ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
乾癬
かんせん
psoriasis
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デジタル大辞泉の解説
かん‐せん【乾×癬】
家庭医学館の解説
かんせん【乾癬 Psoriasis】
乾癬は慢性で非感染性の皮膚疾患です。ギリシア時代の医学書に、すでにこの病気のことが記載されています。赤く、うろこ状にカサカサした斑点(はんてん)、あるいは平らな盛り上がりができるのを特徴としています。
乾癬は、皮膚の表皮細胞がたいへん速く増殖・成長し、皮膚の表面に移動していくためにできます。その速さは正常な皮膚細胞の7~10倍にもなり、その結果、うろこ状のカサカサ(鱗屑(りんせつ))が形成されるのです。
原因については、これまでのさまざまな研究で、皮膚細胞の増殖(ぞうしょく)異常、代謝(たいしゃ)異常、最近では皮膚免疫機能(ひふめんえききのう)の異常だと予測されていますが、どれが主要因なのかは結論が出ていません。欧米の白人では、家族内に同じ乾癬をもつ人が多いことから、優性遺伝(ゆうせいいでん)すると考えられ、乾癬をひきおこす遺伝子の検索も始まっています。
乾癬のおこる頻度は、日本人で0.1%以下と推定され、欧米人の10分の1以下ですが、患者数は少しずつ増加しているようです。
[症状]
症状がもっともよく出るのは肘(ひじ)、膝(ひざ)、腰など摩擦(まさつ)の加わりやすい場所と頭です。赤く平らに盛り上がるカサカサした円形や楕円形(だえんけい)のできものを特徴とします(尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん))。約半分くらいの患者さんにかゆみがあります。
年齢的には、10~20歳代のころに初めて気づくことがもっとも多く、まれに乳児や高齢者でも症状が現われることがあります。
皮膚以外の症状としては爪(つめ)の変化があり、30%くらいの乾癬患者さんに爪の点状のくぼみ、変形がみられます。
関節の痛み、腫(は)れなどの症状がおこりやすいのも特徴の1つで、その症状はリウマチに似ています(乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん))。
尋常性乾癬のほかに、皮膚症状が重症になる紅皮症(こうひしょう)(全身の皮膚が赤くカサカサ状態になる)、悪寒(おかん)・発熱、皮膚に膿疱(のうほう)をともなう膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)(厚労省特定疾患(とくていしっかん))があります。いずれも入院治療が必要となる重症の乾癬です。
[検査と診断]
皮膚科の専門医であれば皮膚症状だけで正確に診断します。類乾癬(るいかんせん)、毛孔性紅色粃糠疹(もうこうせいこうしょくひこうしん)との区別がむずかしく、病理組織検査が行なわれることもあります。
乾癬と内臓疾患との関連はありませんが、ときに薬の副作用で乾癬ができたり、悪化することがあります。
[治療]
さまざまな方法があります。薬剤を外用するもの、内服するもの、あるいは両者を組み合わせたもののほかに、光線療法や温熱療法などの理学療法も有効です。
原因がまだはっきりしませんから、唯一で最高の治療法はありません。個々の患者さんによって、また、症状の程度によって、治療法は選択されます。必ず皮膚科専門医に相談しましょう。
外用治療でも、長期間続けると副作用が出てきます。効果だけではなく、副作用のことも医師に確認し、正しい治療を続けましょう。
[日常生活の注意]
他人の目にふれることが多く、慢性でもあることから、多くの患者さんは皮膚症状と合わせて、大きな精神的負担を抱えています。精神的ストレスも皮膚症状を悪化させる要因ですから、精神的な悩みと皮膚の症状が悪循環をくり返しがちです。日光浴、戸外の運動などの気分転換が大事です。また、日光は皮膚症状にも有効です。
かぜ、扁桃炎(へんとうえん)、けがも乾癬の悪化因子です。そのほかにも、喫煙、アルコール、肥満は避けましょう。
乾癬は放っておくと徐々に広がっていきますが、自然に小さくなることもあります。なかには完全に消えてしまう人もいます。希望を失わず、自分の乾癬とうまく付き合っていく気持ちがたいせつです。
乾癬にかかっている仲間の人々と気持ちや情報を交換することも、治療生活をよい方向に導きます。
現在、世界28か国に乾癬患者組織が設立されており、日本でも「乾癬の会」(コラム「乾癬の会」)が活動しています。米国ではインターネットサービスもあります。
世界大百科事典 第2版の解説
かんせん【乾癬 psoriasis】
[尋常性乾癬]
上記の皮疹が,主として頭部,体幹,四肢伸側(ことにひじがしら,膝蓋)等に現れ,消長を繰り返しながら慢性の経過をたどり,治りにくい。
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大辞林 第三版の解説
かんせん【乾癬】
皮膚の紅斑の上に、表皮角層の上層が、銀白色の雲母状の大小の角質片状となる慢性皮膚炎。多く肘ひじや膝ひざ、頭部に生じる。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
乾癬
かんせん
一度発症すると生涯にわたり寛解と増悪を繰り返すため、患者の不安も大きく、治療には心理療法とともに、副作用の少ない薬剤を選ぶ必要がある。基本的な治療法としては、外用療法、内服療法、光線療法の三つがある。外用療法には、ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬などの外用薬(塗り薬)を用いる。内服療法には、レチノイド、シクロスポリン、メソトレキサートなどの内服薬(飲み薬)を用いる。光線療法では、紫外線を用いる。一つの治療法を単独で用いる場合もあるが、紫外線を吸収しやすいプソラレンpsoralen誘導体を含有する薬剤オクソラレンなどの内服または外用後にUVA(長波長紫外線)を照射するPUVA(プーバ)療法、あるいは合成ビタミンAのレチノイドの内服をPUVA療法に併用するなど、複数の治療法を組み合わせることもあり、個々の状況に即した方法を選択する。[山田 清]
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