アトピー性皮膚炎の治療薬として処方されるのがステロイド外用薬です。一言でステロイドと言っても、外用薬にはいろいろな種類があり、種類によって薬の強さも違います。しかしステロイドは、アトピー性皮膚炎で一般的に処方される薬剤であるにも関わらず、脱ステロイドをすすめている人が多いのです。なぜ、多くの人が脱ステロイドをすすめているのか理由を探ってみましょう。
ステロイドの正体とは?
まず、ステロイドとはどのようなものなのか、ステロイドの正体について始めにご紹介いたします。
ステロイドとは別名ストレスホルモンと呼ばれている物質です。副腎でつくられているホルモンで副腎皮質ホルモンとも呼ばれています。
その副腎皮質ホルモンの中でもさらに5種類にわけられており、「コルチゾール」「コルチコステロン」「コルチゾン」「アルドステロン」「デオキシコルチコステロン」があります。
この副腎皮質ホルモンは抗アレルギー作用や抗炎症作用があり、中でもコルチゾール、コルチコステロン、コルチゾンは特に強力な作用があると言われています。そしてこの強力な3つの副腎皮質ホルモンは、「糖質コルチコイド」と総称されています。
そして、糖質コルチコイドを合成して作られたのが、アトピー性皮膚炎などの治療で使われるステロイド剤なのです。
ステロイドはアトピー性皮膚炎のような皮膚が炎症していたり、アレルギー反応による皮膚疾患などに有効とされ、傷口からの細菌感染を抑える抗生物質の外用薬とは用途も効果も違います。
ステロイドはアトピー性皮膚炎にどう効果があるの?
ステロイドは上記で説明したとおり、抗炎症作用と抗アレルギー作用があります。
また、副腎から分泌されるホルモンを科学的に合成することで、何十倍も強め、さらに脂溶性で分子がとても小さいため、非常に浸透しやすく即効性が高く期待できます。
なので、ステロイド剤を塗ったらアトピー性皮膚炎の症状があっという間に落ち着いたというのも嘘ではありません。
ステロイドのもうひとつの作用
ステロイドには抗アレルギー作用と抗炎症作用がありますが、実は、免疫を抑制することで、皮膚が炎症する原因を根本から断つことができるのです。
ただ、免疫を抑制することで、治療ができることは確かですが、免疫を抑制するということは、その分細菌やウイルスに感染しやすくなるということになるのです。
それにより、副作用となって体にいろいろな影響を与えてしまいます。
ただし、必ずしも副作用が現れるわけではありません。サプリメントや他の医薬品などでもそうですが、人によって効果の現れ方や効き方が違います。それと同じようにステロイドも、人によって効果の効き方が違ってきますし、副作用に関しても同じことが言えるのです。
ステロイドの副作用や危険性について
では、ステロイドにはどのような副作用や危険性があるのかご説明いたします。
まず、皮膚に現れる副作用としては、塗ったところに吹き出物ができる、塗ったところが赤くなる・紅班ができる、炎症していたところが茶色になり色素沈着してしまう、皮膚が薄くなる、多毛になるなどです。
そのほかでは、副腎機能低下による免疫力低下と自然治癒力の低下など、また、目の周りに長期的にステロイド剤を使用することで、緑内障や白内障を誘発してしまうこともあります。
いずれにしても、これらの副作用は長期的に使用する人ほどでやすいとされています。
アトピー性皮膚炎は、長期的に治療していかなければならない場合も多々あります。そのため、長期的にステロイドを使うという人も少なくなく、長期間使用すればするほど副作用のリスクが上がることが、多くの人が脱ステロイドをすすめる理由のひとつではないかと考えられます。
また、子供に多い副作用が多毛になることです。やはり、我が子にステロイドの副作用が出ることは、例え命に別状のない副作用だったとしても親としては心苦しくものを感じます。そういったことから、脱ステロイドを勧める人が多いのではないでしょうか。
脱ステロイドをすると危険という話もあるけど・・・
今までステロイドでアトピー性皮膚炎を治療してきた人が、脱ステロイドをすると逆に危険だという話を聞きます。
その理由は、ステロイドをやめた途端に現れる症状が原因だと思います。
ステロイドを長期的に使用している人ほど現れやすい症状ですが、ステロイドの使用を急にやめてしまうと、アトピー性皮膚炎の炎症がひどくなり、浸出液で服などが汚れてしまうという症状です。
ステロイド使用者が脱ステロイドをすると、症状の強さに個人差はあるものの、多少はこのような症状がでるようです。
これを好転反応という人がいますが、実は真逆であり、とても危険な状態になっているのです。
今まで、ステロイドを使用し、体の外からとても強力な副腎皮質ホルモンを与えてきました。それにより、副腎はホルモン分泌を以前より少なくしようとはたらきかけます。しかし、副腎皮質ホルモンの分泌が少なくなっている状態で、ステロイドの使用を急にやめてしまうと、今まで炎症を抑えていたものがほとんどなくなってしまうのです。
今まで抑えていた分、抑えられるものがなくなり一気に炎症がひどくなるのです。
浸出液は血液の一部であり、決して毒素が出ているというわけではありません。この状態になると、免疫力がとても低下している証拠なので、色々な細菌やウイルスに感染し、合併症を引き起こしやすくなります。
この症状は長期間にわたりステロイドを使用していた人ほど激しく出るようです。
結局のところステロイドってどうなの?
