張り止め(ウテメリン・リトドリン・ズファジラン)の種類や副作用まとめ
妊娠中、切迫流産、切迫早産が心配されるときに、お腹の張り止めが処方されます。
医者から病院で処方された薬とはいえ、妊娠中に薬を飲むことに不安を覚える方は多いのではないでしょうか。
「張り止め」と呼ばれる薬の種類や副作用などをまとめました。
切迫流産、切迫早産とは
正常な出産は、「正期産」とよばれる妊娠37週以降におこなわれます。
その「正期産」より前に出産した場合は、早産や流産とよばれます。
切迫流産とは
切迫流産とは、「流産が切迫した状態にある」ということ。
妊娠21週より前に、何らかの原因で胎児が育たない、もしくは体外に排出されてしまうことを流産といい、その一歩手前の状態を「切迫流産」といいます。
切迫流産の兆候は、下腹部の痛みや、出血という自覚症状だけでなく、気づかない間に子宮口が開いてしまっている場合があります。
切迫早産とは
切迫早産は、切迫流産同様「早産が切迫した状態になる」ということです。
妊娠22週から36週の間の出産のことを早産といい、赤ちゃんが産まれてきてしまいそうな状態を「切迫早産」といいます。
切迫流産の兆候は、お腹の張りや、痛み、出血という症状です。
切迫流産、切迫早産は、すぐに医師に相談しなければならない危険な状態です。
お腹の張りは子宮収縮
妊娠中のお腹の張りは、主に子宮が収縮することでおこります。
子宮は平滑筋(へいかつきん)という筋のない筋肉でできており、なんらかの刺激や緊張によって収縮し、固くなることがあります。
このことを「子宮収縮」とよび、お腹の張りの原因になっています。
お腹が張ったら
お腹の張りを感じたら、無理をせずに横になって休み、安静にすることが大切です。
仕事中はなかなか難しいかもしれませんが、少しでも安静にできるようにしましょう。
一時的なお腹の張りは、30分ぐらいすると落ち着いてきます。
それでも、お腹の張りがなくならない場合は、何時から張りだしたのか、張る間隔、出血の有無などをメモしておき、主治医の先生に連絡し病院に行きましょう。
医師により「切迫流産」や「切迫早産」と診断されたら、在宅、入院に関わらず安静を言い渡され、必要に応じて、張り止めの薬が処方されます。
一般的に処方される張り止めは「ウテメリン」「リトドリン」「ズファジラン」です。
それぞれ、どのような効果や副作用があるかをみていきましょう。
ウテメリン・リトドリン
ウテメリン・リトドリンどちらの薬も、成分は同じ「リトドリン塩酸塩」です。
リトドリンはウテメリンの特許が切れたあとに同じ成分で作られたジェネリック薬品です。
したがって、主な作用や副作用はウテメリン、リトドリンは同じとなります。
ウテメリン、リトドリンは錠剤と点滴の2種類があります。
比較的軽い症状の場合は、錠剤を処方されて自宅安静が多いようです。
そうではない緊急の場合は、入院し点滴にて高用量を投与することが多いです。
ウテメリン・リトドリンの主な作用
子宮の筋肉内にある交感神経に働きかけて、子宮収縮を抑えます。
張り止めとしての効果が非常に高いのが特徴で、開発されてから早産になる患者が劇的に減ったといわれています。
ウテメリン・リトドリンを処方される時期
基本的に妊娠16週以降の妊婦に処方されます。
16週未満の妊婦には、安全性が確率されていないという理由で、処方されないことが多いようですが、医師の判断によっては処方されることもあります。
ウテメリン・リトドリンの主な副作用
ウテメリン・リトドリンは副作用を感じる方が多いようです。
- 動悸
- 頻脈
- ほてり
- 手指のふるえ
- 吐き気
- 頭痛や頭が重く感じる
- まめい
- ふらつき
動機や息切れ、手のふるえや吐き気は、比較的一般的な副作用といえるでしょう。
また、本当にごくまれに、重篤な副作用がでるケースがあります。
