シワの各種治療法について

〈シワの各種治療法(外用剤・注射)について〉

◆はじめに(シワの発生について)

シワの原因とは何でしょう。
◎年齢とともに脂肪や筋肉が痩せて、皮膚と皮下組織の間でズレが生じること(これはたるみの主原因でもあります)。
◎加齢や紫外線などの影響によって皮膚真皮のコラーゲン線維やムコ多糖類などの基質が減少して皮膚が薄くなり、さらに弾性線維の変性に伴い皮膚が柔軟性を無くしてしまうこと。
◎水分保持力が低下すること。
この他にも、
◎筋肉を収縮させて表情を作ったりすることを繰り返すことによってクセとしてシワが刻まれてくること。

シワは以上が絡み合って出現します。

これらを考えると、シワを少なくするためには保湿をよく行ない、紫外線を防御し、年齢を重ねるとともに少しずつふくよかになっていくことだとも言えます。
実際に見回してみても、痩せた方よりもふくよかな方はシワが少ないですね。

美容皮膚の施術として行なえることは、皮膚の厚みをましてシワを少なくする(コラーゲン線維を増やす)、筋肉や脂肪などのかわりに皮下組織や真皮内にヒアルロン酸などの膨らむ成分を入れて容積を増やす、筋肉の動きをおさえる、などの方法です。

◆皮膚の厚みを出す方法
加齢とともに真皮の線維成分(コラーゲンなど)や基質成分(ヒアルロン酸などのムコ多糖類など)が減少すると皮膚表面に小ジワが増加します。

擦り傷を負った部位(傷跡)にシワが少ないことにお気づきになったことはありませんか? 軽い瘢痕を作っているのですが、体は傷を治す際に欠損した組織を埋めるように線維成分や基質を作って、皮膚の厚みを増してゆきます(これが過剰に生じたのが、肥厚性瘢痕や瘢痕ケロイドです)。そのために傷跡が少し固く感じられたりするのです。

コラーゲンを少しでも増やすことを目的にした治療には、刺激の少ないものからビタミンC外用、レチノイン酸の外用などがあります。

レーザーも対象物に光が吸収されるとそこで熱が発生しますので、軽いヤケドを生じさせてコラーゲンが増えます。実際に太田母斑(青アザ)の方で片方の目の周囲を治療していると、複数回繰り返した後に反対側の目に比べてシワが少ないのに気づきます。これらのレーザーを工夫して、表面に傷を作らない程度に照射してもコラーゲン組織が産生されることが知られています。

当然ではありますが、表面に傷を作る(かさぶたが出来る)タイプのレーザーの方がより高い効果を有しています。ケミカルピーリングにおいても同様で、グリコール酸を使用したピーリングよりもTCAなどの真皮内に直接影響を及ぼす(かさぶたが出来る)ピーリングの方がより効果的ではあります。

ご自身の社会生活をお考えになって、どの程度までの治療を受けることが出来るかによって選択肢が変わってきます。かさぶたが出来るタイプでは、約1週間傷をガーゼやテープにて覆っていただく必要があります。約2~3カ月は赤みが続きますし、その後の色素沈着を抑制するためにハイドロキノンやレチノイン酸などの美白剤をアフターケアとして外用していただきます。

①ビタミンC
以下の治療が刺激症状にて使用できないときや、化粧品として使用していただいています。

②ケミカルピーリング
グリコール酸などの弱い酸を用いて、皮膚表面の角質を整える治療で、ニキビ治療に特に有用です。角質を調整するとその下の皮膚も整えられることがわかってきています。
グリコール酸は強くはありませんが、メラニン色素の産生を抑える作用や真皮を厚くする作用がありますので、総合的な美肌(抗光老化)作りに寄与します。肌のターンオーバーを目安に、10日~2週間の間隔で繰り返してゆきます。施術後も通常通りにお化粧できます。

③レチノイン酸:ビタミンA酸(trans-retinoicacid:トレチノイン)
表皮細胞のターンオーバー(生まれ変わり)を早めて色素を早く外へ排出することによってシミを薄くするとともに、真皮でのコラーゲンを増生しますので、皮膚の光老化などの治療に汎用されています。時に刺激症状のために使用が制限されることがありますが、使用量や回数を加減することで継続可能です。

④TCAピーリング
35%(~60%)トリクロロ酢酸を患部に綿棒あるいはパフにて塗布すると、frostingと呼ばれる白色変化が見られ、その下に赤みが生じます。ムラがあれば、重ね塗りを行います。ある程度の蛋白凝固が進むとそれ以上には深く浸透しにくい傾向にあります。

