タヒボとは

南米アマゾン川流域の熱帯雨林の生態系は非常に複雑、かつ植生も豊かで、薬用植物は5000種類以上、確認されたものだけで2500種類以上あるといわれています。
タヒボはその中でも「神からの恵みの樹」と呼ばれ、薬用効果の高い樹木として飲用されてきました。
タヒボの樹の内部樹皮を原料とした「タヒボ茶」は古代インカ帝国をはじめ、チャビン、チムー、モチェなどプレ・インカ文明などのアンデス諸文明やアマゾン文化圏の中で、南米先住民たちの間で数千年間飲み継がれてきました。

タヒボの原木

学名をノウゼンカズラ科タベブイア・アベラネダエ
Tabebuia avellanedae)という赤紫色の花を咲かす種類で、この樹木の内部樹皮のみを使用したものが最も薬効性の高いタヒボ茶となります。この樹木はアマゾンのジャングルで生育し、市街地では生長が難しく、あまり目にしません。
アマゾンの熱帯雨林に自生するタヒボの原木は30~40mにまで生長する高木で、幹の太さも1.5m~2mくらいになります。
幹の組織は緻密でしっかりと堅く、チェーンソウもなかなか歯がたちません。ミネラル分を豊富に吸収して非常に重く水に浮きません。スコールや嵐でも深く根を張っているので倒れません。切り株を高温多湿のジャングルに放置しても腐ることもありません。この強さと逞しさと不思議な力のため、人々は神から授けられた樹だと信じて疑わなかったのでしょう。

紫イペをタヒボとは呼ばない

タヒボは学問的にはノウゼンカズラ科タベブイア(Tabebuia)属の植物で、この種類の樹木はブラジルでは、イペ、イッペ(Ipe)などと呼ばれています。
ノウゼンカズラ科植物は全世界で750種以上存在しており、日本にもノウゼンカズラ、キササゲ、キリなどがあります。
このうちタベブイア属植物は南北アメリカ大陸で100種以上あり、花の色で白イペ(Ipe-branco)、黄イペ(Ipe-amarelo)、紫イペ(Ipe-roxo)の3つに大きく分けられています。最も薬理効果が高いものが紫イペとなります。アマゾン川流域では主に紫イペが4種類あり、タヒボの樹と混同されている次のものがあります。

(1)ヘプタフィラ(Tabebuia heptaphyla)
ブラジルで紫イペと言えば一般的にこの植物を指します。ブラジル全土に分布し、樹高は16~20m、花色は紅紫色で、観賞用としても好まれています。
(2)インペティジノーザ(Tabebuia impetiginosa)
南米大陸中東部から南部にかけて広く分布し、アルゼンチンに多く見られます。山中に自生していますが、観賞用としても広く栽培されています。樹高は10~20m、大輪の花を多数つけ、タヒボと最も間違われやすい植物です。
(3)インペティジノーザ・パウレンシス(T.impetiginosa var.paulensis)
インペティジノーザの変種で樹高は3~6mの亜高木。サンパウロ周辺の海岸山脈地帯に分布し、観賞用としても広く栽培されています。花色は紅紫色で庭木として好まれています。

ブラジル連邦政府は森林資源保護のためタヒボの様に希少性の高い樹木の伐採を禁止したり制限するという政策をとっています。
タヒボの有効成分(抗がん成分)としては、元京都大学薬学部薬用植物化学教室の上田伸一博士が発見したナフトキノン成分のNQ801【2-(1-hydroxyethyl)-5-hydroxy naphtho [2,3-b] furan-4,9- dion】が知られています。
元サンパウロ大学名誉教授ウォルター・ラダメス・アコーシ博士は、50年以上の長年にわたる南米薬用植物の研究から、アマゾンの一定地域に自生するアベラネダエ種が薬効的に最高品質と研究報告していますが、乱伐や盗伐の恐れがあるためその場所は公表されておりません。
最上質のタヒボ茶は100%この樹木の内部樹皮のみを使用したもので、原料となる樹皮には、1967年報告されたNCI(米国国立ガン研究所)のトライアルで副作用の見つかったラパコール成分は含まれないことが、ロット毎の検査により確認されております。
粗悪な茶は増量のため木質部(おがくず)やタヒボの樹皮に似たマホガニーやマンゴーの木屑を混ぜたものまであります。

NQ801(抗がん成分)

タベブイア属植物に含まれる有効成分は、木質部に存在するナフトキノン類を誘導体として、数種の中間体を経ながら最終体まで生合成されます。
一定地域に生育するアベラネダエ種からは、最終体として数種のフラノナフトキノンまで生合成が進み、その中から最も抗がん活性の高いナフトキノンが研究者により発見され、NQ801と命名されています。
単に紫イペまたはイペー・ロショと呼ばれる樹木の中では、ナフトキノン類の含有量には大きくバラツキがあります。ヘプタフィラ種、インペティジノーザ種、パウレンシス種とアベラネダエ種との決定的な差とは抗がん成分NQ801の含有の差ということになります。
またアマゾンのジャングルは広大ですので、たとえ同種(同じアベラネダエ種)であっても地域によって、NQ801の含量が少ない、又は全く含まない、そして全く違う成分を含むということが多々あります。

