蹴りたがる女子はなぜ増えた?
キック系ジムに通うホントの理由
2014年4月24日
キックボクシングジムが好調
テレビから格闘技(キックボクシング、総合系)が消えて数年……あれだけ人気だった格闘技ブームも下火になり、大みそか恒例のビッグイベントは、今やアントニオ猪木のIGFだけ。普通に生活していても格闘技を見かけることなんて、トンとなくなってしまった。
そんな世の中なのに、格闘技系エクササイズのジムは好調らしい。しっかりとした統計は取っていないので、あくまで“らしい”ということにしておきますが、「特にキックボクシング系のジムが増えていますよね」。そう語るのは、K−1をはじめあらゆる格闘技大会でレフェリーとしても大活躍している、スキンヘッドがトレードマークの和田良覚トレーナーだ。しかも、最近はモデルの道端アンジェリカさんがキックボクシングエクササイズの本を出版するなど、特にキック系は女性の注目を集めている。
ランニング、ヨガ、ピラティスなど女性が好みそうなエクササイズは数あれど、なぜ蹴りたがる女性が増えているのか?
女性会員およそ4割の「HAYATO GYM」
そんなことを疑問に思いつつ、今回訪ねたのは東京・目黒区にある『HAYATO GYM』。東急東横線の学芸大駅から徒歩1分にあるキックボクシングジムだ。代表を務めるのはHAYATOさん。UKF世界スーパーウェルター級王者、K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定T準優勝など数々の実績を持ち、またさわやかなスマイルも人気だった元トップキックボクサーである。
このジムはとにかく女性会員が多い。全体の4割近くが女性とのことで、「特に女性向けにジムを作ったわけではないのですが、女性が入会しやすいようにすれば、自然と男性会員も入ってくるだろうなと思って」とHAYATO会長。オープンして4年目になるが、白い壁、黄色の床は新築かと思うほどピカピカで明るく、何より汗臭くない! 女子が一般的に抱いていそうな格闘技系ジムのイメージとは正反対だ。また、入り口のドアは常に開放されており、受付が女性スタッフだから、女性でも気軽に見学できそうな敷居の低さも感じられる。
ダイエット、ストレス発散、そしてカッコいい
さて、本題に入りましょう。なぜ、格闘技を日常的に見なくなったのにエクササイズとしてキックボクシングを選ぶ女性が増えているのか?
「ダイエット、ストレス解消にはもってこいですね。お尻、足に効果的ですし、腰のねじれを使いますので、お腹回りはかなり絞れますね」
HAYATO会長が言うには、キックボクサーはムラなく筋肉がついており、きれいな体をしているとのこと。なるほど、思い起こせばキックボクサーは総じてシュッとした体型の選手が多い。先述した和田トレーナーも同意見だ。
「やっぱり体を捻転させますから、お腹の回りに対しては効果バツグンです。また、キックボクシングは上半身だけじゃなく足も使いますから、まさに全身運動。上から下から全身を使って動かすということはコンディションも整えられますし、絶対におススメしたいですね」
さらに和田トレーナーは、ストレス発散、ダイエット効果以外にも、女性がキックに注目する理由として、次のようなことを言っていた。
「もしかしたら、バンテージを巻いたり、グローブをはめたりするのはカッコよく見えますから、そういったカッコいい女性に憧れる人がキックを始めたりするのかもしれないですね。それにミットに向かって思いっきり蹴ったり、殴ったりするのは特に女性にとっては非日常的ですから、ランニングやヨガではつまらないという人がそういう刺激を求めて来るのではないでしょうか」
また、HAYATO会長、和田トレーナーが口をそろえて語っていたのは、キックボクシングは1人でするものではないということ。コンタクトスポーツであるから、ミットを打つにしてもミットを持ってくれるトレーナーがいるわけだし、またみんなで一緒にわいわいトレーニングできることが大きな魅力の1つだという。
キック系女子に突撃インタビュー
もちろん、実際にジムに来ている女性にも話を聞いてみなければホントのところは分からない。と言うわけで、何人かを取材してみた。
