若い世代の汗の臭い。
病気やケガ、不潔にしていることが起因の体臭というものもたくさんあります。でも普通に暮らしていて、しっかりお風呂に入り、衣服も毎日洗濯して、取り換えて、特にワキガ症でもなくても、それでもみんな体臭があります。老いも若きも、男も女も。別に悪いニオイじゃないですが赤ちゃんだって特有の体臭がある。
体臭をこんなにも先鋭的に取り上げる国は、日本ばっかりのようですね。若い世代では、体臭はひとつのアイデンティティー、プロフィールとも言えるようです。人から好かれない体臭のある人は、それが人格のように言われたり、思い悩んだり。どうしてこんな世の中になってしまったのでしょうか?
さて、若い人たちの体臭です。まずはワキガや足のニオイを分けて考えて、上半身、つまり普通の状態で第三者に察知される体臭についての考察。普通の若い世代の体臭って、どんなニオイ?
酸っぱいが基本。何故なら酢酸と乳酸が汗と混ざってたくさん出てくるから。
若い世代の汗は、酢酸(さくさん)系の酸っぱい感じがメインです。20代前半までの殆どのユーザーにおいては、かなりの確率で酢酸という物質が検知されます。あとは乳酸。それとプロピオン酸の3種類が酸っぱい感じのする、若い世代の分泌物。
酢酸は、よく知られたお酢の臭い。そのまんま。単体で嗅ぐとかなり刺激感があって、鼻の奥に突き刺さる感じです。酢酸はC2H4O2という化学式で表されます。一番最初の「C」とは、炭素のこと。その後の「2」は、分子の中に炭素が2つある物質だよという意味です。この「C」というのが、私たちの世界(体臭をどうにかしたいという人たちの世界)では非常に大事なのですが、何故かというと「C」が少ないと、比較的水に溶けやすい。だから、衣服からもカラダからもその物質を落とすのが簡単。反対に「C」が多いと水に溶けにくい。試薬なんかで比べてみると酢酸はサラサラ、「C」が9個もあるノネナールはベトベト、という違いが出ます。
同じく、割とよく聞く「乳酸」。これも酸っぱいニオイですが、酢酸ほど鋭くない。それに酸っぱさも控えめ。「C」の数は3つ。だから水によく溶ける。
もう一つのプロピオン酸も酸っぱいニオイ。けれど、少し黒酢とか麹のような臭いに似てます。場合によっては、足のあの納豆臭さにも似てくるし、濃度が濃くなると雑巾クサイというか、生乾きクサイとか。あんまり良いニオイではありません。これも「C」の数は3つ。
ここまでが、若い世代の酸っぱい体臭の主な原因です。実は30代以降になってくると、同じ酸っぱさでも甘酸っぱくなったり、酸化した油のような感じで酸っぱさが上ってきたりと、ちょっと性質が変わってきます。もちろん、酢酸や乳酸なんかも分泌するのですが、30代を超えた体臭のメイン物質はアルデヒド類になる。これに付いては、30代の体臭できっちりお話しますが、つまりは若い世代の酸っぱいニオイと年齢が上がった後の酸っぱいニオイは原因物質が違って、ニオイの質が変わってくる。
まあ、私のような専門家以外は十把一絡げに「酸っぱいなぁ」で済ましてしまうでしょうが…それに私のような専門家も他に居ないでしょう…。でも若い世代の酸っぱい体臭は、イヤなニオイじゃない!むしろその代謝の良さが羨ましい!これが私の偽りのない気持ちです。
アンモニア。実はたくさん出てますよ、皆さん
アンモニアについては何度も言及してますが、一番大事なことは「閾値(いきち)が高い」ということ。例えば脇の下にアンモニア臭がしたとしたら、酢酸臭やその他の体臭成分の数千倍の分量があると思ってください。アンモニアはたくさん無いと人間には感知できません。
ところが困ったことに体内からの分泌だけでなく、体表にいる雑菌の老廃物として生成される主な物質でもあります。次から次に作られる。体臭検査でユーザーに着て頂いた使用後の検査用Tシャツを1週間も常温保存しておくと、ユーザーによっては、激しくアンモニアが発生することがたまにあります。そういう方は、皮膚に居た悪玉菌が検査用Tシャツにたくさん付いていたんだと予想してますが、これも人によって千差万別。皮膚のケアが悪い人が1週間も寝込んだらアンモニア人間になるかも? なんてことも想像してしまいます。
悪玉菌はさておいて、分泌物としてもアンモニアは出てくる。これは若い人の方が分量は多いようです。ある程度健全な代謝の中でアンモニアを排出していると考えられるので、あまり気にしなくて大丈夫。何故ならアンモニアの組成はNH3で炭素は含まれないのですが、非常に水に溶けやすく、更に揮発しやすい。出てくる端からどんどん飛んでく。しかも閾値が高い。
つまりはアンモニアが含まれている汗でも出てきた端からしっかり拭き取れば、ヒドク臭うことにはなりません。どんどん拭く。もしそれが抗菌用ペーパーシートなら、雑菌のアンモニア生成を防ぐことも出来る。特に汗をかく季節には、そのようなケアが大事です。
他にもいろいろありますが、酪酸もよく見かけます。
もうひとつ、若い世代に多いのが動物臭さの「酪酸」「イソ酪酸」です。濃度が高いと牛のような臭い。薄い時には乳製品臭、何と言ったらよいか、溶かしバターのような、モワッとしたニオイです。当社には試薬があるのですが、ストレートに嗅ぐと「牛乳ゲロ(非常に汚い言い方でゴメンナサイ。でもまさに! それなんです)」を思わせる結構キツイニオイです。
酪酸類の「C」は4つ。まだまだ水に溶けやすい方です。他にも人それぞれありますが、以上の3つ、酸っぱいニオイとアンモニア臭と動物臭さ。これの混合臭が若い世代の特徴的な体臭ですね。けれど若い世代の体臭には、どこか健康的な…忌避度が低いような(これはちょっと分かって貰えない表現かも知れませんが)部分があります。
「女の子はそんなニオイはしない」とおっしゃる方も多いでしょう。残念でした。そんなことは無いです。みんなある程度はこれらの物質を発散させてます。ただ酪酸にしてもごく薄い状態で嗅げば、別に嫌なニオイじゃなくなったりします。他の悪臭と言われる物質もみんな同じ(一部除くですが)。だからしっかりケアして、ニオイの元を溜め込まないことが大事です。そして書いてきたように、若い世代の分泌物は水に溶けやすい物質が多い。ってことは、毎日適切なケアをして体や衣類に残さなければ、ニオイを気にしないで済むようになる可能性が高いってことになります。
やっぱい若いって素晴らしい。若いって羨ましい。