11月の「一刀両断! 南部透のスキンケアQ&A」のコーナーで、「セラミド」についてご質問を頂きました。
その中ではお伝えしきれない部分がありましたので、今回のテーマは「セラミド」について詳しく説明をしていきたいと思います。
「肌のバリア機能に必要とされるセラミドは、加齢によって減少するようですが、セラミドの減少抑制、さらにセラミドを活かせるスキンケアを教えてください。」
セラミドとは細胞膜に高い濃度で存在する脂質の一つで、表皮の角質層を形成する細胞間脂質の50%近くを占めています。また簡単に書きますとターンオーバーで細胞が核を無くし角質細胞に生まれ変わる際にセラミドが生まれ、角質層の重要な脂質として働きます。つまりセラミド減少の大きな理由は正常なターンオーバーが行われていないことで起こります。セラミド減少を止めるには正常なターンオーバーを維持する必要があるのです。またスキンケアによりセラミドやセラミドに似た油脂をしっかり与えることも重要です。
セラミドは近年、美容だけでなくアレルギーや糖尿病、がん治療研究でも役割りが注目され、2008年には研究者や企業のセラミド研究の発展のため「セラミド研究会」団体が作られるなど様々な業界で注目を集めています。
因みにオールナチュラ化粧品でも植物由来の良質なセラミドが入手できれば、製品に反映をさせたいと考えております。しかしオールナチュラは「キャリーオーバー成分(原料に含まれる表示義務の無い微量成分)」を含む全てにおいて植物由来100%製品という高いブランド指針をかかげておりますので、簡単にはその考えに沿う素材と巡り合えないものです。それはさておき、それほど注目を集まるセラミド、順を追ってご説明していきましょう!
| ●セラミド (ceramide) セラミド (ceramide)は、スフィンゴ脂質の一種、スフィンゴシンのアミノ基にアシル基がついた構造をしています。 因みに、右の図にあります構造が一般的なものになります。様々な酵素の働きにより生体内では、ホスホコリンや単糖などが結合し、スフィンゴミエリンや糖脂質など細胞膜を構成する膜脂質が合成されます。 つまり、セラミドは細胞膜の高い濃度で存在する脂質の一つで、広くは認識されていないかもしれませんが、「脂質」なのです。脂質と書きますと「メタボ」「太る」など連想されるかもしれませんが、「生体に存在する水に不溶の成分」と定義され様々な分子郡をさし、生体内の様々な組織・細胞で重要不可欠な役割りを担っています。 セラミドの重要な役割りとしては、生体内で酵素群の働きにより細胞膜からセラミドが遊離し、シグナル伝達物質として作用することです。近年この作用が注目され医療分野で研究が進んでおり、セラミドの細胞シグナル伝達物質として「分化、増殖、プログラム細胞死(PCD)、アポトーシス(タイプI PCD)」を制御することが知られ、がん治療などの分野で注目を集めます。また肌においてはアトピー性皮膚炎の原因の一つとしてセラミドの合成障害もあげられるなど美容医療においても注目される成分です。 |
| 表皮においてセラミドは角質間脂質の 50%しめる主成分 であり、このセラミド量が健やかな角質層を形成するに重要な役割りを担っています。(※■図1 細胞間脂質の成分 参照) 角質層とは、皮膚の一番外側にあり0.02mmほどしかない組織。吸水性、保湿性に富み正常状態では約20%の水分を含み、扁平な核のない死滅した細胞(ケラチノサイト)の積み重なった層のことを言います。 健やかな角質層は、 「水分の保湿と蒸散防止」 「外的要因(細菌・紫外線など)から肌を保護」 「ハリや弾力のある肌に」 「規則正しいターンオーバーの維持」 「柔軟性やなめらかさの維持」 などに関係しています。 そして、健やかな角質層にはラメラ構造と呼ばれる細胞間脂質が存在します。 ラメラ構造とは、角質層にある細胞間脂質のことで、健康な角質層では、水分と油分(皮脂)が交互に重なりあってバランスよく構成されています。(※■図2 ラメラ構造 参照) セラミドは、角質層の骨格となるラメラ構造を支えているのです。このきれいなラメラ構造を維持できなければ、細胞膜内にNMF(天然保湿因子)が抱え込んだ水分の袋を維持できなくなったり、水分の蒸散を防げ乾燥した肌になり易くなります。 |
