JUGEMテーマ:今日の晩ご飯

クリスマスに姪夫婦からもらったドイツ料理の本
をぱらぱらめくって、とりあえず作ってみることにしたのがグーラッシュ(ハンガリー料理ではあるが、ドイツで定着しているらしい)とザウアーブラーテンだった。

で、一月三日にはまず、グーラッシュを作ってみた。これはほとんど普通のビーフシチューと同じ。唯一の違いは焼き色をつけた牛肉に小麦粉をまぶして炒める前、たっぷりパプリカを入れて炒めてから小麦粉を加える、ということだけだった。それだけで微妙に風味が違うが、かなり美味しい。圧力鍋を使ったのでそれほど時間をかけずに出来た。野菜も色々入っているので、ガーリックブレッドとゆでたサヤインゲンを添えただけでシンプルにいただいた。


そしてこの日曜日、ザウアーブラーテンの作業を開始したのである。これはまず、肉を三日間、マリネしなくてはいけない。牛のランプ肉の塊を買ってきた。未知のレシピで特に塊肉の料理に挑戦するときは、調理時間などの加減がわからないので、とりあえずすべてレシピどおりの量でやっている。今回は5ポンド(2.26キロ)の塊である。なんと37ドル!こ、これで失敗したら37ドルの生ゴミになってしまう…(冷や汗)。
ザウアーブラーテンは、酸味のあるマリネ液に漬け込んだ肉をローストする料理で、地域によって多少レシピが異なるようだ。今回のレシピは英語名がRhineland Marinated Pot Roast、ドイツ語名はRheinischer Sauerbraten。つまり、ラインラント風ザウアーブラーテンというわけ。

まずは最低三日間肉を漬け込むということで、日曜日にマリネ液を作った。水とお酢、半々の液に薄切りの玉ねぎ、ニンジン、クローブ、粒のままの黒胡椒、ピックリングスパイス(ピクルス用にブレンドされたスパイスミックス)、それにネズの実(アメリカではJuniper Berries、ドイツ語ではWacholderbeerenと呼ばれる木の実を乾燥させたスパイス。ドイツ料理には欠かせないらしい)、月桂樹の葉を入れて煮立てて冷ます。


こちらがお肉。5ポンドともなるとずっしり重く、貫禄十分。こちらには塩コショウをたっぷりすりこむ。今回は既に糸がかかっていたが、そうでなければ自分で糸を巻く必要がある。


これを、大きな容器(金属は酢でダメージを受けるのでダメ。ホーロー、ガラス、プラスチック、陶器など)で、肉が完全に漬け汁に漬かるようにする。我が家では大きなタッパーウェアがあったのでそれを使用。そのまま冷蔵庫に入れて三日から五日間漬け込む。一日に2-3度肉をひっくり返すのだが、私は完全にこれを忘れてしまった(笑)。


さて、三日後の今日。昼過ぎに漬け汁から肉を取り出して、ペーパータオルでよ~~~く水分をふき取る。これをしないと次の作業がうまくいかないので注意。肉は茶色っぽくなっている。心なしか柔らなくなったような気も。


漬け汁も透明だったのが、こんな色になっている。この漬け汁は、煮汁として使うので、ざるで漉してとっておく。残った野菜やスパイスはそのまま捨てる。


さて、今回私はダッチオーブンを使うつもりだったが、気づいてみれば私の3クオートサイズのダッチオーブンは小さすぎる。なので急遽、圧力鍋を普通に使うことにした。厚手の鍋を使い、重い蓋でしっかり空気が漏れにくいようにすることが大事なのだが、圧力鍋で加圧はしたくない。しかし普通モードで調理すると湯気がどんどん漏れる。どうしよう?と一瞬考えたが、ちょうど鍋の口径が同じなので、蓋はダッチオーブンのものを使い、蓋と鍋の間にアルミ箔を挟むことでさらにしっかり蓋の効果が出た。まあ次回作るときはダッチオーブンに入るよう、もっと小さい肉で作ることにしよう(笑)。二人なので3ポンドもあれば十分すぎる。

次は煮るのに使う鍋でバターを溶かし、ベーコンを炒める。バターとベーコンの代わりに、ヨーロッパでは今でもよく使われているラードでもいいそうだ。アメリカではラードを料理に使う人は今はかなり少ないんじゃないだろうか。

脂がしっかり出たところで肉を入れて、15分くらいかけてしっかり全体に焼き色をつける。3-5分おきくらいに角度を変えてしっかりサイドも焼くことが大事。

焼き色がついたら、いったん肉を取り出して、薄切りにした玉ねぎをよく炒める。あめ色になったら肉を戻し、そこへ、肉の高さの半分まで漬け汁を注ぐ。再び、クローブ、ネズの実、月桂樹の葉を入れて煮立てる。煮立ったら火をとろ火にして、英語で言うSimmer(とろ火でことこと煮る)の状態にする。これで約4時間。その間、2-3回肉をひっくり返す。

