[2010年11月30日:公表]

さまざまな悪質商法(次々販売)

 一度契約をした消費者に対して、問題のある販売方法で次々と新たな契約をさせるという商法です。業者は同一業者の場合もありますが、複数の業者が入れ替わり立ち替わり契約させるケースもあります。

 ターゲットは、高齢者と20歳代という両極端で、高齢者は寝具などの訪問販売が、20歳代はエステティックサービスなどの店舗販売が多くなっています。


トラブル事例

訪問販売

浄水器、ゲルマニウム温泉器、磁気活水器、マッサージ器・総合メンテナンス保証

 1年半前「水道水の点検に来ました」と男性が来訪した。試薬を使って水道水を調べ、「水が汚れている。浄水器をつけるように」と勧められ、31万5千円の浄水器を契約した。数日後、集金に来た時に「お風呂に入れると温泉と同じ効果が得られる」というゲルマニウム温泉器(27万円)を勧められ、断りきれずに契約した。それから4カ月後、同じ販売員が水道管の寿命を伸ばすためだと言って磁気活水器(60万円)を取り付けて行ったが、契約書をみると前と別会社になっていた。9カ月後、再び同じ販売員が来て、マッサージ器とこれまで購入した機器に対する総合メンテナンス保証契約(45万円)をした。いずれも本当は契約したくなかったが、家を知られているので何かあったら怖いと思い、断れなかった。(80歳代 女性)

羽毛布団セット、肌掛け布団、遠赤外線カバー、敷きマット、ムートンの敷物

 「羽毛布団の点検します」という電話があり、その後、販売員が自宅に来て「布団が湿っている。これほど状態の悪いのは見たことがない。これを使っていたら体に悪い」と言われ不安になって、使っていた布団を下取りに出して、羽毛布団と羊毛敷き布団を買った。その後、4社が入れ替わり立ち替わり来て、肌掛け布団、遠赤外線カバー、敷きマット、ムートンの敷物などを勧められ、断りきれずに契約してしまった。すでに下取りされた布団もあり、いつどの布団を買ったのか、もう分からない。支払い総額は300万円を超え、支払えない。(70歳代 女性)

シロアリ駆除、床下換気扇、床下耐震金具、屋根裏耐震工事

 「近所でシロアリ駆除をしたので、この辺りを無料で点検している」と言って男性が来訪した。床下を調べたところ、シロアリの痕跡があったと言う。シロアリが食ったあとだという床下の写真を見せられて驚き、駆除を頼んだ。また、床下がじめじめしていると言われて、床下換気扇8台の契約をした。次は家が古いので耐震金具をつけたほうが家が丈夫になると勧められて、床下耐震金具を契約し、さらに屋根裏も補強しないと意味がないと言われ、屋根裏の耐震工事も契約した。短期間に総額600万円の契約をしたが、本当に必要な工事だったのか。(70歳代 男性)

店舗販売

着物、帯、宝石、バッグ

 近くの大型ショッピングモールに着物の店があり、小物を買ったことがある。その後、キャンペーンのハガキが来たので出向き、勧められるままに訪問着を買った。受け取りに行った際、有名な作家がデザインをしたという帯を「その訪問着にとても合う。このような帯は二度と出ない」と勧められて契約した。その後も『お得意様ご招待』のはがきが届き、プレゼントをもらいに行くたびに宝石やバッグ、着物を勧められ断りきれずに買っていたら、クレジットの返済ができなくなってしまった。(60歳代 女性)

化粧品、美顔器

 無料チケットをもらい、美顔エステの体験に行った。とても気持ちがよかったので、回数制限のない半年間有効の10万円コースを契約した。施術に行く度に自宅ケアのための化粧品を勧められ、断ると不機嫌な対応になるので購入した。その後、美顔器も断りきれずに購入した。支払いが厳しいと担当者に伝えたところ、友人を連れてきたらキャッシュバックがあると言われたが、行くたびに何か勧められるのでもう行きたくない。(20歳代 女性)

