健康な足の爪は、薄いピンク色をしていてツヤがあります。
その足の爪が黒くなっていると「もしかして、がん?」なんて心配になってしまうかもしれませんが、ほかにも原因はいろいろあります。
足の爪が黒く変色する時には、メラニン色素が関わっていることが多いようですが、どのような原因によるものなのでしょう。
足の爪が黒い時に考えられる原因について、一つずつ見ていきたいと思います。
足の爪が黒い原因
ほくろ
「爪にほくろ?」と思われるかもしれませんが、爪にもほくろができることはあります。
ほくろができるのは、爪母という、新しい爪を作っている根元部分。
足の爪母にほくろができる場合は、ほとんどが親指の爪となります。
爪母にほくろがあると、そこから爪の先にかけて伸びていく新しい爪に、黒い線(色素線条)が現れます。
ほくろが悪性化することは稀なので、そのままにしておいても良いのですが、外見的に気になるという人は手術で切除することも可能です。
ただし、一般的に手術できるのは、ほくろの幅が2mm程度のものまでとなっています。
あざの可能性も
ほくろと似たものに色素性母斑(黒あざ)があります。
こちらも同様に、爪母にあざのある爪に、黒い縦線が一直線に伸びる形で現れます。
あざによる色素線条は、ほくろの場合よりも、もう少しくっきりと出ることが多くなっています。
自己判断は危険
爪に黒い縦線がまっすぐ伸びる色素線条では、ほくろやあざの可能性がありますが、自己判断で決めつけるのは危険です。
色素線条はごく稀に、初期の皮膚がんの症状としても現れることがあります。
ほくろやあざならばマニキュアなどで隠すこともできますが、必ず一度は皮膚科を受診して、皮膚がんなどの可能性がないことを確認してからにしてくださいね。
爪下血腫
爪が黒くなっていて強い痛みがある時には、爪下血腫の可能性が高くなります。
名前は聞きなれないかもしれませんが、これは足に物を落としたり、タンスの角に指をぶつけたりといった外傷によって、爪の下に内出血が起こるものです。
外傷のほかにも、きつい靴を履き続けることによる圧迫や、激しい運動を行っている人でも見られ、足の爪が黒い原因としては頻度の高いものとなっています。
爪の下で出血があると、その部分は爪と骨で挟まれているため、溜まった血の逃げ場がなくなってしまいます。
その溜まった血が爪を透かして黒く見え、同時に強い痛みを発生させます。
爪下血腫の治療法としては、爪に小さな穴を開けて、そこから溜まった血を抜き出す処置があります。
爪には神経が通っていないため、穴を開ける行為には痛みを伴いませんが、病院によっては局所麻酔をかけて行うこともあります。
穴は、針や熱したクリップの先、またはレーザーを使って開ける病院もあるようです。
炎症後色素沈着
爪下血腫のような外傷や、感染症(とびひ、帯状疱疹など)、ニキビなど、炎症を起こすものなら炎症後色素沈着ができる可能性があります。
炎症が起こると、その部分でメラニンが生成され、褐色の色素沈着ができることがあります。
爪の場合はその色素沈着が黒い線(色素線条)として現れることも。
炎症後色素沈着は、メラニンを多く持つ黄色人種に起こりやすいため、日本人でも頻度の高いものとなっています。
炎症を起こしている原因を治せば自然と消えていくものでもあるので、原因の治療に専念しましょう。
爪白癬(爪水虫)
足の水虫を放置していると、原因となっている白癬菌(カビの一種)が皮膚から爪の中へと入り込んで、いわゆる爪水虫になってしまいます。
爪水虫の症状としては、爪の下の角質が厚くなり、足の爪自体が分厚くなったり、白く(人によっては茶色や黒っぽく)濁って見えます。
足の爪には神経が通っていないため、痒みや痛みはほぼありません。
爪白癬は治りづらく、足の水虫で使うような外用薬はほとんど効かないとされています。
治療では抗真菌薬の飲み薬を中心に使い、完治するまでには半年~1年ほどがかかります。
悪性のできもの
足の爪が黒い時、やはり皆さんが心配するのは悪性のできもの(がん)でしょう。
