4K時代も万全! テレビ局メイクさんのスゴ技でどこまでイケメンになれるか?
今回、「読みテレ」編集長Nから、ワタクシ編集部員・高田に与えられたミッション、それは“読売テレビの社内で働くプロのスゴ技を体当たり取材してくる”こと。
その最初の取材先として選んだのが「メイク室」。そう、番組に出演する芸能人やアナウンサーを相手に、日々様々なヘアメイクを施しているプロのメイクさんたちの仕事ぶりを身をもって体験しようというのです。果たして、テレビ局のメイクさんのテクニックとは? そのスゴさを読者の皆さんに分かりやすくお伝えするため、今回は特別に、ワタクシ高田を「イケメンに生まれ変わらせてほしい!」とお願いしちゃいました。果たしてイケメンになれるのか? その一部始終をご覧あれ!
多い日には一度に20人の“顔をつくる”テレビメイクのお仕事
メイク室があるのは、スタジオや楽屋が集まるエリアの中心部。朝の「す・またん!+ZIP!」から、昼過ぎの「情報ライブ ミヤネ屋」、夕方の「かんさい情報ネット ten.」まで月〜金の帯番組の収録が行われるため、平日は朝から晩まで出演者がひっきりなしに出入りします。それ以外にもスタジオ収録のレギュラー番組があり、多い時には、連続で20人近く(!)の出演者を3〜4人のメイクさんが仕上げていくそうです。
そんな忙しいメイク室に「プロ技を見せてくれ!」と、髪は散らかり顔にもシミが目立ち始めた、ライター歴25年を超えるおっさん編集部員・高田が乗り込みます。やりがいがあるのか? やっかいなのか? そもそもイケメンになれるのか? 道場破りの様相を呈していた本企画。いざ、メイク室へ!
2人のベテラン、こだわりのプロ技は「カツラ」?
無理難題な“イケメンメイク”を受けて立ってくれたのが、この道40数年の超ベテラン・広田聖子さんと、メイク歴15年の山口真奈美さんの2人。そもそも、普通のメイクと違って、テレビメイクの大きな特徴は、「大阪ほんわかテレビ」での間寛平さん演じる“かんばぁちゃん”のように、番組で設定されたキャラクターの“顔”をつくること。ただ単に美しく見せるだけではないんです。
一度に10人ほどなら同時にメイクできそうな広々としたメイク室の一角で、前代未聞のチャレンジがスタート。顔をじっくり見立てる広田さんからは安定感のあるオーラが漂い、心の中で“巨匠”と呼ぶことにしました。相棒の山口さんにテキパキと指示を出し、用意されたのは数種のカツラ。「イケメンにしてほしい」というオーダーなのに??? 一切の質問を受け付けぬそぶりに圧倒され、黙ってされるがままに……。
カツラをかぶせようとした巨匠、「やっぱり、整えよか」と手を止めます。どうもボサボサの眉を見かねたようで、山口さんがテキパキ&チョキチョキと眉をカットしてくれました。出演者のみなさんはたいてい、事前の手入れを済ませて来られるらしく、こんなボサボサでのメイクは珍しいよう。
晴れてベースが整いホッと一息、つけませんでした。やはりカツラはかぶされるようです。なされるがままに、プロのスゴ技に身をゆだねていると・・・?
アンドレ・ザ・ジャイアント風
プロレスラーの故人、アンドレ・ザ・ジャイアント風のパーマヘア。俳優の石立鉄男さんそっくりになりました。
オースティン・パワーズ風
次にかぶせられたのは、映画「オースティン・パワーズ」の主人公風カツラ。髪の色でいえば、今をときめくジャーナリストの津田大介さんに近いでしょうか。意外にしっくりきています。
バービーの恋人・ケン風
矢継ぎ早にかぶせられたのは、茶髪。ちょっと前に観た気がしたなと思ったら「トイ・ストーリー3」に出てきた、バービーの恋人ケンの髪にそっくり。
イケメン俳優風
最後にやっと用意されたのがイケメン風。なんとなく、オダギリ ジョーさんや永瀬正敏さんなど、個性派イケメン俳優を思わせるヘアスタイル。これですよ! 広田巨匠!
カツラの真意は巨匠のお遊び……驚きのメイクでシミ&ヒゲが消えた!
