からだの「外側」と「内側」から気になるにおいを断つ!
気温と湿度が高くなり、汗をかく機会がふえるこの季節。汗をかくと気になるのが、からだのにおいでしょう。からだの「外側」と「内側」からの対策で、においをシャットアウトする方法を紹介します。
"メタボ"がニオイの原因になることも
「からだのにおいには、からだの"内側からのにおい"と"外側からのにおい"があります。その2つのにおいが発生する原因を知り、対策を講じることが大切です」と話すのは、わきが(腋臭症)・多汗症の専門医で、体臭にも詳しい五味クリニック院長の五味常明先生です。
外側からのにおいとは、からだから分泌された汗や皮脂が原因となって発生するにおいです。基本的には、汗自体ににおいはないのですが、汗をかくことによって、細菌が繁殖し、においが発生します。これが、一般的にいわれる"汗くさい"という状態です。
「わきの下が強くにおうわきがも外側からのにおいのひとつです。アポクリン汗腺からの汗が原因となり細菌が増殖するもので、体質により、強いにおいを発生します」と五味先生は話します。
一方、見逃しがちなのが、からだの内側からのにおいで、汗そのものがにおう場合。
睡眠不足やお酒の飲みすぎなどの不健康な生活習慣、便秘や肝機能の低下などの体調不良、そしてメタボが原因となり、アンモニアなど、においの元となる物質が汗に移り、汗自体がにおうようになります。
「中高年の男性に特有な"加齢臭"も、皮脂腺の内部が酸化することによってにおいの原因となります。これも、からだの内側からのにおいといえるでしょう」(五味先生)
においの原因となる2種類の汗
アポクリン汗腺
わきの下、耳の中、陰部付近など特定の部位にある汗腺で、皮脂腺とともに毛穴とつながっている。汗には尿素やアンモニア、皮脂腺から分泌される脂質、鉄分などが含まれており、においを発生しやすい。アポクリン汗腺は誰にでもあるが、においの強さには個人差がある。
エクリン汗腺
全身に分布している汗腺で、アポクリン汗腺とは異なり、毛穴とはつながっていない。エクリン汗腺からの汗の99%は水分で、尿素、アンモニア、塩分などがわずかに含まれる。
からだの「内側」と「外側」2つのにおい
からだの外側からのにおい
汗に含まれる成分と皮膚表面の角質などが、皮膚の細菌などによって分解され、においが発生する。
足のにおい
足の裏にはエクリン腺が密集している。さらに靴で密閉されているため、足が汗をかきやすく、細菌が繁殖しやすいので、においが強くなる。
運動後の「汗くさい」におい
汗をたくさんかく夏の季節はとくに注意。汗をかきなれていない人の汗はにおいやすい。
わきが(腋臭症)
アポクリン汗腺から出る汗が分解され、においが強くなる。アポクリン汗腺の数が多い人、汗腺の大きさが大きい人はにおいが強くなりやすい。
からだの内側からのにおい
生活習慣や加齢、病気などによって汗そのものがにおう
メタボ臭
高血糖や脂質異常により、アンモニアやケトン体などのにおい物質が発生しやすい。内臓脂肪の脂肪酸は酸化しやすく、においの原因となる。
加齢臭
中高年になると皮脂などに含まれる脂肪酸が酸化し、ノネナールというにおい物質が発生する。とくに男性は皮脂腺の活動が活発なため、においが強い。
疲労臭
飲みすぎや睡眠不足などで、肝機能が低下すると、アンモニアが体内で発生し、血液を通じて汗ににおいがつく。
ほかに、便秘や、腎機能の低下などもからだの内側からのにおいの原因となる
からだの外側から、内側から…においをシャットアウト
夏の気になるにおいを解消するには、からだの外側と内側、両面からの対策が大切です。チェックの憑いた項目があったら、アドバイスを参考に対策を始めましょう。
対策1 外側からのにおい
チェック □仕事やスポーツでよく汗をかく
