オーガニックの意味するものは?

モデルの平野由実さん(左)と環境問題のエキスパート工藤拓毅さん(右)<写真:磯部昭子 ヘア&メイク:高城裕子>

近頃「オーガニック」という言葉をよく見聞きするようになりましたが、どんなふうに作られているのかを意識したことはありましたか?

「オーガニック」の定義

工藤最近、「オーガニック」っていう言葉をよく聞いたり、目にするようになったと思いませんか?

平野「オーガニック」って聞くと、「体にやさしい」とか「ナチュラル」っていうイメージがしますよね。

工藤では……「オーガニック」とは、製品っていう意味での「もの」と、考え方などを指す「こと」のどちらだと、印象として思います?

平野そうですね……。いい「もの」っていうイメージかもしれないですね。ただ漠然とですけど、体にいいし、環境にもいいという感じ(図1・図2参照)。お店などでも、エコ商品の所には、「オーガニックコットン」とかも置いているっていうイメージがあるので、「エコ+オーガニック」とか「エコ=オーガニック」みたいな感じで、なんとなくつながっています。無農薬とか有機栽培とか、そういう感じもありますね。「感じ」って言ってごまかしてみてるんですけどね(笑)。

図1:オーガニック・有機農法に関する生活者の意識

図2:オーガニック・有機農法に関する生産者の意識

工藤「オーガニックコットン」って言葉が出ましたが、コットンでも「オーガニック」を意識しているってことですか?

平野そうですね。モデルのお仕事でメイクしてもらう時、お化粧用に「オーガニックコットン」を使っていらっしゃるメイクさんもいるので。それに、「オーガニックコットン」っていうのが、私が一番初めに聞いた「オーガニック」がつく言葉かなって思います。

工藤私は、自分の身の回りで「オーガニック」のものっていわれても、あまりピンとこないんですよね(笑)。「自然系」「無農薬系」とかっていうような雰囲気だったり、言葉がそういう例えみたいな感じで使われてしまっている気がして、具体的にあまりイメージがわかないんですよね。

平野そうですか? 化粧品とかシャンプーとかも結構ありますよ。

工藤そういえば、私が昔アメリカにいた頃に、オーガニック系のスーパーがありましたね。普通のスーパーじゃなくて、そこは「オーガニック」をコンセプトにした大きな店でした。取り扱う商品の全部が「オーガニック」なのかはよくわからなかったけど、扱っている野菜にもワインにもそう書いてある。その時はあんまり厳密に考えず、「自然系とか、体にやさしいっていうものなんだな」ぐらいに思いながら、よく行ってましたね。

平野でも、「オーガニック」って、結局のところなんだろう? 「オーガニックってエコにつながるのかな?」とか、「どうして一緒のカテゴリーにまとまるんだろう?」って不思議に思っていたんです。だから今回、このお話ができるのを、ちょっと楽しみにしていました! 今まで、メイクさんが「これはオーガニックコットンなんですよ」っておっしゃった時に、体にいいんだろうなとか、やわらかいとか、肌にやさしいっていう感じはなんとなくしていても、実際に「オーガニックコットン」は普通のコットンとどこがどう違うのかっていうことに関しては、モヤモヤしてたんです。

工藤日本で「オーガニック」と呼べる農作物は、「3年以上化学農薬・化学殺虫剤・化学肥料などを使っていない農地、肥料などは自然由来のものを利用する農法で作られたもの」と国によって定義されています。昔やっていた農法やもの作りの考え方のように、農業の自然循環機能を維持・増進するというわけです。「自然な手段によって作られたもの」って言ったほうが、皆さんはピンとくるのかもしれませんね。

しかし、「オーガニック」や「有機農法」とうたうためには、認証機関の確認を受けなければなりません。平野さんもご興味があるとおっしゃった「オーガニックコットン」。これについては、3年以上、一切の化学薬品・化学肥料を使用しない、無農薬有機農法で栽培された綿花と定義されています。また、紡績から縫製までの製造工程すべてにおいても化学薬品の使用が厳しく制限された中で作られた製品を「オーガニックコットン製品」と呼びます。日本にもいくつか認証団体がありますよ。みんなが興味を持ち始めたからこそ、きちんとした定義付けや認証をしないと混乱してしまいますよね。

