○あせもについて

手足の多汗症では、普通の人が首筋やひざの裏などによく出来るような“あせも”が、多汗症の手足にもできてしまいます。かゆくなったり、赤いぶつぶつが出来たりするのは、この“あせも”のためなのです。

あせもは専門的には汗疹(カンシン)と呼ばれるようです。『汗の常識・非常識』(小川徳雄・著、講談社ブルーバックス ※[汗と多汗症に関する一般書]参照)の中で、次のように説明されています。

「あせも(汗疹)は、汗をたくさんかいても蒸発もできず、皮膚面へもなかなか流れ出にくいようなとき、汗孔や導管がつまり、汗が皮膚の中に溜まることによって起きます。」

また、同書では、汗が皮膚の中に溜まる深さによって、あせもを三つのタイプに分けています。

◆ 水様性汗疹(白いあせも)
もっとも浅いところ、つまり表皮の角質層内、またはそのすぐ下に汗が溜まったときは、小さな透明の玉のような水疱となります。そこで、“白いあせも”とか、水様性汗疹といわれます。
日焼けでよく起こり、ひどいときは広い範囲にびっしりみられます。発赤とか、かゆみ、痛みといった症状は一切なく、ニ、三日で自然に治ります。

◆ 紅色汗疹(赤いあせも)
白いあせもより深く、表皮内に汗が溜まると、皮膚に赤い盛り上がりができ、“赤いあせも”または紅色汗疹といわれます。暑さの厳しい中で長い間汗をどっさりかいたときに、突然できます。
もっともよくみられるタイプで、チクチクと痛がゆくなります。汗で蒸れた角質内で細菌が増殖し、これが毒素を出して表皮内導管の角質を通る部分を傷めると、炎症反応が起こって導管の中に塊ができ、白血球も浸潤してきて導管を塞いでしまうのです。回復には数週間もかかります。

◆ 深在性汗疹
さらに深いところ、表皮のすぐ下に汗が溜まると、皮膚面にはなだらかな盛り上がりをつくります。もっとも深いタイプのあせもで、深在性汗疹といわれ、熱帯地方でだけみられます。
やはり炎症反応を起こしていますが、赤いあせものようなかゆみはほとんどありません。初め赤いあせもであったものが、たくさんの汗を繰り返しかいているうちに、炎症がだんだん深く広がって起きます。広い範囲にこのタイプのあせもができますと、汗が十分に出なくなってからだに熱がこもり、熱中症に陥ることがあります。
この中では、「もっともよくみられるタイプで、チクチクと痛がゆくなります」と説明されている紅色汗疹、つまり一般的なあせもが、やはり手足の多汗症でも一番よくできるタイプだと思います。手足に赤いぶつぶつができて痒みを伴うことがありますが、それはこの一般的なあせもが手足にできた場合の症状だと考えられます。

あせもの経験が、多汗症の程度をはかる一つの目安になるかもしれませんが、体質による違いも考えられますので、一概には言えないでしょう。また、あせもの対策の有無によっても変わってきます。

あせもの対策としては、単純ですが、よく手を洗うことが一番のようです。できるだけ汗が出たままの状態で放っておかないことが、あせも対策として有効のようです。

◆ 参考ページ

平松皮膚科医院ホームページ
http://www2.tokai.or.jp/hiramatu/hifuk/hihindex.htm
汗疹(かんしん)

(※白いぶつぶつができたり、それが破けると皮むけになったりしますが、この白いぶつぶつが水様性汗疹(白いあせも)に相当するのか、次に説明する汗疱(カンポウ)にあたるのか、2つの説明を読む限りでは、実のところ僕にはよくわかりません。どちらともとれるようで、両者の説明の差異がよくわからないのです。とりあえずここでは、ぶつぶつの白い水疱は汗疱とみなしておくことにします)

○汗疱(カンポウ)について

あせもと同様に、多汗症の手足によくできる症状に汗疱(異汗性湿疹)があります。伝言版の書き込みから推測される限りでは、あせもよりも、この汗疱の経験者の方が多いようです。