| セラミドはターンオーバーを行う中で生成されます。 肌のターンオーバーとは、肌の新陳代謝とも呼ばれ、角質層が1ヶ月のサイクルで生まれ変わることを言います。神経細胞を除く全ての細胞はある一定のサイクルで新しいものに生まれ変わります、もちろん肌も例外でなく常に新しい表皮細胞を生み出しています。 詳しく書きますと、肌のターンオーバーでは、肌の一番奥基底層で新しい表皮細胞が生まれ、新しい表皮細胞は形を変えながら肌表面に上がっていきます。生み出されて表面へ上がる途中、表皮細胞は核を捨て死んでいきます。このとき細胞は「角化」専門化し角質となり、同時にセラミドやNMFなどが生まれます。角質やセラミド、NMFを生み出しながら肌表面で角質層を形成し肌のバリア構造を作ります。そして最後には垢となって剥がれ落ちていくのです。 セラミドは細胞膜に多く含まれているため、表皮細胞が死に角質になることでセラミドは生み出されるのです。つまり正常なターンオーバーを行うことが、必要なセラミドを肌に保つのに一番重要ということです。ちなみにターンオーバーが活発に行う時間は「美しくなるチャンスタイム(私の独自の言い方です)」夜10時から翌2時までの4時間です。この時間はしっかり寝てセラミドをしっかり生み出してください。詳しくは以前書かせていただきました、「一刀両断! 南部透のスキンケアQ&A」へ。 |
| ちなみに角層に存在するセラミドの種類と化学構造については、幾つか種類があります。 化粧品の成分表記で「セラミド-1」など数字が付いたセラミドをみたことありませんか。実は7種類存在し、構造・働きによって種類が分けられています。(※■図3 セラミドの種類 参照) 人間の肌に最も多く含まれるのはセラミド2で、全体の20%といわれます。 化粧品原料としては天然由来セラミド、合成セラミド、合成擬似セラミドの3種類があり、上記のセラミド+数字で表される原料はほぼ合成品になります。 |
| セラミドは、美容業界で近年一気に注目を集めてきており、セラミド市場では13年で8t、09年の2倍まで延びてきています。主にサプリメント用が多いですが、近年スキンケアとしても高い注目を浴びているのがこの伸びの要因とされます。今後大手メーカーの特許が切れていくため、さらに拡大する可能性も秘めています。 セラミド原料においては、米糠や小麦胚芽などの植物体に含まれるセラミド含有量は微量で0.1~0.2 mg/g 乾燥重量ほどで、抽出しても高価なため天然由来は少なく、多くが合成品でした。しかし市場のふくらみと同時に研究が進み様々な天然由来のセラミドが開発されてきました。 化粧品原料としては植物由来で「ユズ」「こんにゃく」「小麦」「米」など、動物由来で「牛乳」「馬油」など多くの種類が出ています。天然由来はセラミド含有率としては高価ですが、天然由来というイメージで広がりを見せています。しかし近年、合成セラミドの代表格「ヒト型セラミド」を添加した製品が人気を呼んだ事により、合成セラミドも注目をされてきています。因みに「ヒト型セラミド」とは肌のセラミドと良く似ており肌に吸収もされやすいが、水や油に溶け難く多くを含有できないというのが課題でした。 近い将来きっと研究もすすみ、天然由来の「ヒト型セラミド」なども発売されるなど 美容業界ではまだまだセラミドは注目を集めそうです。 |