歯の黒ずみを除去したい時の対処方法はコレっ

歯垢はどろっとした白みがかった色、歯石はかたそうな白いもの。それでは黒ずみになっているものはなんでしょうか。口の中のトラブルには早急に対処しなくてはなりません。

 

日常生活で「人の歯を見る機会」は山のようにあります。歯の印象がその人の顔の印象でもある、それを考えても歯のトラブルは原因を明確にして早めの対処が必要です。

 

黒い歯石!?白い歯石との違いは?

実はその黒ずみ、歯石の可能性もあります。

本来歯石は白いもの。そのはずが黒くなっているのであればそこには何らかの大きなトラブルが考えられます。

 

まずは歯の場所の名称から。歯茎から歯が見えている部分は「歯肉縁上」、歯茎の下に埋まっている歯は「歯肉縁下」です。

 

白い歯石はいわゆるプラーク。ねばねばとした細菌の塊です。唾液の中に含まれているリン酸カルシウムが、最近の塊(プラーク)と結合することで歯の表面で石のように固まります。それが白い歯石です。歯茎から見える場所にあるので歯肉縁上歯石になります。

 

黒い歯石は「血液が混じっている」ためです。歯茎から隠れた場所にあるので歯肉縁下歯石です。

 

歯肉縁下歯石は歯への吸着力が強いことが特徴です。見えている部分ではなく歯の根元のそのまた奥深くに付着しているために、かき出すように取り出さなければなりません。自宅で行うことは困難であり、歯茎を傷つけて炎症させ悪化させる可能性があります。歯医者で治療が必要な状態です。

 

歯石がたまりやすい場所は?

下の前歯、上の奥歯。実は唾液が出てくる場所です。唾液には歯石に元になるリン酸カルシウムが含まれているため、歯石がたまりやすくなっています。

 

黒い歯石は歯周病だから!

黒くなっている歯石には血液が混じっています。歯茎から出血しているということは歯周病の可能性が高くなります。さらに黒い歯石は本来、歯茎の中にできますが、歯石がたまると歯茎が晴れることで歯周ポケットが広がって歯茎と歯の間に隙間ができてきます。

 

その隙間(広がった歯周ポケット)にはさらに歯石がたまるという悪循環です。歯茎の中にできるはずの黒い歯石がすでに目に見える状態になっているということは、症状がかなり悪化しているということ。

 

歯周ポケットの中にいる細菌が歯と骨を溶かし始めます。

 

口臭の原因の一つに「歯周ポケット」で発生する硫化水素やメチルメルカプタンなどがあります。歯周ポケットが広がったということはすなわち、これらの化学物質が作られる場所が広く確保されたということ。それだけ多くの化学物質が発生するため口臭はきついものになります。

 

ヤニが歯を黒くする

 

コーヒー、紅茶、赤ワインなどステインが付きやすい食品は多いものです。それだけではありません。最も頑固なステインがつくのはたばこ。愛煙家の方には「歯の色」は大きく頭を悩ませる問題でしょう。

 

たばこの中にはタールが含まれています。タール何㎎、ニコチン何㎎という記載をご存知でしょう。このタールは煙に含まれているもの。部屋の壁紙がべたつきで汚れ変色するのは、煙の中に含まれているタールが原因です。

 

口からたばこを吸い、肺に入れて煙を吐き出します。タールが含まれている煙を吐き出すときに必ず口の中を通り、歯の裏に当たります。デンタルミラーをつかって歯の裏を見てください。恐ろしいほどにヤニが張り付き、色は頑固なことがはっきりとわかる茶色です。

 

肺から出したタール入りの煙は歯の裏に当たりますが、歯には隙間があります。特に下の歯。歯の形上、根元部分が細くなっているためそこには隙間ができ、煙の漏れ道でもあります。

 

煙が漏れてきたその隙間の周辺はヤニで黒く変色し、正面から見ても歯の色が黒く見えてしまいます。

 

ヤニによる歯の黒ずみは、歯磨きをしたところで解決はできません。粘り気のあるステインであり、そのステインはほかの着色汚れも吸着し、より強固なものになっています。着色汚れを防ぐために食べた後には歯磨きをする。

 

それと同じように、ヤニによるステインを防ぐためにたばこを吸ったらすぐに歯磨きをしなければ、愛煙家である以上、歯の黒ずみとは一生付き合っていかなくてはなりません。

 

その黒さ、深刻な虫歯

奥歯であれば大きな口を開けなければ黒くなった虫歯を他人に見られることはまずありません。しかし、前歯であれば目立ってしまうものです。

 

虫歯は早めに治療をしなければ深刻な黒さになってしまいます。痛みだけではなく、隠しようのない色になり、見た目にもはっきりと目立ってしまいます。ヤニの茶色も、黒い歯石も目につきますが、虫歯の黒ほど目立った色はありません。

 

歯科検診や歯医者で聞いたことがあるかもしれません。虫歯を診察する際には「C0、C1、C2、C3、C4」という略語を使用します。

 

 

C0・・・歯の表面に白濁や着色がみられる。虫歯の手前で治療しないまま経過を観察します。

 

C1・・・自覚症状がない状態で経過観察にする場合も多い。歯の表面にあるエナメル質に限局している虫歯の初期段階です。ただし、歯に細菌が多く汚れている状態であれば虫歯の進行が速くなります。そのため、歯医者ではこの段階で歯磨き指導を行い虫歯の進行を食い止める方法の提案があります。

 

C2・・・黒い色が目立ち始めエナメル質の中にある象牙質にまで虫歯が侵食しています。象牙質の中には象牙細管という細い管があり、それは歯の内部にある神経につながっています。そのため虫歯菌が刺激物質を出した際に神経に刺激が与えられ痛みを伴います。

 

C3・・・虫歯や神経にまで達し、歯は黒く変色しています。刺激も大きなものになり、おさまったり激痛がきたりと波のように痛みが襲い掛かってきます。歯の内部にある神経が細菌感染に侵されています。神経をとる根管治療が必要であり、通院は長引きます。

 

C4・・・虫歯で歯が溶け、歯の根だけが残っている状態。このころになると歯は腐ったように黒くなり、接触していた隣の歯も虫歯になっていることが多くなります。この段階で歯の原型をとどめていない場合には根から抜歯することになります。

 

虫歯治療をした歯が黒くなる?

虫歯の治療にはさまざまな方法があります。銀歯、詰め物などなど。実はこれらは経年劣化で黒く変色することもあります。

 

金属は年数がたつとイオンとなり溶け出します。するとその周囲にある歯、歯茎を黒く変色させることがあります。金属イオンが流れ出て変色していても即虫歯ということではありませんが、ステインとは異なる成分のためホワイトニングではなく、削って黒ずみをとらなくてはなりません。

 

また詰め物も年数がたつと劣化します。特に前歯に使用する材料によっては着色されやすいものもあります。また歯に質感や色合いが似ていることから前歯の虫歯治療にはよく使われるコンポジットレジンも、劣化と共に変色することが多い材料です。吸水性があるためコンポジットレジンそのものが変色してしまいます。

 

黒ずみの対処、基本は歯医者へ

たばこのやにのようにステイン汚れであればホワイトニングなど、歯磨きをした後の美容液を使うことで、強力なステインも浮かせてはがすことはできます。これは自宅でも行えるだけではなく、歯医者で行う審美治療に比べても格段に安く抑えられます。

 

しかし、虫歯や歯石など、素人では対処しきれない場合がほとんどです。歯は自然に治ることはありません。「歯が黒くなった」サインが出たら早めに治療をしましょう。