当サイトの趣旨とは少しズレますが、最近美容医療のトラブルが増えています。
全国の病院に厚生労働省からの注意喚起を促す文章が送付されているのです。
今回そんな被害を少しでも食い止めることができればという思いから記事にします。
注射やしわ取りで高額な料金トラブルが続出
最初に断っておきますが、美容医療業界でも真摯に治療に当たっている病院やクリニックは数多くあります。もともと美容医療は自由診療であるため、比較的費用は高額になりがちです。
しかし現在、ごく一部の悪質な業者がそれに目をつけ、しつこい勧誘やずさんな対応、簡単な処置で高額請求するという手口が横行しています。
そのターゲットとなっているのは主に60歳以上の女性。
注射を数本打たれて1000万前後の請求があった事例も複数あります。
また施術費用を明確にしないままで後から高額請求された例や預金残高を聞きだしたのち特別価格でといって、その残高の値段で施術するというような事例も。
美容医療は病気の治療とは異なり、本人の希望する美を実現するための医療です。
そのため自由診療となっており、その施術費用は各クリニックで自由に設定できます。
したがって医師による十分な説明のもと、本人が納得して施術に同意することが非常に重要です。逆に言うと同意書へ署名してしまうと説明を受けて納得したと判断されてしまう可能性が高いのです。
ここまでの話だと『こんなのになんで引っかかるの?』と思われませんでしたか?
そうなんです!
オレオレ詐欺も同様に話を聞くだけだと『なんで引っかかるのか理解に苦しむ』と思われがちです。
では実際の相談内容を見てみましょう。
(個人情報の特定を避けるため一部脚色しています)
注射で数百万の請求
ここでは実際の事例を3つご紹介します。
相談事例1
70代女性。無職。
しわ伸ばしの折り込み広告を見てカウンセリングの予約をした。
クリニックに行くと施術は『1時間で終わる』と言われ帰そうとしない。
手持ちのお金がないといっても『すぐに終わるから』と処置室に。
処置室では医師により説明を受けるも突然のことで頭が真っ白になり何を言われているのか分からないまま、同意書を書かされた。
30分ぐらいの施術で注射を4本打たれた。
家に帰って書類をよく見ると消費税込みで1300万もの請求されていた。
金額にびっくりして夜も眠れない。
近くに住む弟の嫁に相談すると消費者センターに電話をしてくれた。
払わなくてはいけないのだろうか。
相談事例2
70代女性。家事手伝い。
新聞の折り込み広告を見て、目の下のたるみ解消の相談に行った。
『30万で3年保証の注射』と『40万で5年保証の注射』の2つのコースについて説明を受ける。
高額のため考えてからにすると伝えるも
『一旦持ち帰ってからという人は絶対来ない。今なら消費税は請求しない。』と引き止められ、40万のコースを契約しその場で1万円支払った。
その日のうちに医師が注射をした。
カウンセラーからは3ヵ月でたるみは消えると説明があった。
しかし3ヵ月たっても何の変化もなく『全く変化がない』と電話をすると『半年で効果が現れる』と言われた。
さらに3ヵ月待ったがやはり効果はない。
再び電話をするも『一度だけやり直す。その後は対応しない』と言われる。
5年保証のはずなのに。効果もないので返金してほしい。
相談事例3
70代女性。無職。
高齢者をモデルにした新聞の折り込み広告でアンチエイジングの美容医療クリニックを知った。
一度電話すると『相談だけでも大丈夫。一度見せてほしい』と言われクリニックへ。
『お金がないから今すぐは契約する気はない。』と伝えるも、1時間以上にわたり勧誘された。
契約しなければ帰れない雰囲気になり、『私はほうれい線が気になっている』と伝えると
『ほうれい線なら注射で100万』と言われる。
『そんなお金はない。』というと『預金はいくらあるのか』『今日は特別に60万でやりましょう』と言われる。
当初の半額程度になったため、安くなったと思い言われるまま即日施術してしまった。
しかしやはり高額なので払えない。
このような事例が最近多発しています。
ではトラブルに巻き込まれないために注意すべきことはどんなことでしょうか。
料金トラブルに巻き込まれないためには
