ステロイドを塗ると副作用で色素沈着が起こるって本当?
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アトピー性皮膚炎の治療に使うステロイド外用薬の副作用として、
ステロイド塗り薬を使うと、皮膚に色素沈着が起きてしまいます!
のように言われることがあります。
実際、アトピー性皮膚炎が酷い状態が続き、その後改善した方には、
皮膚に、黒い(灰色)色素沈着が起きている場合が多いです。
このような色素沈着が皮膚に生じるのであれば、アトピーが辛くても、
ステロイド外用薬は絶対使いたくない!
と思うのも仕方ありません。
そこで、この記事では
- ステロイド外用薬の使用で皮膚への色素沈着は起こるのか?
- 色素沈着はどうしたら予防できるのか?
という点についてご説明したいと思います。
- アトピー性皮膚炎の方に色素沈着が多い本当の理由
- 色素沈着を防ぐための方法と注意点
1. アトピーの人に色素沈着が起こる本当の理由
アトピー性皮膚炎の重症患者さんで、治療の結果として皮膚炎が無くなった場合、皮膚炎があった部分に黒く色素沈着が起こることがあります。
結論から言えば、この色素沈着が起こる理由は、
アトピー性皮膚炎の重症化・慢性化
であって、ステロイド外用薬の副作用によるものではないことが分かっています。
ただし、アトピーの方の首周辺に多く見られる、さざ波状の色素沈着に関しては、ステロイド外用薬の使用の関係性が指摘されています。
このようなアトピー性皮膚炎の慢性化に伴う色素沈着は、皮膚炎が良くなれば、時間の経過とともに薄くなっていき、目立たなくなっていきます。
ただ、薄くなっていくのには数ヶ月以上かかることが通常ですし、完全に色素沈着を解消するためには特別な処置が必要となるケースもあります。
ですから、アトピーの場合には、出来る限り色素沈着が起こらないように注意していくことが大切となります。
そのためにも、色素沈着が起こる理由について、まずは詳しく見ていきましょう。
1-1. 色素沈着が起こる仕組み
アトピー性皮膚炎に限らず一般的に、慢性的な皮膚の炎症・湿疹が治ったあとには、その部分には色素沈着が起こることがあります(炎症性色素沈着)。
アトピー性皮膚炎は、他の皮膚炎や湿疹に比べて慢性化してしまうという特徴をもっていますから、より色素沈着が起こりやすいと言えます。
つまり、
アトピーの方に色素沈着が多いのは、ステロイド外用薬の副作用ではなくて皮膚炎の慢性化が原因
ということです。
1-2. ステロイド外用薬が色素沈着の原因と勘違いされる理由
このような事実から、医師などの専門家は、
ステロイド外用薬で色素沈着が起こることは有りませんよ。安心して使って下さい。
と言ってくれるわけです。
でも、アトピーの患者の立場からすると、
やっぱりステロイドを塗ると色素沈着が起こるのでは?
のように思ってしまいます。
特に、脱ステロイドで悪化・重症化したアトピー性皮膚炎を、ステロイド外用薬で綺麗にした場合などに、こう感じることが多いです。
その理由は、
- 皮膚炎が酷くて、掻き壊しや紅班が広範囲にある状態だと、色素沈着が起こっていても見えない。
↓ - その後、適切にステロイド外用薬を使って皮膚炎が綺麗になる。
↓ - その時に初めて色素沈着が起こっていることに気づく。
という風に、ステロイド外用薬の使用開始(再開)と色素沈着の発見のタイミングが近く、そこに因果関係を感じてしまうからです。
でも、繰り返しますが、色素沈着が起こるのは皮膚炎が慢性化してしまったせいであって、ステロイド外用薬の副作用ではありません。
1-3. ステロイド外用薬は色素沈着とは全く無関係か?