調理中の写真を撮る余裕があったのはここまで(笑)。

さて、もうすぐ煮える、というタイミングを見計らいながら、付け合せにこれまたドイツの伝統料理、ジャガイモのお団子を作る。この本にはお団子だけでまるまる一章ができており、それはまあいろんなお団子があるものだ。ジャガイモ団子だけでも三つあり、今回はCooked Potato Dumplings (Gekochte Kartoffelklösse) つまり、調理済みのジャガイモ団子、というわけだ。これは前日にジャガイモを茹でてつぶしておく、とレシピにはある。同日でもいいのだろうが、多分冷ましておかないと調理しにくいということだろうと思う。

これに小麦粉と軽く泡立てた卵を混ぜて、小麦粉をまぶした上でよく練る。そして団子状に丸めるのだが、このとき、芯にクルトンを入れる、とあるのが面白い。沸騰したお湯で10分ほどゆでる。浮き上がってきたら出来上がりである。

これにほうれん草のクリーム煮を添えることにした。こちらは別にドイツ料理というわけではない。ホワイトソースを作り、茹でて刻んだほうれん草を良く混ぜて、塩コショウで味を調えるだけ。

さて、ジャガイモ団子をこね終わった辺りで肉が煮えた。ここでいったん煮えた肉を出して温めておいた皿に載せ、アルミ箔をふわりとかぶせておく。煮汁をまた漉して綺麗にして、鍋に戻す。

バター、小麦粉、砂糖を2:3:2の割合で用意する。バターを小鍋に溶かし、とろ火で小麦粉、砂糖を加えて炒めていく。焦がしてはいけないので、かなり注意が必要だ。だんだんパサパサ、ぽろぽろの白いそぼろのようになってくる。それでも根気良く炒めていると、だんだん黄色くなり、やがて薄茶色になる。それをさらに炒めて、「濃いカラメル」の色にする。それを煮汁に入れる。レモンの絞り汁も煮汁に入れて、加熱しながら泡だて器か木のスプーンでしっかりとかき混ぜながらよくなじませる。なじんだらグレイビーの出来上がりで、ここに肉を戻す。グレイビーが煮立ったらとろ火にしてまた10分煮る。

小麦粉と砂糖を炒めている間にお湯を沸かして、肉を再び煮始めたら同時にジャガイモ団子を茹でる。ジャガイモ団子が茹で上がった頃、肉も完成。肉を取り出して切り、グレイビーを上からかける。好みでサワークリームをちょっと落としてもいい。グレイビーそのものにサワークリームを混ぜれば、バヴァリア地方のスタイルとなる。トマトピューレを入れてもいいそうだ。

ちなみに、肉をマリネしている時にひっくり返すのは均等に漬けるためらしく、これを怠った私の肉は、下の部分だけかなり柔らかくなって、切る時にちょっと崩れた。この崩れた部分も美味しいのだけど(笑)、見た目はちょっと汚くなってしまった。次回はちゃんとやろう。

というわけで、出来上がり、肉好きの夫には大きなスライスを(写真)。私はもっと小さいスライス(笑)。11月末に作った自家製のクランベリーゼリーを添える。ドイツでは林檎の甘煮を添えたりするあしい。酸味のある果物の煮物はこういう肉料理に合うのだ。


まずはジャガイモ団子。モチモチしてとても美味しい。イタリアのニョッキとよく似ている。もうちょっと小さく作ってもいいかな、と思ったが、中にクルトンが入っているのはとても面白い。モチモチの中にカリッとしたクルトン。夫はこれがとても気に入ったようだった。グレイビーをたっぷりつけて食べると美味しい。これはクルトン無しで小さめに作り、和風のタレ(みたらし風とか)をつけてもう一度焼いたらものすごく美味しいかも!

そしてザウアーブラーテン。肉好きの人にはたまらない一品だと思う。何しろ肉を食べているという実感がすごい(笑)。そしてソースが美味しい!甘酸っぱいけれども肉の旨味もしっかりと出ていて、わりとさらりとしたソースである。多分上記の小麦粉+砂糖の量を増やすともうちょっととろみが出るのだろうが、牛肉のポットローストにはこういうさらさらソースが合うと思った。

今度はブリスケット(肩バラ肉)で、漬け込まずにこのソースで作ってみようかと思う。このソースはいいなあ。本格的に漬け込むのは手間がかかるし、冷蔵庫の場所も取るので、そうそうしょっちゅう作れるレシピとは言えないが、圧力鍋で普通に作ればあっという間なので、ちょっと応用してみたいと思う。

ちなみにこのザウアーブラーテンは夫の母の思い出の料理である。本人はドイツ料理はほとんど作らないのだが、子ども時代、彼女の伯母がクリスマスに必ず作っていたのだそうだ。「あれは美味しかったわ」と目を細めて語ってくれた。ドイツ料理の本をもらった時、この料理をマスターしたい、と思ったのも、いつか義母に作ってあげたいなあ、と思ったからだ。しかし実家が遠いので、四日以上滞在するか、漬け込んだものをクーラーボックスに入れて持っていくしかない(笑)。まあ、いつか方法を考えよう…。

何はともあれ、半日がかりの大仕事だったがとても面白かった。何より37ドルの肉が生ゴミにならなくて良かった良かった(笑)。たくさん残っているが、ちょうど木曜、金曜と私は夜に仕事があるので、これで夫の夕食は安心だ。残ったお肉をさらに温めるとどんどん煮崩れてくるのだが、これがまた、パスタにかけたりするとなかなか美味しいらしいので、楽しんでもらおう。
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