TCAはイボ治療に使用するモノクロロ酢酸などに比べると腐蝕作用・刺激感ともに少ないものの、グリコール酸よりは刺激感が強く、塗布1~2分後から疼痛が生じてきますので、送風して軽減させます。約5分後に、水を含ませたガーゼやタオルなどで患部を約15分間冷却します。その後ステロイド含有軟膏を塗布します。
一般的に若年者ほど炎症後色素沈着をきたしやすいようですので、美白剤によるアフターケアを要します。グリコール酸ピーリングよりも明らかにシワ改善効果は高くなります。

⑤ヒアルロン酸
極端な例ですが、顔がむくんだり、打撲して腫れている時に皮膚のシワが浅くなっているのにお気づきになったことはありませんか? ヒアルロン酸は自身の約6000倍もの水を引き付けることによって膨らみます。その効果によって刻まれているシワを浅くしたり、その部位で折れ曲がりにくくしたり、くぼみを浅くします。

ヒアルロン酸は、各製品の重合度合いによって吸収される速度が異なります。よく動く部位では多少吸収が早くなるようです。重合度合いによって、吸収速度が異なる以外にもヒアルロン酸ゲルの固さが異なりますので、重合度合いの高い製品を皮膚の浅い部位に使用するとボコボコ感が残りやすくなります。

そのため、適材適所で目的によって使用する製品を選択します。例えば浅いシワにはタッチライン、目の周囲ではレスチレン、鼻唇溝(ほうれい線)やあご出し、隆鼻、頬やこめかみの窪み修正などでは、より重合度合いが高いパーレーンなどを使用します。施術後の制限は特にありませんが、ヒアルロン酸をなじませるために患部のマッサージを行っていただきます。

施術後、メイクは通常通り行えます。副作用としては注入時の痛みがありますが、局所表面麻酔を行うことによってだいぶ軽減されます。その他に注入局所の内出血などが起こりえますが、時間とともに消失します。

⑥ボツリヌス菌毒素(ボトックス)
しかめっ面を繰り返すと、眉間に縦ジワが次第にくっきりと出てきます。おでこにシワを寄せることを繰り返すとおでこに横ジワが刻まれてきます。目じりのシワを「カラスの足跡」と言いますが、笑いジワとも呼びます。それぞれ、その皮膚の下にある筋肉が収縮すると、筋肉と同じようには収縮できないその表面にある皮膚はたわみながら距離を縮めます(眉間ではすう眉筋、おでこでは前頭筋、目じりには目を閉じる眼輪筋が目の周りにあります)。それがシワとして見られるのです。

筋肉の収縮が繰り返されると、若い頃には柔軟であった皮膚も年齢とともに膠原線維の減少や弾性線維の変性によって柔軟性を失っていることも相まって、同じ部位で折れ曲がりやすいようにクセとして皮膚にシワが刻まれてきます。ハンカチにたたみ癖として折り目がつくのと似ています。

これらの折れ曲がりの頻度を少なくするために筋肉の動きを抑えるのがボツリヌス菌毒素注射です。シワが出来るのを予防することになります。しかも人間は立って生活しますので、下方向へ重力がかかりますから、刻まれていたおでこの横ジワも次第に伸びてきます。重力に従って自然にシワが伸びてくるので、出来上がりがヒアルロン酸などの充填剤を部分的に注入してシワを浅くする方法に比べて、おでこ全体で見た場合により自然できれいな仕上がりになります。

筋肉の動きは、神経・筋接合部で神経終末からのアセチルコリンという物質の放出によってコントロールされています。ボツリヌス菌毒素はこのアセチルコリン放出を抑えるので、筋肉へ刺激が伝わらず、動きが止まります。但し、この作用はあくまでも一時的で、2~4カ月もすると次第に戻ってきます。そのため、施術が気に入った場合には完全に元に戻る前に繰り返すのがより効果的です。次第に施術間隔が伸びてゆきます。また、ヒトによっては意識しないでクセとして表情を作っていた場合(例えば、無意識のうちにしかめっ面をしていたなど)、そのクセが矯正されて無くなるという効果もあります。

施術は作用させたい部位の筋肉に皮膚面から注射を数箇所行います。術後の制限は特にありませんし、メイクなども通常通り行えます。副作用としては、局所注射による内出血の可能性、軽度の一過性頭痛・違和感などです。また、前額(おでこ)や眉間の施術により多少の表情の変化や、まぶたの重さを感じる方がおられますが、一過性です(効果も一過性であれば、副作用も一過性であるとも言えます)。

初回の結果を参考にして、次回からの注射部位などを変更することによって、より希望に沿った効果を目指します。