基本的には、ここまでのお話のように「ステロイドを塗っても色素沈着は起こらない」と考えて問題はないのですが、
「ステロイド外用薬の使用が、首周辺の皮膚の色素沈着の一因となっている」という説もあるようです。
首のアトピー性皮膚炎が長期化してしまった場合には、さざ波のような規則的な模様の色素沈着が起きてしまうことが多いです。
これは、慢性化した皮膚炎や掻爬・摩擦などによって起きた色素沈着が、
ステロイド外用薬を塗ることで、色素沈着がさざ波の様な形になってしまうためと考えられています。
このようなことを考えますと、ステロイド外用薬の使用と色素沈着は全くの無関係ではない、とも言えます。
しかしそれでも、色素沈着の主原因は、長期に渡る皮膚炎の存在と掻爬(掻き壊し)・摩擦であることは変わりありません。
※ 「ステロイド外用薬と首の色素沈着との関係性」についての当セクションの文章は、ウェブサイト『アトピー覚書』様の記事を参照して作成致しました。
2. アトピーでも色素沈着にならないために
アトピーの人に色素沈着が起こってしまう理由の次は、その予防法についてです。
まずは、基本となる色素沈着の予防法からお話します。
2-1. 色素沈着を防ぐための大原則
色素沈着の原因は、「皮膚炎の慢性化、長期化」・「掻き壊しや摩擦」ですから、
これを防ぐためには、
皮膚炎を出来るだけ早く綺麗にすること、慢性化させないということ
が必要です。
皮膚炎が綺麗に無くなれば痒みもかなり減りますから、掻き壊しや摩擦といった色素沈着の原因も消えることになります。
そして、皮膚炎を早く治して長期化させないためには、適切にステロイド外用薬を使うことが必要不可欠となります。
逆に、ステロイドの副作用を必要以上に怖がって、脱ステロイドによるアトピー治療を行ってしまえば、皮膚炎はどうしても長期化してしまいます。
ですから、結果的に運良く脱ステロイドでアトピー性皮膚炎が出なくなったとしても、色素沈着は避けられません。
2-2. 首まわりの皮膚には特に注意が必要
顔や首周り・手といった皮膚は、他人から見える部分ですから、容姿の観点からは特に気になるポイントです。
首は衣服で隠れていないため掻きやすく、掻くことに対しての抵抗感は顔面ほど大きくないため、掻く回数がどうしても多くなりがちです。
こういった事情から、首の皮膚炎は慢性化しやすく、掻爬(掻き壊し)も多くなってしまいます。
そしてその結果として、首のあたりの皮膚には色素沈着が起きやすくなってしまうのです。
このように、首周辺の皮膚は、
- 他の部位に比べて色素沈着が起こりやすい
- 色素沈着が周囲からも明らかとなり、見た目のデメリットが大きい
という特徴を持っていますから、特に注意して色素沈着を防ぎたい部分だと思います。
首の色素沈着を防ぐためには、
- (他の部分と同様)ステロイドをきちんと塗って、皮膚炎を早く鎮める。
- ステロイド外用薬の強さを間違えない。
- アトピー悪化原因の除去をきちんと行う。
といったポイントを守ることが大切です。
首の皮膚は、腕や背中の皮膚に比べてステロイドの吸収率が高い※ですから、使うステロイド外用薬の強さも弱めに調節する必要があります。
※ 首の皮膚のステロイド吸収率は、前腕部を基準(1.0)すると6.0程度でして、顔面の13.0に比べれば低いです。
イメージ的には、顔面の皮膚と前腕部のちょうど真ん中あたりの吸収率となっています。
ですから、手脚や体幹部と同じクラスのステロイド外用薬(例えばベリーストロングなど)を使うと、皮膚萎縮などの副作用が出やすくなってしまいます。
皮膚萎縮は色素沈着がさざ波様になる一因であるとの説もあり(※ 参照元:同上)、首特有のさざ波のような色素沈着を防ぐためには、皮膚萎縮の副作用を防ぐ(程度を軽くする)ことが大切です。
また、首のアトピー性皮膚炎を慢性化を防ぎ、ステロイド外用薬の使用量を抑えるためには、
首のアトピーが悪化する原因を特定して、取り除いていく作業が必要です。
アトピー悪化原因には色々とありますが、少なくとも首の皮膚炎に関して言えば
- 汗の付着(特に夏場)
- 紫外線
- 乾燥(特に冬場)
- 刺激になる素材の衣服
などは、明らかなアトピー悪化原因です。
夏場であれば、「定期的にきちんと汗を拭いて日焼け止めクリームを塗る」という対策、
冬場であれば、「頻繁に保湿を行って乾燥を防ぎ、タートルネックなどの服は着ない、マフラーの素材に気を付ける」などの対策は、最低限行わなくてはなりません。
以上を要約すれば、首の色素沈着を防ぐためには
適切な強さのステロイド外用薬をきちんと使って、出来るだけ早く皮膚炎を鎮める。
その上で、皮膚炎が出にくくなるようにアトピー悪化原因の除去を行っていく。
ということが大切となります。
3. 色素沈着を理由にステロイドを使わないのは間違い
以上のように、
アトピーで色素沈着が起こるのは、皮膚炎の慢性化が原因
でして、ステロイド外用薬の副作用が原因ではありません。
そして、皮膚炎の慢性化を防ぐために最も有効な方法は、ステロイド外用薬の適切な使用です。
このように考えれば、
色素沈着を理由に、ステロイドを使わないのは重大な間違いである
と言えます。
実際には、
ステロイドをきちんと使わないと、色素沈着が起こってしまう
わけですから。
4. まとめ
最近ではかなり減ってきたように感じますが、
ステロイド外用薬の副作用についての誤った情報をアトピー患者に与えて、ステロイドへの恐怖心を煽り、自社商品を「唯一のアトピー治療法」として販売する
という悪質でモラルの無い営業手法が確かに存在します。
色素沈着についても、この営業手法の1つの「ネタ」として良く使われてきましたが、
色素沈着はステロイド外用薬の副作用ではありませんから、このネタで営業してくるようなアトピービジネスは無視した方がが安全です。
とは言え、「ステロイドは安全なお薬!」と言い切り、その安全性を過信してしまうのも問題です。
アトピー患者にとっては、
ステロイド外用薬の副作用についての事実を知り、副作用のリスクを高めないように正しく使う
というようなスタンスがベストだと思います。