろん、理想的な歯並びであったり歯の大きさがそれぞれの部位において適切であれば、それだけ汚れを落としやすくなりますが、これは個人差や遺伝、成長過程における環境など様々な要因に左右されます。特に、どちらかというと歯並びが悪かったり、歯と歯の隙間に物が詰まりやすい、磨きにくいなどといった場合であれば、なおのことPMTCでの洗浄が大切になってきます。
さらに、治療している歯か、そうでないか、あるいは治療方法の差などによっても、使用する器具や使用する研磨ペーストの調整が必要になってきます。歯科医療において、ここ数十年の間に改善されたものもあり、かなり前に治療した歯であったり、最近治療した歯であったりするとそれもまたPMTCの作業の中で、調整が求められる要因になります。もし、適切でない器具や研磨ペーストを使用してしまった場合、歯の表面の劣化や腐食の原因にもなりかねません。PMTCを担当する歯科医はそれら様々な要素を考慮しながら、使用する器具、使用する研磨ペーストを選び、適切な方法で歯の汚れを落としていくことになります。
10.東京でPMTCを受ける際のクリニック選びのポイントは?
PMTCは自由診療であるため、治療を受けるクリニックなどによって料金に差がある場合もあります。そうした面も含めどこで治療を受けるか迷うことも多いでしょう。
●現在治療中の場合
PMTCは虫歯や歯周病の「予防」を目的に行います。今現在、虫歯や歯周病の治療中であれば、どのようなプロセスで歯を健康な状態に持っていくかということに関して、歯科医が計画を立てている場合がほとんどでしょう。PMTCという予防処置だけを、他のクリニックや歯科医院で受けることも可能ですが、そのような歯科医の計画がある場合、状況によっては不具合が生じる可能性もあります。PMTCは治療状況に合わせた器具の使用や、研磨剤選びも必要になるため、治療履歴があり、自分の歯の健康状態をよく把握しているクリニックや歯科医のほうが、リスクが少ないと考えられる場合もあります。
●特に治療を受けていない場合
もし、特に虫歯や歯周病の治療をしておらず、予防としてPMTCを考えている場合は、口コミサイトなどを参考にして、PMTCの得意なデンタルクリニックや歯科医院を探してみるのも良い方法です。 また、通常の歯の治療の際にも言えることですが、これから行う処置や治療方法についてしっかり説明してくれることや、歯や口腔内全体の健康を考えてくれるかという部分に注目するのも、良いクリニック選びのポイントとなるでしょう。他にも、院内が清潔であったり、設備の充実や予算までしっかり説明してくれるなども実際にクリニックを利用した人にとって、満足度に大きく影響する要素です。 近年は、歯科医やデンタルクリニックが増加傾向にあり、特に東京などの都市部では、どのクリニックが良いのか迷ってしまうかもしれません。治療ほど頻繁に通う必要のないPMTCですが、アクセスの悪い場所であったり、開業時間が生活スタイルに合わない場合は避けたほうが良いかもしれません。
11.PMTCはどれくらいの頻度で受けたらよい?
一度PMTCを受けて、綺麗にクリーニングをしたからといって、その状態が永続するわけではありません。
毎日の飲食は、歯と歯の隙間、歯と歯茎の間に少しずつ歯垢を蓄積させていってしまいますし着色汚れも少しずつ増えていきます。一般的に、PMTCの効果を継続させるためには半年に一度、PMTCを受けることが望ましいと言われています。ただ、生活習慣や普段どのような飲食物を好んで口にしているかは人によって違いがあります。また、歯の形、大きさ、歯並びなどの個人差もあります。もし、歯並びの状態がどちらかというと悪いタイプであったり、喫煙習慣がある場合は半年に一度ではなく、3ヶ月に一度がPMTCを受ける頻度の目安になります。
PMTCをどの程度の頻度で受けるのがふさわしいかどうかは、実際に歯を検診する歯科医の判断に左右される場合もあります。そのため、あるクリニックでは半年に1回のPMTCを薦められ、別のクリニックでは3ヶ月に1回と薦められる場合もあるかもしれません。3ヶ月に1回は、バイオフィルムの再生という観点から見ると理に適っているかもしれません。虫歯の原因には、歯垢や歯石に加え、歯の表面にある、バイオフィルムという細菌群があります。いわば、細菌同士が手をつなぎ集団となっているもので、しつこい台所汚れに似ています。PMTCでは、このバイオフィルムを特殊な機器や、研磨ペーストなどで徹底的に洗浄し、虫歯や歯周病の予防をしますが、たいてい3ヶ月もすると、このバイオフィルムは再形成されてしまいます。バイオフィルムの形成が、即虫歯や歯周病につながるわけではありませんが、毎日の歯磨きでもおよそ10~20%は残ってしまうと言われている磨き残しともあいまって、時間経過とともにリスクが高まるのは否定できません。そのため、半年に1回でも十分予防効果はありますが、バイオフィルムの再生を考えて、3ヶ月に1回のPMTCが望ましいかもしれません。
12.PMTCが歯科治療にもたらした効果とは
健康な歯は、健康な生活のためにも大切な要素となっています。例えば、かみ合わせが悪さが腰痛の引き金になることもあれば、歯の神経が頭痛など体の痛みを誘発することもあるのです。
そのため、虫歯や歯周病の治療はもちろん、健康な歯や口腔環境を維持することは、健やかに日々を過ごす上でとても大切なことだと言えます。デンタルクリニック(歯科医院)は、そういった意味でも大切な役割を担っています。さらに、近年は歯科治療の考え方や技術なども進歩しており、昔のようにすぐに削ってしまう、抜いてしまうといった治療方法は少なくなっています。中でも、PMTCは歯科治療にとって大きな変革と言えるかもしれません。もともとは、海外で虫歯や歯周病にならないための「予防」が大切だという概念の元、広く普及してきたもので、日本国内ではまだまだPMTCでの予防が広まりきっていないともいえます。ただ、単なる寿命ではなく、健康寿命を伸ばそうという動きも高まっている今、虫歯や歯周病に対する治療の技術はもちろん、まず虫歯にならないようにするというのは、非常に理にかなっていると言えるでしょう。
また、元々ある自分の歯だけでなく、PMTCはインプラント(人工歯根)を細菌に感染しにくくし長持ちさせる効果もありますし、糖尿病や更年期の女性に多く見られる、骨粗しょう症による歯への悪影響に対抗する手段にもなりえます。もし、初期の虫歯がみつかったとしても、PMTCは虫歯の悪化を防いだり、その歯の周辺へ細菌が感染するのを防ぐこともできます。様々な観点からPMTCが歯科治療にもたらす効果を考えると、患者にとってはもちろんのこと、難しい治療や大きなリスクをとらずに済むという点で、歯科医にとっても、PMTCは前向きに行っていきたいものと考えられるのでしょう。