更新日:2017年06月28日/ 公開日:2014年01月09日
疑義紹介で削減できた医療費は約236億円!患者さんの金銭的・身体的な不利益を防ぐ「疑義照会」の手順とポイントまとめ
本サイトの情報は、医療機関や厚生労働省など、可能な限り信頼できる情報を根拠にして調査・掲載しております。
ただし、効果にはどうしても個人差がありますので、皆様の判断と責任のもとで参考にしていただければ幸いです。
もし、体調が悪いときや身体に異変を感じている時には、当サイトの情報だけで自己判断せず、必ず医療機関を受診するようにしてください。
(※この記事は2017年6月28日に内容を更新しました)
こんにちは!
薬剤師ネットナビゲーターのジョンです!
薬剤師のあなたは、「疑義照会」をしたことがありますか?
疑義照会とは、薬局で受け付けた処方せんに不明点や疑問点があった場合のほか、患者さんに薬の副作用が出ている場合などに、その処方せんを書いた医師へ問い合わせをすることです。
つまり、患者さんの安全を守るためには、適切な疑義照会をすることが重要で、ある調査によると、疑義照会によって処方せんが変更される割合は約75%といわれています。
今回の記事では、そんな疑義照会の実態や実施方法のほか、薬剤師が疑義照会をスムーズにおこなうためのポイントをお話しします。
疑義照会の目的は患者さんの安全確保と医療費削減
冒頭でもお伝えしましたが、疑義照会とは医師の処方せんに疑問や不明点があった場合、薬剤師が医師(処方医)に問い合わせて確認することで、
薬剤師法の第24条に以下のように定められています。
そんな疑義紹介を、薬剤師が処方医に対しておこなう目的は、主に以下のふたつです。
- 1.患者さんの安全を確保するため
- 薬剤師は「医師から処方された薬が患者さんに合っているか」「ほかに飲んでいる薬の飲み合わせに問題がないか」など、患者さんの安全を確保する必要があります。
薬剤師が疑義照会をおこなうことで、患者さんに重大な副作用があらわれるのを回避できる可能性があります。 - 2.患者さんが負担するムダな医療費を削減するため
- 医師から処方された薬が適正ではなかった場合、患者さんの身体に影響があるだけでなく、医療費をムダに負担することになります。
たとえば、複数の診療科に通院している患者さんに同じ成分の薬が重複して処方された場合、薬剤師が処方医へ疑義照会をおこない、処方を取り消してもらうことがあります。
(疑義照会によって、どれくらい医療費が削減できているかは、あとでお話ししますね)
疑義照会は、患者さんが薬を処方されたことで身体的・金銭的に不利益をこうむらないために必要不可欠なものなんですね。
ここからは、その疑義照会がどれくらい行われているかなど、その実態についてお伝えしていきます。
疑義照会によって削減できた医療費は年間約236億円!疑義紹介の実態
薬局でおこなわれる疑義照会の実態については、日本薬剤師会が発行している「平成27年度 疑義照会調査報告書」にまとめられています。
そのなかから、今回は以下のデータを紹介します。
- 薬剤師が処方医へ疑義照会をおこなう割合
- 薬剤師が疑義を発見する経緯
- 疑義照会によって削減できた医療費
それぞれ順番に、説明しますね。
1:薬剤師が処方医へ疑義照会をおこなう割合
薬局が受け付けた処方せんのなかで、疑義照会をおこなっている割合は、受け付けた処方せん全体のうちの2~3%です。
(回答した薬局の数818)
全体でみると、疑義照会をおこなう割合はすくない印象がありますが、疑義照会をおこなったあとで処方箋を変更した割合は約75%になります。
つまり、薬剤師が疑義を感じた場合、実際に処方箋を変更する必要がある場合が多いことがわかりますね。
2:薬剤師が疑義を発見する経緯
薬剤師が疑義を発見する経緯としては、以下のように、処方せんの内容によって気づくのが1番多く56.1%、ついで、患者や・家族等へのインタビューが42.4%で2位となっています。
| 疑義発見時の経緯 | 件数 | 割合(%) |
|---|---|---|
| 処方せんの内容から | 4,269 | 56.1 |
| 患者・家族等へのインタビュー(服薬指導)から | 3,226 | 42.4 |
| 薬歴の内容から | 1,110 | 14.6 |
| お薬手帳の内容から | 326 | 4.3 |
| その他 | 124 | 1.6 |
3.疑義照会によって削減できた医療費
日本薬剤師会がおこなった調査によると、全国の薬局がおこなう疑義照会によって削減できた医療費は、なんと年間で約236億円にのぼります。
さきほど説明したとおり、疑義照会の目的のひとつである「ムダな医療費を削減すること」を実現しているといえますネ。
このように、調査結果をみると、疑義照会がおこなわれる割合自体は2~3%と少ないですが、照会した結果、処方箋を変更する割合は高いことがわかりました。