□ふだんあまり汗をかかずたまにかくとにおう
↓
汗をかいたままにしない
汗をかいたままにしていると、細菌が繁殖してにおいが発生しやすくなります。とくに運動不足などで汗をかきなれていない人の汗はにおいやすいので、汗をかいたらからだを清潔なタオルで拭いたり、衣類を着替えるなどして、からだを清潔に保ちましょう。
+α
汗かきトレーニングをしよう
汗をかきなれていないと、汗腺に老廃物などがたまり、汗をかいたときに、においの元となります。運動や半身浴で汗をかく練習をするとにおいが発生しにくくなります。
チェック □一日中、靴を履きっぱなし
□裸足で靴を履いている
↓
靴下をはき靴は清潔に保とう
靴を長時間履いていると、靴の中は高温多湿となり、さらに足は角質が多いため、においが発生しやすくなります。汚れのたまりやすい指の間をていねいに洗ったり、爪を短く切るなど清潔に保ちましょう。
裸足で靴を履くと、湿気が靴にたまりやすくにおいも強くなります。靴を履くときは靴下をはきましょう。
+α
1日中履いた靴は陰干しを
靴を履いていると、靴自体も汗を吸って細菌が繁殖し、においを発生しやすくなります。靴は通気性のよいものを選び、1日履いたら、翌日は別の靴を履くなど、2~3足を交互に履くとよいでしょう。
対策2 内側からのにおい
チェック □年齢とともににおいが強くなった
□最近太ってきた、健診結果が悪化した
□睡眠不足、お酒を飲みすぎることが多い
□便秘に悩んでいる
↓
生活習慣を見直そう
からだの内側からのにおいは、体の不調や加齢などが重なると、発生しやすくなります。汗をかいたら体を拭くなどして、からだを清潔に保つのはもちろん、下記のように生活習慣を改善することも大切です。
運動習慣をつけよう
運動によって肥満、高血圧、脂質異常などが改善し、メタボ臭、加齢臭を抑えることができる。また、運動は汗腺を活性化させる効果がある。
野菜中心の食生活に
肉食中心の食生活は、汗の油脂成分が多くなり、メタボ臭や加齢臭が強くなる。野菜に含まれる食物繊維は便秘解消にも効果がある。
疲れを残さない
睡眠不足や過度の飲酒などは、生活習慣病の要因となるほか、肝機能の低下を招き、アンモニアなどの疲労臭の原因物質を発生させやすくなる。
+α
入浴でにおいの元を中和
からだの内側からのにおいは、入浴でにおいの元を中和させることで、においを抑えることができます。
メタボ臭や疲労臭…アンモニアなどにより、アルカリ性になっているため、湯船に酸性のミョウバンを入れ、中和する。
加齢臭…酸化した脂肪酸によりからだが酸性になっているため、湯船にアルカリ性の重曹を入れ、中和する。
チェック □わきのにおいが気になる
□わきがかもしれない
↓
まずは清潔に。悩んでいる人は検査を
基本は、からだを清潔に保つこと。とくにアポクリン汗腺のあるわきの下などは、デオドラント剤でまめにケアしましょう。デオドラント剤を使う前に、ウエットタイプのティッシュでわきの下の汗をぬぐうとより効果的です。
においが本当に強いかどうかは、自分ではわかりにくいこともあります。家族などに聞いてにおいが強いといわれたときや、自分でどうしてもにおいが気になるときは、皮膚科に受診しましょう。
わきがの治療
アルミニウム液を皮膚に塗る治療や、手術などがあります。手術は、わきの下をメスで切開し、はさみでアポクリン汗腺を取り除く方法が一般的で、健康保険が適用されます(自費治療の医療機関もある)。
また、わきがは多汗症を合併することが多く、汗をかきにくくすることでにおいを抑える効果が期待できます。わきの多汗症の新しい治療として、わきの下に無毒化したボツリヌス毒素を注射するボトックス注射が、昨年11月から健康保険適用となりました。
すこやかファミリー2013年9月号 健康特集 より