低炭水化物ダイエット① アトキンスダイエット
低炭水化物ダイエットってどうなんですか?
最近、一番、受ける質問です。
2016年の日本で、このダイエットが流行している理由はなんでしょうか。
そして、多くの方々に決まって、受ける冒頭の質問、「どうなんですか?」の中には、同じような疑念が隠れているような気がします。
確かに低炭水化物ダイエットをして痩せましたが、いつまで続ければいいのでしょうか、とか、
筋トレや有酸素運動を激しくこなしながら、飢餓状態を作ることがいいのでしょうか、とか、
やっぱりケトーシスで体臭や口臭が気になるのですが、クサイのとデブとではどっちがモテないのでしょうか、とか・・・・・・
これはすべて、どこか、このダイエットには負の効果がありそうだという疑念ではないでしょうか。
確かに痩せた。だけどこんなうまい話があるはずがない。いつかしっぺ返しを食らうのではないか。。。
質問が非常に多く、皆が気になる話題のようですし、栄養全般、健康全般にも広がることなので、何回かに分けて解説したいと思います。
アトキンスダイエットの骨格は炭水化物をゼロにしてタンパク質だけを詰め込むと、どんなに食べても絶対に痩せるという理論に基づいています。
アトキンスさんは炭水化物ゼロにしろとは言っていませんが、理論上は「炭水化物を禁止し、肉やチーズ、卵を詰め込めば、どんなに食べようとも体重を減らす働きを手助けする」というものです。
アトキンスダイエットは2003~2004年にアメリカで大流行し、国民の14%以上が一度はかじってみたともいわれています。
ところが、当のアトキンスさんが2003年4月に転倒事故が元で亡くなり、当時の体重が120kgだったとか、生活習慣病だったとか、流行っているだけにさまざまな噂が飛び交い流行が下火になる中、2005年7月にはアトキンスニュートリショナルカンパニーが倒産し、人の噂も75日・・・・・・最近ではあまり低炭水化物高タンパク質ダイエットをアトキンスダイエットと呼ぶ人もいなくなりました。名誉のために付け加えますと、亡くなる寸前の体重は90kgを切っていたそうです。
それでも 「アトキンス死すとも低炭水化物ダイエットは死せず」 というわけで、最近の呼び名は「完全無欠ダイエット(最強の食事)THE BULLETPROOF DIET」、ケトジェニックダイエット、ロー(又は、ノー)カルボダイエット、低GIダイエットなどなど、なんというかいろいろな人々の商業的欲望の産物として出回っております。
「ケトーシス」なんて単語を非医療者から聞くとどきっとするのですが、かなり一般的な用語になっているようです。
ケトーシス礼賛の時代になる前は、医療的に話題となるケトーシスの代表は糖尿病性ケトアシドーシスでした。
すでにローカーボに興味のある読者には釈迦に説法ですが、エネルギーの元とするのには糖(炭水化物)が一番楽なのですが、糖がない、少ない、使えない状況では脂肪を代謝し、副産物としてケトン体を作ります。
糖尿病の人の血液中には他の人よりたくさんの糖があるのですが、そもそも糖尿病というのが糖の代謝が上手にできない状態をいい、さらに非生理的に高血糖になってしまうとまったく代謝がうまくいかなくなり、高血糖と高ケトンによる脱水とアシドーシスで昏睡に至ります。
高血糖×高ケトンがいけないのであって、糖尿病に必ずしもケトジェニックダイエットが危険なわけではありません。
実際に治療法として推奨している医者も大勢います。
そのうちの一人の台詞がおもしろかったので引用します。
「糖質制限食は農耕が始まる前の、人類本来の食生活であり人類の健康食です。 人類において、糖質制限食の歴史は700万年間、穀物(糖質)を主食としたのはわずか1万年間です。」
単に流行に乗ったダイエットではなく、古典的な方法だと言いたかったのだと思いますが、どうなんでしょう? これで行動変容する人はあまりいない気もします(苦笑)。
エコノミクスの表紙になったイラストのように我々の生活はわずか1万年前から比べてもずいぶん変化してきています。
古くからあるからいい、という主張は少し明後日を向いている気がします。
私が医師として糖尿病への低炭水化物ダイエットを推奨しないわけではなく、糖尿病患者のみならずすべての人々が代謝について知り、血糖指数に興味を持つことはよいことだと思っていますし、糖尿病と肥満が同時にある場合には、多くの場合、低炭水化物ダイエットが治療にも有効だと考えています。
ただ、キャンペーンはもっと上手にやりたいものです。
高タンパク質・低炭水化物ダイエットは実際、特に太りすぎの場合に、少なくとも短期間での体重減少効果、健康効果が認められています。しかし、長期における調査がありません。
すべてのダイエット法にいえることですが、体重減少以上の予期せぬ影響がある可能性があり、その影響が長期の観察でのみ起こる可能性もあるわけで、ただ、単純に痩せたからOKというわけではありません。
まず、太り気味な状態からはじめる減量の最初に取り入れるのは悪い選択肢ではなさそうですが、死ぬまでダイエット(食事)はしなければならないし、それが楽しみでもあり、維持療法として妥当かどうかを検証したいところです。
たとえば高タンパク質ダイエットは骨からカルシウムを奪います。同じく心配なことは飽和脂肪酸やコレステロールなどのバランスに留意しておかないと、体重が減少しても心臓病のリスクはあがってしまいます。動物性脂肪の過剰摂取に負の効果があることは想像がつくとおりです。
この「低炭水化物、あるいは無炭水化物ダイエットが招く動物性脂肪の過剰摂取にリスクがあること」と「低脂肪ダイエットに効果がある」ことは混同してはいけません。
実際に自分の健康を気にする若くステキなワーカーの様子を見ていると、一部の人の中に、体重は重くないけれど脂質の異常を観察することがあります。
悪玉コレステロールであるLDLコレステロールと善玉コレステロールであるHDLコレステロールですが、これは絶対値はもちろん、LH比でみていかなくてはなりません。ここに脱線すると終わりませんので、次回以降、「コレステロール」の話題で解決していきます。
そのときに詳しくご説明しますが、「コレステロール」や「中性脂肪」をコントロールしながら痩せようとして、「低脂肪食」を選択するのはほぼ完全に意味がありません。
体重は当然、摂取カロリーと消費カロリーの差の集積として増減していきます。
摂取カロリーの総カロリーを抑え、たくさん運動するのが誰にでも理解しやすい簡単な減量法ですが、いきなりカロリーを減らすと空腹感がきつかったり、貧相に痩せてしまったり、結局リバウンドしてしまったり、体重そのままで栄養失調になったり、となかなか難しいので、栄養素でバランスコントロールしようというのが低炭水化物ダイエットの発想です。
広義の低炭水化物ダイエットについてこのコラムで言えるのは、こちらです。
特に太りすぎの場合に、少なくとも短期間での体重減少効果あり
次回以降で、低炭水化物ダイエットの各論と言うべき低GIダイエットと未精製炭水化物ダイエットについてお話ししましょう。
そして、本来はこちらの話題のほうが好きなんですが、炭水化物が一段落したら、本日も少し触れた脂肪に進みましょう。
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