それはいいかえると、疑義照会をしたことで、患者さんが不利益をこうむるのを防いだケースが多いということです。
ぜひ、患者さんのために適切な疑義照会をしたいところですね。
では、最後に疑義照会の基本的な実施手順を紹介します。
疑義照会の実施方法
疑義照会には、大きくわけて以下の3つの手順があります。
- 処方せんの内容と患者さんの体調を確認する
- 処方医へ問い合わせをする
- 問い合わせ内容と処方医からの回答を記録する
それぞれについて解説します。
1.処方せんの内容と患者さんの体調を確認する
薬剤師は、処方せんを受け付けた際に以下の点を確認します。
- 処方せんに不備がないか
- 薬剤名に間違いがないか
- 用法・容量に間違いがないか
- 患者さんに副作用や薬物アレルギーが出ていないか
- 同一もしくは類似する成分を含む薬を重複して処方されていないか
- 複数の薬を処方されている場合、飲み合わせに問題がないか
上記に疑義があった場合、薬剤師は必要に応じて患者さんに「体調に問題がないか」「ほかの診療科で処方されている薬はないか」などを質問します。
そして、患者さんに確認した上で「処方医に確認する必要がある」と判断した場合、疑義照会をおこないます。
2.処方医へ問い合わせをする
処方医への疑義照会は電話でおこなうことが多いですが、ファックスやメールで問い合わせる場合もあります。
受け付けた処方せんや処方された患者さんの疑義を処方医にもれなく確認します。
3.問い合わせ内容と処方医からの回答を記録する
疑義照会が終わったら、処方せんの変更の有無にかかわらず、疑義照会の結果を処方せんの備考欄に記します。
記録するのは、主に以下の内容です。
- 照会した日時
- 照会先の医療機関の回答者の名前
- 照会方法(電話、ファックス、メール など)
- 照会内容
- 回答内容
- 照会した薬剤師の指名と押印
以上が、実際に疑義照会をするときの基本的な流れになります。
さらに、実はもう一点、疑義照会をスムーズにおこなうためのポイントがあります。
それは、処方医への問い合わせ方法です。
医師も一人の人間、もし、「処方の間違いを指摘された」という風に感じられたら、処方医は気分を害しきちんと回答してくれないかもしれません。
そのため、疑義をする時には以下のようなことを心がけると良いでしょう。
- 1. 事前に質問事項の要点をまとめてから担当医師へ連絡する
- 疑義照会に対応する医療機関の窓口の担当者や処方医は、忙しい業務のなかで問い合わせに対応してくれます。
そのため、話しながら考え込んでしまったりしないよう、事前に何を質問するかをきちんと準備しておきましょう。たとえば、「問い合わせる処方医の名前」「処方された薬の特徴や注意点」「副作用の症状」などとまとめておくと、疑義照会がスムーズにいきます。 - 2. 医師に判断を仰ぐような話し方を心がける
そこで重要なのが、処方医に判断を仰ぐような話し方をすることです。たとえば、薬の処方を変えた方がいい場合、「変更しても問題はございませんでしょうか?」と聞けば、きちんと処方医に相談しているニュアンスになり、処方医も回答しやすくなります。
また、その際に「保険請求の際に必要なので、お手数ですが確認させてください」といった一言を付け加えるなどすれば、その問い合わせの意義が伝わって、より医師の理解を得やすくなりますよ。
- 3. 疑義照会後に医師へ対応内容を報告する
- さきほどお伝えしたとおり、疑義照会は、医師へ問い合わせたあとに記録をつければ終了です。
ですが、必要に応じて問い合わせをした処方医へも報告をすることで、医師とのあいだに信頼関係が築けて、今後の疑義照会がスムーズになる可能性があります。たとえば、問い合わせをした結果、処方箋を変更したり、患者さんへ薬の服薬を指導したりといったことがあったなら、必要に応じてそれを報告してみましょう。
事後対応の内容をFAXやメールなどで送っておき、医師の手の空いた時間に確認してもらえるようにしておけば、処方医も安心できますよね。
いかがでしたか?
今回は、疑義照会の実態と実施手順および、疑義照会をスムーズにおこなうポイントをお話ししました。
疑義照会は、患者さんの安全を守るためやムダな医療費を削減するために必要不可欠なものです。
ぜひ、今回の記事を参考に、適切な疑義照会をおこなってくださいね。
※今回の記事は、下記のWebサイトを参考にさせていただきました。
本サイトの情報は、医療機関や厚生労働省など、可能な限り信頼できる情報を根拠にして調査・掲載しております。
ただし、効果にはどうしても個人差がありますので、皆様の判断と責任のもとで参考にしていただければ幸いです。
もし、体調が悪いときや身体に異変を感じている時には、当サイトの情報だけで自己判断せず、必ず医療機関を受診するようにしてください。