「最近、転職の相談がかつてないほどに増えています。」

IT関係の転職を仲介する企業の方から、こんな話しを伺いました。

「オーソドックスなSI事業者からクラウドを主体にビジネスを提供している会社やITサービスを提供する会社などへの転職希望者が増えています。」

これは、できる人材が「モード1型企業」から「モード2型企業」へと移動をはじめていることを意味しているのかもしれません。

ガートナーは、情報システムを、その特性応じて「モード1」と「モード2」に分類しています。

モード1:変化が少なく、確実性、安定性を重視する領域のシステム

効率化によるコスト削減を目指す場合が多く、人事や会計、生産管理などの基幹系業務が中心

モード2:開発・改善のスピードや「使いやすさ」などを重視するシステム

差別化による競争力強化と収益の拡大を目指す場合が多く、ITと一体化したデジタル・ビジネスや顧客とのコミュニケーションが必要なサービスが中心

情報サービス産業の規模は、リーマンショックでの落ち込みはあるものの過去10年を振り返れば、売上規模20兆円、従業員数100万人前後を維持しています。しかし、一方で急激な成長も見られません。それにもかかわらず、転職需要が旺盛だと言うことは、産業構造がモード1主体からモード2主体へと変わりつつあり、それに伴う転職需要が拡大しているのではないかと、私は考えています。

モード1を主体とする企業は工数需要が事業を支えています。しかし、新規需要の開拓は容易ではなく、既存システムの保守・サーポートが事業を支えている場合が多く、「売上は維持できても利益が出ない」という課題を抱えています。これにクラウドの普及が追い打ちをかけ、工数需要の拡大を抑えこんでいます。

一方、モード2型の企業は新たなITを活かしたデジタル・ビジネスの需要拡大に支えられ、売上も利益も伸ばしているようです。

このような状況を背景に、モード1型企業の「できる人材」が、自分たちのやっていることに将来性を見出せず、このままでは自分の成長もないとの判断から、モード2型企業へと可能性を求めて、移動をはじめているのではないでしょうか。

「IT企業からユーザー企業の情報システム部門や事業部門への転職希望も増えています。」

事業のデジタル化を推し進め、新たな競争優位を築こうと模索をはじめている企業が増えています。しかし、現有の人材でこの変革に対応することはできないと考え、外部から「できるIT人材」を迎え入れ、この取り組みを加速しようというのです。

一方、IT企業の「できる人材」は、IT企業側にいては、このような変革に主体的に関われないので、自らがユーザー企業に転職することで、この取り組みを主導したいという想いがあるようです。

「でも、そんな人材のマッチングは容易ではありません。」

話しを聞けば、ユーザー企業への転職を希望し相談を請け、ユーザー企業に紹介してもうまくいかないケースが多いのだそうです。例えば、ユーザー企業での面接で、IoTやAIを活かすことで、この会社は何ができるか、何をすべきかを聞かせて欲しいと求められても、自分の考えがなく、答えられないというのです。

確かに仕事では様々な「体験」はしているのでしょう。しかし、その体験から教訓を学び、他の場合に当てはめて利用できるように体系的に整理し、言葉として表現できるカタチ、つまり「経験」にできていないのです。「現状の不満から解放されたい」や「漠然と新しいことをやってみたい」だけで、「経験」という売り物がなければ、それも仕方のないことです。

できる人材は求められ、その能力を最大限に発揮できる場所へと移り企業や社会の変革に力を発揮する場を与えられる一方で、その準備ができていない人たちは、既存のビジネスの枠組みの中に取り残されてしまいます。こうやって、ITに関わるビジネスの産業構造が新陳代謝を推し進め、社会の変化に適応した「あるべき姿」へと変わろうとしているのかもしれません。

できる人材がいなくなってしまったモード1型の企業は、この変化に気付き変革を進めるにもそれを主導する人材がいないわけですから、変革が進みません。一方で、モード2型企業やデジタル・ビジネスを牽引するユーザー企業は、できる人材を確保して、益々成長の加速度を増してゆきます。

こうやってITビジネスやITに関わるビジネスの新陳代謝が急速に進み、ITの社会における役割が、大きく変わり、産業構造が変わってゆくのでしょう。これは明らかに正常な進化です。ですから、この潮流を押しとどめることはできません。ならば、この変化に対応する取り組みをすすめてゆくしか、とるべき選択肢はないのです。

できる人材がいなくなってしまう前に、彼らにとって魅力的な存在となるためには、どうすればいいのかを、いま経営者は問われています。昨今、話題となっている「働き方改革」も、そんな視点と組み合わせて、取り組む必要がありそうです。

  • 何ができるようになるのか?
  • どのような価値を生みだすのか?
  • なぜ注目されているのか?

「知っている」から「説明できる」へ
実践で「使える」知識を手に入れる

  • IoT とインダストリー4.0
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最新版(4月度)をリリースしました!

新入社員のための「最新トレンドの教科書」も掲載しています。
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*クラウドについてのプレゼンテーションをインフラ編から独立させました。
*使いやすさを考慮してページ構成を変更しました。
*2017年度新入社員研修のための最新ITトレンドを更新しました。
*新しい講演資料を追加しました。
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クラウド・コンピューティング (111ページ)
*「インフラとプラットフォーム編」より分離独立
【新規】クラウドによるコスト改善例 p101-108

開発と運用(68ページ)
【新規】管理運用の範囲 p.37
【新規】サーバーレスの仕組み p.40

インフラとプラットフォーム(211ページ)
*クラウドに関する記述を分離独立
【新規】多様化するデータベース p.127
【新規】クラウドデータベース p.156-158

IoT(101ページ)
【新規】IoTはテクノロジーではなくビジネス・フレームワーク p.16
【新規】LPWA主要3方式の比較 p.52

人工知能(103ページ)
【新規】自動化と自律化が目指す方向 p.14
【新規】操作の無意識化と利用者の拡大 p.21
【新規】自動化・自律化によってもたらされる進歩・進化 p.22

テクノロジー・トピックス (51ページ)
【新規】RPA(Robotics Process Automation) p.17

サービス&アプリケーション・基本編 (50ページ)
*変更はありません

ビジネス戦略(110ページ)
*変更はありません

ITの歴史と最新のトレンド(14ページ)
*変更はありません

【新入社員研修】最新のITトレンド
*2017年度版に改訂しました

【講演資料】アウトプットし続ける技術〜毎日書くためのマインドセットとスキルセット
女性のための勉強会での講演資料
実施日: 2017年3月14日
実施時間: 60分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち

【講演資料】ITを知らない人にITを伝える技術
拙著「未来を味方にする技術」出版記念イベント
実施日: 2017年3月27日
実施時間: 30分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち

新刊書籍のご紹介

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About the author

斎藤昌義

ネットコマース株式会社 代表取締役: 日本IBMで13年間にわたり営業を経験。電気、電子の大手製造業を担当。現在は独立し、ベンチャー企業や大手企業の新規事業の立ち上げ支援、SIer/ITベンダーの営業力強化支援、ソリューション営業力研修、営業コーチングなどのコンサルティングを手がける。

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