タヒボの成分

1)基礎成分とビタミン

タヒボの基礎成分とビタミンは以下の通りです。(100g中)
基礎成分ビタミン
タンパク質3.7gビタミンB66.1mg
糖質7.5gビタミンB120.025mg
脂質0.8gナイアシン0.95mg
食物繊維74.7g葉酸0.7mg
水分5.1gイノシトール106.0mg
灰分8.4gパントテン酸0.14mg

2)ミネラルの構成比較

タヒボには濃縮率が極めて高い多種のミネラルが含まれます。(茶葉や海産植物との比較)
タヒボと茶葉及び全植物のミネラル比較100g中に含まれる重量(mg)元素名記号タヒボ茶葉海産植物含む植物全平均
カルシウムCa4200320500
カリウムK2561860300
マグネシウムMg81.823040
リンP38.3-70
Fe19.19.810
バリウムBa13.20.553
マンガンMn6.737.11
ナトリウムNa2.71.8920
Cu0.513-0.2
亜鉛Zn0.6150.330.5
クロムCr0.050.015-
ニッケルNi0.0280.60.05
バナジウムV0.010.037-

3)重金属

Pb0.032-5
セレンSe0.0140.0021
カドミウムCd---
ヒ素As-0.001-
水銀Hg-0.001-

4)抗がん成分

タヒボに含まれているフラノナフトキノンが抗がん作用をはじめとする様々な作用をもたらします。
(1)NQ801
NQ801は、現時点で発見されているタヒボの最も強い抗がん成分で、化学構造式が2-(1-hydroxyethyl)-5-hydroxy naphtho [2,3-b] furan-4,9- dionで表されるナフトキノン類の一種です。研究者によりNQ801と命名されています。
(2)β-ラパチョン
β-ラパチョンはタヒボに含有されるナフトキノン類で、抗腫瘍剤としてアーキル社(ArQule 米国・ボストン)と大手製薬会社エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社((F. Hoffmann-La Roche, Ltd. スイス・バーゼル)により共同で、新薬開発の研究が進められていました。
アーキル社の報告では、β-ラパチョンにはがん細胞のDNAのチェックポイント機能を阻害する作用があると考えられています。

タヒボの抗がん作用

タヒボは、直接作用、間接作用、補助作用と多彩な抗がん作用を有しています。
(1)直接作用として、がん細胞だけを攻撃し正常細胞には影響を殆ど与えない選択毒性作用やその他アポトーシス誘導作用、血管新生阻害作用、転移浸潤抑制作用などが報告されています。
(2)間接作用として、体の免疫力を高めてがん細胞に対抗する免疫賦活作用が報告されています。
(3)補助作用として、抗炎症作用、抗酸化作用、鎮痛鎮静作用、利尿作用などが報告されています。
代謝機能が改善し、食欲増進、睡眠改善、疼痛軽減など全身状態のQOLを向上させます。

1)直接作用

(1)選択毒性作用
NQ801を含むタヒボには、正常細胞には殆ど影響を与えず、がん細胞だけを選択的に攻撃する働きがあります。
(2)アポトーシス誘導作用
体には、不具合のある細胞を修復したり排除するメカニズムが備わっています。さらに修復が不十分なときはこの細胞を自然死へと向かわせます。この細胞の自然死や自殺を「アポトーシス」といい、NQ801を含むタヒボ抽出液をがん細胞に投与すると、細胞内でアポトーシスを誘導するシグナルが伝達され、がん細胞を自然死や自殺に導きます。
(3)血管新生阻害作用
がん細胞は正常細胞に比べて増殖が速いため、多くの栄養分を必要とします。
より多くの栄養をとるため、がん細胞は新たな血管を作り(血管新生)、元からある血管に伸ばして栄養分を盗んでいきます。タヒボにはがん細胞の血管新生を阻害する働きがあり、結果としてがん細胞を兵糧攻めにし、酸素不足で窒息死させる作用があります。
(4)転移浸潤抑制作用
がん細胞が最初の原発層から出ることを浸潤といい、その後血管やリンパの流れにのって体中の臓器に移り再び増殖します。この多臓器への移動を転移といいます。マウスリンパ腫細胞を用い計測した結果、NQ801を含むタヒボ抽出液は約60%の浸潤を抑制し、多臓器への転移を抑制することが分かりました。

2)間接作用

(5)免疫賦活作用
体には、ウイルスや病原菌などから体を守る、沢山の免疫細胞があります。タヒボはこの免疫細胞の力(免疫力)を高めてがん細胞を排除します。タヒボは初めに免疫力を高値に上げ、その後は標準値内に安定させる免疫調整作用もあります。

3)補助作用

(6)抗酸化作用
大気汚染、紫外線など様々な外的環境の影響で体内に発生した過剰な活性酸素は、遺伝子や細胞を傷つけ、がんや糖尿病など生活習慣病の原因となります。タヒボには過剰に生産された活性酸素を無害化し、様々な病気の治療と予防効果があります。
またタヒボからパウロニン、AX101(新規フェニール・プロパノイド成分)、アクテオシドなどの抗酸化物質が発見されています。
(7)鎮痛鎮静作用
痛みを和らげ鎮めます。末期がんの辛い痛みを和らげる効果が報告されています。
(8)抗炎症作用
痛みや腫れなどの炎症を鎮めます。タヒボから抗炎症物質として、AIF101(リグナン成分)が新規発見されています。
(9)QOL向上
タヒボのもつ発汗、排便、排尿作用により老廃物が排出され新陳代謝が活発化し、体の全身状態が改善します。結果として体の恒常性が維持され病気に罹りにくい体質となります。