酵素ダイエットというものをご存知でしょうか?
最近、テレビなどのメディアでちょくちょく取り上げられ、話題になっているようです。
そして、この知恵袋内でも、
「どれくらい効果があるの?」だとか
「おすすめの酵素ドリンクを教えて!」といった質問を多く見かけます。
しかし!
はっきり言いまして、酵素がダイエットに効く、というのは
真っ赤なウソ、なんです。
しかしながらあまりにも騙されていらっしゃる方が多く、
Q&Aの方でかなりの質問に対応してきましたが、
どうにも私の思っている以上に信じてしまっている人が多いようなので、
ここで知恵ノートという形で書かせていただくことにしました。
①そもそも、酵素って何なの?
まず、酵素というものがそもそも何者なのか知るところから始めましょう。
酵素とは、簡単にいうと、体の中のいろいろな所でいろいろな反応を手伝ってくれる、便利な物質です。
…少々雑な表現になりましたが(笑)、酵素というのは、酸素や水素などと異なり、
ある一種類の物質を指す言葉ではないのです。
酵素が何でできているのか
酵素は全てタンパク質の一種です。
そしてタンパク質とは、20種類のアミノ酸があらゆる順番・数で鎖状に繋がった物質です。
酵素の職場と仕事内容
各酵素は、それぞれに存在場所と仕事が決まっており、
たとえば胃の中で食べ物を消化する酵素や
筋肉を動かすためのエネルギーを生む酵素などたくさんありまして、
自分の仕事以外の働きをすることはできません。
ポイント
- 要するに、一口に「酵素」と言っても、いろいろな種類のものがあり、それぞれが異なった役割を持っている、ということです。
以上の理由から、酵素が体内で重要な働きを担っていて、
人体に決して欠かすことのできないものであることは紛れもない事実です。
②「酵素ダイエット」のしくみ
酵素が生体内で重要な働きを担う、ということを①で述べてきました。
では次に、メディアなどの主張する「酵素ダイエット」のしくみについて見てみましょう。
要するに目的は、酵素の補充であるらしい
簡単な説明によれば、「体の中で使用される酵素が不足してしまうとよくないから、酵素を摂取しよう!」とのこと。
体内でいろんな働きを持つ酵素が不足するから、様々な不調がきたされる。
だから、酵素を多く含む食べ物を摂って、足りない分を補充しよう!っていうことらしいです。
ポイント
- 特に、胃腸などの消化管内で働く消化酵素や、脂肪燃焼などの代謝反応を促進する酵素の補充、といった意味合いで言っているようです。
③何が間違っているのか
タンパク質の消化・吸収について
先ほど書きましたように、酵素はタンパク質の一種です。
そして、ここが最も重要なのですが、
タンパク質は種類によらずどんなものでも消化液により分解され、アミノ酸として吸収されてしまうのです!
ポイント
- 結局、酵素を摂取しようが、コラーゲン豊富なアンコウ鍋を食べようが、肉や野菜を食べようが、そこに含まれているタンパク質は20種類のアミノ酸に分解されてしまうのです。
※コラーゲンもタンパク質の一種です。酵素ではありませんが。
※アドバイスにてご指摘いただいた通り、タンパク質自体の構造のために分解されにくいものもありますが、そういったものはそもそもほとんど体内に吸収されません。
吸収されたアミノ酸はどうなる?