美容医療全体ではインターネット広告による集客が大半を占めます。
しかし60歳以上では折り込み広告がクリニックに出向くきっかけになることが最も多くなっています。
広告をうのみにしない
リスクなく簡単にキレイになるという広告がトラブルのきっかけになっています。
もし興味があるのであれば美容医療に関する関連学会やインターネットのホームページなどを参考に情報を集めましょう。
そこでだいたいの料金体型の把握ができます。
施行までの流れや説明を十分に理解する
医師でなければ医業を行えないため、施術前には医師の医学的判断が必要となります。
しかしトラブルの起こるクリニックでは医師ではないスタッフが診断、施術の決定を行いトラブルとなることが多くあります。
施術だけでなく、診断行為や説明を受けるまでの流れを十分に確認しましょう。
希望しない即日施術には契約をしない
想定していた金額よりもはるかに高額であった場合はその金額の根拠を確認することが重要です。
説明された内容や料金についてはその場でメモをとったり、相談するといって家族に電話で確認をとるのもいいでしょう。
特に相談事例では『契約しなければいけないような状況になった』との声が多くあります。そのような状況になった場合は家族や消費者センターに確認電話をさせて欲しいとしっかり意思表示をする必要があります。
トラブル回避のためのチェックリスト
以上のことを踏まえて、国民生活センターが作成したトラブル回避のためのチェックリストを掲載しておきます。
医療機関の選択について
□ 相談・カウンセリングの段階からの費用の説明はありましたか
□ 保険適応で受けられる施術なのか説明がありましたか
□ 契約・解約条件の説明、ルールの明示はありましたか
□ 手術費用について費用総額の詳細に説明はありましたか
□ 担当医などの体制、専門の麻酔医など医療体制の説明はありましたか
□ 担当医の担当する範囲の説明はありましたか
施術・手術を受ける前に
□ 自由診療での費用や支払い方法・支払い時期の説明はありましたか
□ 担当医師から希望している施術の効果や限界や個人差などの説明はありましたか
□ リスクの説明、副作用の説明はありましたか
□ 術前の検査や術後のケアの説明はありましたか
□ 施術が必要な期間および普通の生活に戻れるまでの期間の説明はありましたか
施術後の注意について
□ 医師から術後の状況や注意点、ケアの方法の説明はありましたか
□ 手術の細菌感染などについての説明はありましたか
施術期間中に危害が起こった場合について
□ 施術期間中に身体に危害などの問題が発生した時の対処方法の説明がありましたか
□ 医療関連団体などの相談窓口の紹介はありましたか
契約してしまったら
上記チェックリストを見てもやはり、きちんと細部に渡って料金やリスクなどしっかりと説明をしてくれているかどうかが重要です。
状況や勢いに負けて、同意書に署名をする前にまずは納得するまで話を聞きましょう。
それでも押し切られそうな場合は必ずサインをする前にどこかに電話して下さい。
自分で考えられなくなったときは、その場にいない人の声で一度自分の置かれている状況を見直すことができるかもしれません。
もし契約してしまった場合はすぐに最寄りの消費生活センターに相談して下さい。
その際にはクリニックから受け取った書類やメモ、資料を準備して電話をお願いします。
消費者ホットライン
局番なしの188(いやや)
※お住まいの地域の消費生活センター等を案内する全国共通の3桁の電話番号です。
最近の60歳以上の女性の美容医療トラブルの増加をうけて、国民生活センターが厚生労働省に以下の要望を提出しています。
○各種法令に照らして問題のある事業者に適切な指導等の実施を促すこと
○広域的に発生しているトラブルに迅速に対応するため、全国の自治体間で情報の共有をより一層充実させること
○特に問題のある事業者に対して行政指導を行った場合にはその指導事例の共有等により連携を行うこと
このように行政も動きはじめるほどの被害が出ています。
もしトラブルになった場合は一人で悩まずにまずは相談して下さい。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。