- 全身の筋肉痛
- 歩けなくなった
- 力が入らない
- けいれん
- 手足のしびれ
- 尿の回数や色が変わった
- 便秘
- 異常にのどがかわいて水をがぶ飲みする
- 発熱
- 口内炎
- 全身がだるい
- 青あざや鼻血がでる
- 息苦しい
このような症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
副作用の感じ方は個人差がありますが、つらいと感じたらすぐに医者に相談することが大切です。
ズファジラン
前述のウテメリン・リトドリンに比べると比較的弱い薬で、錠剤と筋肉注射があります。
母体やお腹の赤ちゃんへの影響が、ウテメリン・リトドリンに比較すると少ないとされています。
ズファジランの主な作用
子宮の筋肉内にある交感神経に働きかけて、子宮収縮を抑えます。
切迫流産、切迫早産以外にも、ひどい生理痛のときに処方されることも。
また、血流をよくする効果もあります。
ズファジランが処方される時期
妊娠12週から16週に処方されることが多い薬です。
妊娠12週より前の妊婦には、安全性が確率されていないという理由で、処方されないことが多いようですが、医師の判断によっては処方されることもあります。
ズファジランの主な副作用
ズファジランは弱い薬なので、副作用はあまり出にくいとされていますが、薬の量によっては副作用が出ることもあるようです。
- 吐き気
- 食欲不振
- 下痢
- 動悸
- めまい
- 顔のほてり
- 頭痛
- 眠くなる
- 発汗
副作用がひどいときは、「赤ちゃんのため」と我慢せずに、早めに医療機関を受診してください。
赤ちゃんへの影響は?
妊娠16週を超えていれば、長年使われ、十分なデータがあることから、赤ちゃんへの影響はほとんどないと考えられていました。
しかし、きわめて稀な例ですが、ウテメリン、リトドリンを使用したことで新生児に腸閉塞や胎児の不整脈、低血糖などの障害を引き起こすケースがあるので注意が必要です。
ウテメリン・リトドリンはEU(欧州)では使用制限されている
ウテメリン、リトドリンは分子量が小さく、母体に投与されると胎児に届いてしまうことがあげられています。
そのため、EU(ヨーロッパ連合)では2013年10月から、錠剤の投与はなくなり、点滴は48時間までに限定するという使用制限を設けました。※
ウテメリンを販売している製薬会社、キッセイ薬品工業株式会社によると、EUと日本での点滴スピードや投与量を比較すると、EUでは基本的に最大350µg/分までの注入速度で短期間使用していたようです。
いっぽう、日本では最大200µg/分の注入速度で欧州より長い期間使用され、大半の方が1ヶ月以内に投与を終了しているようです。
EUと比較すると日本は、長い時間をかけてゆっくり点滴を行っています。
一般論ですが、点滴スピードが早ければ、薬剤の血中濃度が高くなり、副作用も強くなりがちです。
使用方法がEUと日本では異なるため、一緒に考えることはできませんが、安全に使うためにメーカーは医療機関に適正な使用を求めています。
張り止めの目的は「赤ちゃんを守ること」
切迫流産や切迫早産は、いわば赤ちゃんの命の危機という重大なトラブルです。
張り止めの薬は、切迫流産や切迫早産からお腹の赤ちゃんを守るために処方されます。
赤ちゃんがしっかりとママのお腹の中で成長できるようにするために、子宮収縮抑制剤は大きな効果をあげています。
副作用が強かったり、赤ちゃんへの影響があったとしても、自己判断で服用をやめてしまうと流産や早産になってしまう可能性が高まってしまいます。
自己判断ではなく、必ず主治医に相談したうえで、処方量の調整を行うことが大切です。
大切な赤ちゃんを守ってくださいね。
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