足の爪にがんができる可能性はとても低いのですが、発見が遅れて全身に転移すると命にも関わるので、必ず病院で診てもらうようにしましょう。
悪性黒色腫(メラノーマ)
「ほくろのがん」として知られるメラノーマは皮膚がんの一種です。
原因としては、紫外線の浴びすぎ(特に子供時代の日焼け)や、白人または色白の人に多いと言われますが、爪にできる場合には紫外線はあまり関係していないようです。
爪にできるものは「末端黒子型黒色腫」と呼ばれますが、原因としては遺伝子変異によるものが最も多くあげられます。
爪母の上皮にあるメラノサイト(色素細胞)ががん化することによるもので、大きさは6mm以上というのが一つの基準になっています。
それが、普通のほくろと同じように、爪に黒い線(色素線条)となって現れるので、線の幅が6mmを超えていないかどうかは気にしておくと良いですね。
進行すると爪全体が黒くなり、爪が割れるなどの症状も見られます。
ボーエン病
この病気は、がんの一歩手前(がん前駆症)の一つに分類されるもので、表皮の内側にできるがんです。
褐色の円形や楕円形をした、少し盛り上がりのある斑ができますが、痒みなどはありません。
爪の下の皮膚にできると、やはり色素線条が爪に現れ、皮膚の角化により、爪を押し上げて剥離させてしまうこともあります。
原因としては、紫外線やウイルス感染などがあげられます。
全身強皮症
これは膠原病の一つで難病指定されています。
こちらも非常に稀な病気ですが、男性よりも女性に多く発症し、多岐にわたる症状が全身へと広がります。
全身強皮症は、皮膚や内臓などが硬くなってしまう病気です。
最初はレイノー症状といって、冷たいものに触れたりした際に手指が蒼白になったり、人によっては紫色になったりする症状が現れることが多くなっています。
全身強皮症は人によって進行具合が違うため、進行の遅い人だとレイノー症状だけが10年以上続いたケースも確認されています。
また、足の爪の甘皮部分に「爪上皮出血点」といって、褐色や黒色の小さな出血点も現れます。
症状が進行すると、硬化が全身へと広がり、それに応じて様々な全身疾患を発症していきます。
内分泌異常や代謝異常によるもの
足の爪が黒い時には、内分泌や代謝などの異常が起きている可能性もあります。
アジソン病
内分泌異常で考えられるのは「アジソン病」です。
アジソン病は「慢性副腎不全」と言われるもので、副腎皮質ホルモンが分泌されなくなる病気です。
副腎自体の病気により発症し、そこには結核や自己免疫が関係しています。
全身に色素沈着が起こるため色黒になり、体重減少や倦怠感、胃腸症状なども現れます。
色素沈着は口内や爪にも現れ、爪では黒い線(色素線条)が見られます。
黒い線は全部の爪に現れることが多く、1つの爪に何本も出ることもあります。
クッシング症候群
もう一つ、内分泌異常で考えられるもので「クッシング症候群」というものもあります。
こちらは副腎皮質ステロイドホルモンの一つであるコルチゾールが増加してしまう病気。
クッシング症候群でも爪に色素線条が見られますが、ほかに身体的な変化(お腹が太る、手足が細くなる、顔がむくみ赤くなるなど)も見られます。
ポルフィリン症
代謝異常で考えられる病気には「ポルフィリン症」というものがあります。
これはヘモグロビンを構成している成分の一つであるポルフィリンの代謝異常が起こる病気ですが、非常に稀な病気です。
光線過敏が起こることが特徴としてあげられ、爪の変形や黒ずみ、そして全身へと症状は広がっていきます。
代謝異常により爪が黒くなる原因としては、ほかに「栄養失調」などもあげられます。
さいごに
爪に黒い線が入っていたり、全体が黒く変色している時には、ほくろや内出血などの問題ないものもありますが、がんの可能性も捨てきれないため、必ず一度は病院で診てもらうようにしましょう。
爪は「健康のバロメーター」と表現されることもありますが、それだけ私たちの体調を表している部分でもあります。
爪からのSOSを見逃さないようにしたいですね。