さて、めでたく(笑)アミノ酸レベルにまで分解されて吸収された後はどうなるのか、と言いますと、
アミノ酸たちは体内のいろいろな反応経路で使われていきます。
大事なことは、元のタンパク質を合成するのに使用されるとは限らない、ということです。
ポイント
- 体内に入ったアミノ酸は、元のタンパク質に戻るどころか、むしろそれ以外で使われる割合の方が圧倒的に高いです。
つまり、たとえばコラーゲンを摂取しても、
そこで得られたアミノ酸のうち体内でコラーゲンの材料になるものはほんの一部です。
(こうした理由から、コラーゲンの摂取がお肌に良い、というのもデタラメです。)
もちろん同様に、酵素を摂取したからといって、体内で不足している酵素を補えるわけではないのです。
消化酵素を摂取したから消化酵素が効率よく補えるなんてありえません。
これが、この知恵ノートで私が一番言いたかったことですが、
同等の栄養を得る上で、摂取するのが酵素である必要はないのです。
もっと言えば、「消化酵素」だけでもいくつも種類がありますからね。
★論理としては、「髪の毛が薄くなってきたら、髪の毛を食べればいい」というくらい破綻しています)^q^(笑
④なぜ騙されてしまうのか
しかし、多くの人が騙されてしまう本当の理由は、別のところにあります。
それは、「メディアの流す情報の過信」です。
自分の頭でしっかり考え、疑問に思ったことは自力で調べる、
テレビなどの情報を鵜呑みにする、という姿勢こそが、
注意
- 情報化社会と呼ばれる現代では、常日頃からさらされている情報に疑いの眼を向け、その真偽を見極める力が問われています。
- ニセモノの情報に惑わされたり、騙されたりすることのないよう意識して生活していきましょう。
実際に効果があったという口コミを目にしたら
- どれだけの効果が期待できるかなどを知るために、口コミを参考になさる方も多いかと思います。すると、「効き目があった」というものを目にすることもあるでしょう。これについて考えられることは、主に3つ挙げられます。
- (1)サクラ
「この商品を宣伝する口コミを書けば、報酬がもらえる」という手のお小遣い稼ぎサイトが存在します。
実は、口コミサイトでは、こうしたお小遣い稼ぎのために、実際に使用したわけでもないのに根拠なく宣伝文句を垂れ流す人が大勢います。酵素ダイエットに限らず、十分注意しましょう。 - (2)プラシーボ効果
- 「酵素がダイエットに効く!」という思い込みが、実際の効果として現れる場合があります。これをプラシーボ(偽薬)効果といいます。
- 「効果が現れるなら、それでいいじゃないか(・3・)」と思うかもしれませんが、これによる効果が得られる人は恐らく一部でしょうし、これを許容していたら何でもアリになってしまいます。
- 科学的根拠に基づく、ある程度確実な方法の普及の障害にしかなりません。
- (3)酵素食品に含まれる酵素以外の栄養効果
- 「懐疑的だったのに、本当の本当に効果があったんです」という人もいるでしょう。しかし、ちょっと冷静に考えてみて欲しいのですが、酵素食品と謳われているものは、酵素しか含まないのでしょうか?
- 答えはもちろんノー!です。実際の酵素食品の宣伝等を見ると、「それらしいものを入れときゃいいっしょw」と言わんばかりにいろいろな栄養素を詰め込んでいることが多々あります。中には、「一度にそれ以上摂っても効果は変わらないよ」という最大値を超える量が入っていることもあるようです。
- そして考えなければいけないのは、「その栄養を得る上で、本当に酵素食品でなければならないのか」ということです。たとえば、乳酸菌飲料系の酵素ドリンクがあったとします。乳酸菌飲料については、整腸作用に関して科学的な効果が実証され、特保指定されている商品もあります。そこに酵素を入れた商品にどんな効果があるかというと…
- もちろん、乳酸菌飲料としての効果が得られることは十分ありえます。しかし、それなら余計に酵素なんて入ってなくても、もっと安価な乳酸菌飲料を買えば良いのです。酵素食品は高価です(私が見た「ランキング1位」のものでは、2~12日分で8千円もしました)。何度も言いますが、「同じ効果を得るのに、本当に酵素食品である必要がありますか?」
- ※誤解している方が散見されるのでここで言っておきますが、酵素食品と発酵食品は別物です(→
おわりに
所詮商売なんていうものは、売れれば勝ちの世界です。
メディアで取り上げられ、ネットでオススメの口コミが溢れて話題になるのも、
話題になっていれば「酵素」というワードを使えば売れる。
情報の真価を見極められるのは、あなたのその眼以外ではありえないことをどうか忘れないでください。