これで決まりか!……と胸躍らせたその瞬間、無言でさっさとカツラを外す巨匠。おっさんがカツラでもてあそばれてる間に、なんと、山口さんによるメイクがちゃくちゃくと進んでいたのです。3種あるファンデーションから肌の色にあったタイプをチョイスし、顔に塗ります。基本的に、ヒゲを隠すのとシミを消すのが目的です。カツラに意識が向いてる間に、せっせと眉はカットされ、ヒゲもシミも目立たない、美しい肌に整えてくれていたのです。
というわけで、カツラはメイクができ上がるまでの巨匠の戯れ。最初のカツラをかぶせた瞬間に言われた「頭大きいねぇ」の一言で、芸能人は顔が小さいという現実を改めて心に刻みました。
顔も身体もぽっちゃりで、肌のハリには自信があるのですが、ガンコなヒゲ跡とシミは隠せません。しかし、広田巨匠と山口さんによる、ファンデーションの微妙な色のチョイスと重ね塗りの技で、すっかり消されてました。リップクリームを塗ってもらった唇はプルンプルンで、あらビックリ! 10歳は若返って見えます。マジックです。“さりげなく”若々しくするというのが、男性のテレビメイクの神髄でしょうか。まだまだ、“イケメンメイク”の作業は続きます。
テレビと共に歩んだ広田巨匠の40数年と勝負道具
読売テレビが、昨年度で開局55年だったことは『GO!GO! happiness』という中谷しのぶアナのフレーズでご存知の方も多いと思います。広田巨匠はその55年のうち、40数年を読売テレビのメイクアップアーティストとして過ごしてきました。「時代に合わせて、メイクもいろいろ変わってきていますよ。ハイビジョンになる時は、照明さんたちと勉強会とかにも出席して、いろいろ工夫しました」と巨匠。白黒時代からテレビの裏側を知る生き字引であり、読売テレビの人間国宝です。いろいろお話してくれるので、どさくさにまぎれて芸能人の秘密を聞き出そうと試みたのですが、まったく教えてくれませんでした。腕も大事ですが、口の堅さもまた、長年この部屋を取り仕切ってこれた理由なんでしょう。
せっかくなので、プロの道具類を見せてもらいました。
意外にもベーシックなラインナップ。弘法筆を選ばず、といったところでしょうか。広田師匠は、筆につけても、そのまま塗っても使えるスティックタイプのファンデーションがお気に入りだそうです。
自分でメイクをする出演者も多いそうで、そのために市販の整髪料なども揃えています。
一口にファンデーションといってもいろいろ種類があるそうで、写真のハイビジョン用は、きめが細かく崩れにくいのが特徴なのだとか。プロの目から見てもかなり優秀なんだそうです。
番外編:めったに見られないアナウンサーのメイク、ビフォー/アフター
番組終了直後、バッチリメイクの萩原アナ(左)。メイクを落としてもさわやかイケメン!(右)
取材当日は番組メイクの合間を縫って突撃したのですが、“イケメンメイク”ももう終盤というタイミングでさわやかにメイク室に現れたのが、萩原章嘉アナウンサー。「声〜あなたと読売テレビ」という番組の収録を終えたばかりの萩原アナは、これからまさに番組用のメイクを落とすところでした。失礼を承知で、「メイクのビフォー/アフターを見せてください!」とお願いしたところ、「誰かボクの顔に興味ありますか?」と苦笑いながらも快く応じてくれました。
「若いころ、日焼けすると(広田さんに)怒られていたんですが、今になって身にしみています」と萩原さん。広田巨匠も、「せめて、日焼け止めを塗ってくれていたらよかったんですけど」と今でもチクリ。アナウンサーは、ある程度自分でメイクができるように、新人時代にメイクの手ほどきを受けるそうです。広田巨匠はなかなか厳しかったそうで、「歴代のアナウンサーで、(広田さんに)怒られていない人を知らない」と笑いながら、萩原さんも証言します。
ついに“イケメンメイク”が完成! 高田編集部員、生まれ変わる!?
メイクをしながら、器用にトークに応じてもらううちに、“イケメンメイク”が着々とでき上がってきます。薄毛の悩みを打ち明けたところ、頭に“黒い粉”を薦められましたが、丁重にお断りして、ヘアマスカラで簡易白髪染めをしてもらいます。肌の仕上げに色の薄いファンデーションをなじませて、完成です。戯れのカツラタイム込みで約30分。通常だと、1人5〜10分で仕上げるそうです。
ご覧のとおりのビフォー(左)アフター(右)。髪、眉毛、ヒゲ……遠目にも違いは歴然です。
いや~、自分で言うのもなんですが、すっかりイケメンになりました! というより、顔色のいい“さわやかな人物”度がだいぶ上がりましたね。メイクを落とさずに臨んだ、取材の後の打ち合わせでも「人が変わったようだ」と好評で、テレビメイクマジックに大感動です。白黒からハイビジョンと時代に合わせて進化してきたテレビメイクはきっと、きたる4K時代になっても技術やコスメの精度を上げて、対応していくのでしょう。編集長、今回の道場破り、完敗です!
取材・文:高田強(エフィール) 写真:岡部守郎