育毛サービス、基礎化粧品、カツラ

 毛髪診断を受けたくて、軽い気持ちで店に出向いた。機械を使って自分の頭皮の状態を見せられ、「毛根にアブラがたまっている。頭皮が赤い。今のうちにケアをしないと大変なことになる」と言われ、とても心配になった。将来髪が薄くなったら困ると思って1年間の育毛サービスと自宅で使うシャンプーやマッサージ用の化粧品を買う契約をした。さらに「今のうちにカツラを作っておくと安心」と言われ、まだ必要がないと思ったが断りきれずカツラも作った。毎週施術に通っているが、髪は以前の状態と変化がないように思う。本当に必要な契約だったのか。カツラは一度も使っていない。(20歳代 男性)



契約をやめたい時

クーリング・オフ

 訪問販売や電話勧誘販売で契約をした場合は「法律で定められた事項が書かれた書面(法定書面という)を受け取った日」(契約した日ではありません)から8日以内であればクーリング・オフができます。

 しかし、次々販売が発覚した時点でクーリング・オフができるのは、直近の契約だけの場合がほとんどです。それでもクーリング・オフができるのであればとにかく通知を出しましょう。

 それ以前の契約でも契約書面に不備がある場合は、「法定書面が交付されていない」としてクーリング・オフが主張できる場合があります。

クーリング・オフができない場合

 次々販売の場合、業者のセールストークや勧誘方法に問題があることが多く、これにより契約の無効や取り消しができる場合があります。

 また、訪問販売で、一人暮らしなのに布団を10枚以上買わされたなど消費者が通常必要とされる量を著しく超える商品(役務・指定権利)を購入する契約を結んだ場合、契約締結後1年間は、契約の申し込みの撤回又は契約の解除ができます。(消費者にその契約を結ぶ特別の事情があったときは例外です)この際の清算ルールは、クーリング・オフと原則同様の清算ルールが適用されます。

まず相談しましょう

 長い期間にわたって複数の契約をしているので、それぞれの契約時にどのような勧誘を受けたのかほとんど覚えていないことがよくありますが、相談する際はせめて関係書類だけでも出来る限り探しましょう。

 よく覚えていなかったり、契約書面が見つからなかったりしても、とにかくあきらめずにお住まいの自治体の消費生活センターに相談しましょう。



被害にあわないために

 業者は最初の契約で「この家は、昼間は高齢者が一人で留守番をしているので、話し相手になり親切にすれば、すぐ契約する」「この人は断ることが苦手で、強く勧めれば契約してくれる」などの情報を得ているので、契約が欲しい業者にとって2度目以降は勧誘しやすいものです。中には消費者に認知症の症状があることを知りながら、次々と契約を勧める極めて悪質な業者もいます。また、このような消費者の情報を同業者で共有し、一度契約してしまうと複数の業者から一斉に勧誘が始まる場合も多くみられます。

 実際に被害に遭った人の中には「初めの頃から必要のない契約だと思い後悔したが、断れない自分も悪いのであきらめていた」と言う人もいます。この時点で相談していれば、被害を回復できる可能性だけでなく、同様のトラブル事例や今後の注意点についての情報を得ることで、その後の被害を未然に防ぐことが期待できます。

 たとえ顔なじみの担当者に親切にしてもらったとしても、業者の本当の目的は新たな契約です。勧められても、本当に必要な契約なのかを冷静に考え、きっぱりと断る勇気を持ちましょう。特定商取引法では、訪問販売と電話勧誘販売ではっきり断った消費者への再勧誘を禁止しています。

 被害を未然に防いだり、拡大させたりしないためには、家族や周りの方の見守りが不可欠です。特に高齢者の場合、本人の被害者意識が低く、被害が表面化するまで時間がかかることもあります。日頃から見慣れない商品が大量にないか、不審な契約書類がないかなど、家の中や生活状況の変化に注意しましょう。また、高齢者が相談しやすい環境を作っておくことも大切です。



参考法令

特定商取引法3条、9条、17条