副作用の危険性もあるし、かと言って使っていたステロイドをやめるのも危険・・・となると、結局のところどうなのか気になりますよね。
まず、ステロイドはできることならやめたほうが良いです。副作用のリスクもありますし、免疫力の低下はあらゆる合併症を誘発する危険性があります。
また色素沈着など、アトピー性皮膚炎が治ったとしても外見に関わる部分で残ってしまうこともあるので、私も脱ステロイドをおすすめします。
しかし、急に脱ステロイドをするのはおすすめできません。前述したとおり、やめた途端に一気に炎症が激しくなり、合併症を誘発させやすくなるからです。
1~2週間すれば症状は自然に治まるとも言われているようですが、人によってはその間に合併症を誘発してしまったり、激しい炎症に耐えられず、脱ステロイドに失敗してしまうということもあります。特に、長期間使っていた人や子供には危険すぎる行為です。
では、脱ステロイドを安全に行うにはどうしたら良いかご紹介いたします。
脱ステロイドを安全に行うには?
脱ステロイドを安全に行うには、やはり急に脱ステロイドをしないということが大切です。
ステロイドにはStoringestと呼ばれる最も強いⅠ群から、weakと呼ばれるかなり弱いⅤ群までの5段階の強さがあります。自分の使っているステロイドの強さを知ることから始めましょう。
もしも強いものを使っているのなら、まずは一段階弱いものに変えるところから始めましょう。
一番弱いステロイドを使っている場合や、子供の場合は、吸収率の弱い部位から少しずつ使用をやめていくのも良いと思います。因みに、ステロイドの吸収率は腕に比べて顔は13倍、首は6倍ほど高いそうです。子供は大人よりも吸収率が高いそうです。
どちらにしても、脱ステロイドをするなら「少しずつ」することが重要となってくるようです。
脱ステロイドは心にも体にも優しい治し方です
脱ステロイドは心にも体にも優しいアトピー性皮膚炎の治し方です。脱ステロイドをすることで、薬に頼ることなく、自然に近い状態でアトピー性皮膚炎を治すことが可能です。
実際に、脱ステロイドをしてアトピー性皮膚炎を完治させた人もいます。
副作用や合併症のリスクを回避することもできます。
そもそも、ステロイドは治療薬として処方されますが、炎症抑える対処療法的なところもあり、アトピー性皮膚炎の原因そのものを断つということはできないのです。
皮膚を炎症させる根本を「ブロック」するだけであり、「治す・取り除く」ということではないようです。
アトピー性皮膚炎の原因だと思われる部分を追求し、対策をしていくことで、脱ステロイドをしながら自然に近い形でアトピー性皮膚炎を治していくことが可能になるのです。
もちろん、ステロイドそのものが悪い薬というわけではありません。しかし、やはり体にも心も優しいのは薬に頼らず、アトピー性皮膚炎を向き合っていくことです。
脱ステロイドをした方が心にも体にも優しいというのが、多くの人が脱ステロイドをすすめる本当の理由かもしれませんね。