平野初めて知りました。

工藤コットンは畑で栽培する時に、大量の化学肥料や化学的な農薬、殺虫剤などを使います。コットンと「オーガニックコットン」を区別するためにも、定義や認証が必要になってきた。「オーガニックコットン」の栽培は土壌作りから始まって、時間と労力のかかる、とても大変な作業なんですよ。それが今、世界的に需要が増えてきています(図3参照)。

図3:「オーガニックコットン」を生産する

平野ちゃんとした定義があったんですね。それは、環境にやさしいということでもあるんですか?

工藤環境にやさしいというと、非常に微妙な表現になっちゃう。人によって受けるイメージが違うものだからね……。コットンの耕地面積は、全世界の農産物の約2.5%。でも、そこに石油由来の農薬が約10%、殺虫剤が約16%も使われているといわれているんです。そのため、「オーガニックコットン」の認証には、化学薬剤など「こういうようなものは使わない」というリストもきちんとあります。だから、基準は「健康」であることにもつながるかもしれません。

一般的には、化学肥料などを使い続けると、畑そのもの、土壌自体の生産能力がどんどん弱まってしまうとよくいわれる。だから、畑そのものの力で作物を作れるようにする。また、化学肥料などを空から畑にまいたりすると、当然のことながらそこで働いている人たちが吸い込んでしまう可能性もありますよね。「オーガニック」は、基本的にそういうことがない農法なわけです。一口に、「環境」や「健康」に良いといっても、いろいろな背景が考えられますから、人々が誤解しないように定義をしたり、チェックしたりすることが大事になってきますね。

コメント

Basilicさん、お久しぶりです。コメントどうも有り難うございます。読んで下さっていることが確認できてホッとしました(笑)。

ご指摘の通り、「見える化」が進むとかえってラベルが増えてしまって、どのラベルなら信用できるのか解らなくなるのではという懸念はありますね。そうなってくると、商品を作る側もせっかくの努力が報われなくなってしまいますので、できるだけ理解が進むような共通化なり、協力しての情報発信の仕方が必要になるでしょう。

逆にいえば、そこまで消費者の意識が高まることが、企業や社会の対応を促すことになり、結果として環境負荷の少ない商品の拡大につながるのかもしれません。


他の皆さんはいかがお考えでしょうか?

こんばんは。久しぶりの投稿です。
私も、オーガニックコットンの風合いが好きで、お店で見るとついつい手にとってしまいます。子どもも直感的に着心地が良いようです。
今回の平野さんと工藤さんの対談を拝読して、初めて「オーガニックコットン」が手摘みだと言うことを知りました。栽培だけでなく、製品化の段階まで「エコ」で、「安心・安全」なのですね。

今年の夏は、「オーガニック系」がとても流行った印象です。生成りのチュニックやナチュラルカラーのスカーフを皆が身にまとっていました。でも、そのときに思ったのは、「本当に『オーガニック』なのは、どれくらいの割合なのだろうか?」と言うことです。「オーガニック」と思って買って実はそうでなかった、と言う人もいたかも知れません。それくらい、「オーガニック」は「モノ」でなく「コト」なのかもしれません。皆さんは、どうですか?

オーガニックコットンの製品でよく思うのは、認証機関のラベルが沢山あるということ。馴染みのない名前やラベルだと、そもそも信用してよいのかどうか、判断に困ります。そこで、日本の認証機関で「この綿はこの認証機関によって○年○月○日に認証された、ロット番号○○番、認証番号○○番の綿です」と確認して認証する活動があることを知りました。でも、まだまだ定着していないような気がします。
話題が少し戻りますが、「見える化」が進むと、知らないラベルが沢山増えて、消費者はラベルを見ても意味が分からない、どのラベルなら信用してもよいのか分からない、といった問題も出てくるのかな、と感じています。

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