「体力をつけたかったことと、普通のフィットネスジムより面白いことをやりたいと思ってこのジムに入会しました。3カ月くらいになりますが、体が引き締まってきましたし、実際に体力もついてきました。キックボクシングは爽快で楽しいです!」(ツユミさん/会社員)
「駅の広告の『キックでハラを凹ませろ』という文字につられて見学に来たら、ここのジムは女性がすごく多かったですし、みんな親切。キックボクシングも面白そうだったのでやってみようと思いました。実際にパンチもキックも面白いです。筋肉がついて体が締まってきましたし、1人で黙々と何かやるよりも、私はみんないっしょにやるのが楽しいので、今後も続けられそうです」(アイさん/看護師)
「私はもともと格闘技が好きで、家の近くにキックボクシングのジムができたのですぐに始めようと思いました。普通のスポーツジムでは物足りなくて、満たされなかったんです(笑)。仕事でたまったストレスを発散できてスッキリしますし、筋肉もついてダイエットにもなる。私にとってはなくてはならないものですね」(メグミさん/会社員)
「キックに興味のある女の子ってたくさんいる」
一方、整体師をしている女性は「キックボクシングは左右の手と足を使いますから、体のねじれやゆがみが取れて、体幹にすごくいいんですよ。体がまっすぐになりますよ」と、専門的な観点からキックエクササイズの効果を語ってくれた。さらに、この整体師の女性はこんな興味深いことを教えてくれた。
「キックボクシングに関心のある女の子ってたくさんいると思いますよ。実際に私の周りの友だちも気になっていた子がけっこういて、私がキックやってるって言ったら、『なんで誘ってくれないの?』ってみんな言いますから(笑)」
また、ちょうどこの日、体験入会をした女性もいたのでキックボクシング初体験の感想を聞いてみた。
「パンチやキックを打ってもトレーナーの方はまったく動じないので、思いっきり打って日ごろのモヤモヤをぶつけることができました(笑)。音がバシッと鳴るのが楽しいですし、腰をひねる運動でもあるのでクビレができそうな感じがします。今まで格闘技とはまったく無縁でしたが、すごく新鮮でしたし、これからも続けて通ってみたいなと思いました」(サツキさん/公務員)
健康で真に美しいボディになるために
取材を終えて、キックをやっている何人もの女性が共通して語っていた効果が「筋肉がついた」ということ。こう聞くと女性は敬遠するかもしれないが、ガタイが大きくなるというわけではなく、余分な脂肪が筋肉となり体脂肪も減る。つまり、体がシュッと引き締まり、健康的な体に生まれ変わるというわけだ。
最近では世界各国のモデル業界でもやせすぎは問題となっており、美しい体=健康的な体という見方にもなってきている。無理なダイエットで不健康にやせるのではなく、真に美しい体になりたい――そんな女性の要望に応えてくれるのが、キックボクシングと言えるのかもしれない。
なお、今回の取材に協力していただいたHAYATO GYMは、女性専門のクラスも設けているが、普段は決まった時間ごとにレッスンのコマ割りを区切っているのではなく、いつでも好きな時間・タイミングでトレーニングができる「オープンクラス」という形を取っている。この“いつ来てもOK”というシステムが時間に不規則な会社勤めの方にウケており、実際に取材した2時間ほどでも、次から次と男女問わず多くの会員さんが入れ替わり立ち替わりでトレーニングに励んでいた。
「女性の方に多く来ていただけるのももちろんうれしいのですが、男性のプロ選手もどんどん育てていきたいと思っているんです。ウチではプロを目指したい社員も募集していますので」とHAYATO会長。今回は“女子がたくさん集まるジム”として取材したが、HAYATO GYMではこのように男子のプロキックボクサー候補生・兼スタッフも随時募集している。
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)
取材協力:HAYATO GYM
東京都目黒区鷹番3-1-3 リエール鷹番2F
TEL. 03-6452-3459
E-mail. info@hayatogym.com
平 日:12:00〜22:30
土曜日:11:00〜20:00
日曜日:11:00〜18:00
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