これは、白い小さな水疱(水ぶくれ)がぶつぶつとできるもので、やがて乾いてかわむけになって終わります。普通かゆみや痛みは伴いません。

平松皮膚科医院のホームページでは、汗疱について次のように説明されています。
汗疱/異汗性湿疹より

    「汗っかきの手のひら・足のうら・手足のゆびなどに細かい水ぶくれ様に見えるぶつぶつが出来たものを異汗性湿疹といいます。

    普通かゆみはありませんが強いかゆみがあることもあります。
    最初は細かい水ぶくれですが2週間ぐらいで薄い乾いたかわむけになって治ります。

    手に出来ることが多いのですが足に出来た場合はみずむしとよく間違えられます。

    異汗性湿疹汗疱(かんぽう)あるいは発汗異常性湿疹(はっかんいじょうせいしっしん)といわれることもあります。

    水ぶくれが出来ず最初から薄いかわむけで始まりかわむけで終わる場合もあります。
    これも軽症の異汗性湿疹と考えてよいと思います。
    ヴエンデ角質剥離症(ヴエンデかくしつはくりしょう)といわれるものです。」

 水疱から皮むけの経験者には、だいたいぴったりとくる説明ではないでしょうか。ホームページには患者の統計が出ていますが、このうちの何割かは多汗症なのかもしれません。

 みずぶくれが出来ずにすぐに皮がむけ始める人もいると思いますが、その場合は上記にあるように、ヴエンデ角質剥離症と呼ばれているようです。これは多汗症の人でなくてもよくみられることのように思います。

◆ 参考ページ
汗疱三原皮膚科 皮膚病講座<2>より)

『汗の常識・非常識』(小川徳雄・著、前出)では、汗疱(異汗性湿疹)について、次のように説明されています。

◆ 汗疱(カンポウ)
あせもではないが、汗が関係するかもしれないということで汗疱(または異汗性湿疹)と名づけられている皮膚病がある。
ふつう、手のひらや足のうら、とくに指の側面や母指球・小指球(おやゆびやこゆびの根本の膨らんだ部分)によくみられ、左右対称に表れる。初め、表皮内に小さな水疱が現れ、その後少しずつ大きくなって皮膚面に少し盛り上がるようになる。ときには大豆ほどの大きさになることもある。少し痒いこともあるが、多くはなにも感じず、数日ないし二、三週間後には自然に吸収されるが、ときには外に破れ、しばらく痕を残すこともある。また、再発しやすい。
汗疱は手のひら、足のうらに多汗症のある人に多い。汗疱の原因は不明だが、汗腺やその導管と関係がなく、汗疱の成分も汗の成分とは違っているので、汗が溜まってできたものではないと考えられている。

○皮むけについて

皮むけについては、あせもができた後から、皮むけになっていく場合と、汗疱が破れて皮むけになっていく場合の2通りに大きく分けられるようです。

◆ あせもの後の皮むけ

これは、あせもの項で説明した、ごく普通のあせも(紅色汗疹)ができた後に、次第に皮がむけ始めて、白くめくれ、その下の新しい皮膚に代わっていくというものです。水疱はできることなく、皮がぼろぼろとむけ代わって行きます。
手のひらや足の裏全体までがむけ代わると、ちょうど脱皮したような状態になります。
赤いあせものぶつぶつができている間は、非常にかゆい状態が続きますが、皮がむけ始めると、かゆみが治まってくると同時に、皮膚が乾燥することが多くなって来ます。そのため、冬場に皮がむけると、皮膚の乾燥のためにあかぎれを起こすこともあります。

◆ 汗疱の後の皮むけ

上記の汗疱の説明にもあるように、「最初は細かい水ぶくれですが2週間ぐらいで薄い乾いたかわむけになって治ります」。
白い水疱状のぶつぶつが破れると皮むけになりますが、たくさん出来ると全体がむけ替わる程になります。


ひら機嫌