肌が潤う仕組み
スキンケアの基本は「保湿」にあります。
肌の潤いが失われると、バリア機能が低下し、肌荒れ、老化、大人ニキビの原因となります。乾燥肌であっても、オイリー肌であっても、基本は「保湿」です。
だけど、間違った認識で、保湿した「つもり」になっていることがよくあります。意外に多い「保湿の誤解」。その誤解を解くところから「本当の保湿」は始まるのかもしれません。
順を追って説明しましょう。
ハリをつくる「繊維芽細胞」
肌には「表皮」と「真皮」という特徴的な2つの層があります。
表皮は、主に外界の刺激を防ぎ、体内の水分が蒸発するのを防ぐ役割を担います。
また、表皮と真皮の境には「基底層」と呼ばれる層があって、ターンオーバーによって生まれ変わる表皮細胞の「素」が作られています。
一方、真皮は、肌にクッションのようなハリを作るのが役割。肌の主要成分「コラーゲン」や、ゴムのような弾力でコラーゲンを支える「エラスチン」、優れた水分保持力で全体の構造を安定させる「ヒアルロン酸」で形成され、肌の柔らかさを生み出します。
ここで忘れてはならないのが「繊維芽細胞」。
コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を生み出す工場のような存在で、肌にハリがあるかどうかは、この繊維芽細胞がしっかりと機能しているかどうかにかかっているのです。
ところが、年齢とともにその機能は衰えていきます。
そのため、ハリのある肌を保ち、シワやたるみを予防するためには、エイジングケア化粧品などで繊維芽細胞の活力をアップさせてあげる必要があります。
それがあってこそ、正常な表皮(角質層)が成り立つのです。
潤いを決める「保湿物質」
そして、肌の潤いを左右するのは、その角質層にある「皮脂膜」「天然保湿因子(NMF)」「角質細胞間脂質」という3つの保湿物質です。
角質層の水分のうち、80%は角質細胞間脂質が、18%はNMFが、2%は皮脂膜が守っています。これらが助け合いながら、正常に水分をキープできていれば、肌はそう易々と乾燥しません。
「肌が潤っている」とは、これら保湿物質がきちんと働いているかどうか、ということなんですね。
保湿にまつわる誤解
それらを踏まえて、本題の「保湿に関する誤解」なのですが、そもそもスキンケアにおける「本当の保湿」とは何でしょうか?
ここに多くの誤解が潜んでいるような気がします。
誤解1:化粧水はたっぷり使おう
一番多い誤解ですね。
肌が乾燥しているので、化粧水をたっぷりつける。そういう使い方をしている方がいるかもしれませんが、残念ながら、ほとんど意味がありません。
なぜなら、化粧水の構成成分はほとんどが水(H2O)で、水そのものを肌に与えてもバリア機能に遮られて、肌の奥まで入っていかないからです。
浸透するとしても、角層の2~3層程度。これではすぐに水分が蒸発してしまってキープできません。浸透させようとしてシートマスクを使ったとしても、保湿としての役割を果たせたとは到底言えないのです。
一方、人の肌にはもともと水分を維持する仕組みが備わっていて、その機能は加齢とともに低下していきます。
「本当の保湿」とは、この仕組みが衰えないように活性化してあげること。体内から湧き上がる水分を保持するようにサポートしてあげることなんです。
「保湿=化粧水」というイメージが強いと思いますが、このイメージは一度捨て去ってしまいましょう。一般的に化粧水には、清涼感によって肌のほてりを抑えるくらいの効果しかないと思って間違いありません。
誤解2:乳液でフタをすれば万全!
「化粧水をつけたあと、水分が蒸発しないように乳液・クリームでフタをすれば万全」とよく聞きますが、保湿としてはこれでも万全とは言えません。
万全というには、油分だけでは心許ないからです。
前述のとおり、肌本来の機能においても「皮脂膜」で保てる水分はわずか2%に過ぎません。実は、油分で肌に膜を作っただけではそれほど保湿力は高くなく、したがって乳液・クリームを塗ってもそのすき間から水分は蒸発してしまうのです。
では、乳液・クリームに意味はないのかというと、もちろんそんなことはなくて、「角質細胞間脂質」の機能をサポートしてあげることが可能です。
角質細胞間脂質は油分層と水分層を重ねた「ラメラ構造」を形成し、肌の水分の80%を保持する重要な役割を担っています。角質細胞間脂質として代表的なのが「セラミド」。最近は多くの美容液や乳液・クリームに配合されていますよね。
化粧品に配合されたセラミドが角質層に届くことは実験でも明らかになっていて、その効果は実証済み。それどころか、角質細胞間脂質によって肌の潤いの80%が守られていることから、保湿スキンケアなら「セラミド一択!」と言って過言じゃありません。
乳液・クリームは、「水分にフタをするもの」と考えるのではなく、「肌に有効成分を与えるもの」と考えるべきです。
誤解3:ニキビ肌に油分はNG
オイリー肌や大人ニキビ肌の人は「ベタつくのがイヤ」「油分は必要ない」と思って、化粧水だけで済ませてしまうことが多いもの。ところが、これは逆効果。保湿をおざなりにすると水分まで不足してしまいます。
水分不足の肌は逆にテカリが目立つ上、肌のバリア機能が低下して、大人ニキビも一層できやすくなります。
このことは、米国皮膚科学会でも実証されていて、「にきびに保湿剤不要は誤解」として、皮膚のバリア機能を高めるセラミド配合の化粧品の使用を勧めています。
誤解4:スチーマーの蒸気で潤い補充
美顔スチーマーの蒸気は水分がナノ化されているので、顔に当てれば、肌に浸透してしっとりする。
残念ながら、これも間違いです。
美顔スチーマーは機械から噴出される蒸気を顔に当てて、肌へ有効成分を浸透させたり、温寒効果で肌を引き締めたりする効果を謳っているのですが、保湿という観点からは意味がありません。
蒸気を当てた直後は、肌がしっとりしたように感じるかもしれませんが、それは肌が濡れただけ。
しかも、肌についた水滴はすぐに蒸発し、そのときに、肌の中にある水分も蒸発させるという、逆効果な現象を起こします。
「過乾燥」と呼ばれる現象です。
原理は、ろ紙を引き上げるタイプの芳香剤のように、水分が重力に反して引き上げられる「毛細管現象」というものです。この現象によって、肌の内側の水分が表面に引き上げられて、次から次へと蒸発してしまうんですね。
美顔スチーマーだけでなく、霧状に噴出する「ミスト化粧水」も同じ理屈で、逆に肌の乾燥を進めてしまいます。
乾燥肌が気になる方は、こういった商品は使用すべきではありません。
まとめ
以上、保湿に関する4つの誤解を紹介しました。
肝心なことは、体外から水分を補給するのではなく、体内に元々備わっている水分保持の仕組みをサポートしてあげることです。
決して「保湿=化粧水」ではないんですね。