Entries


 有機○○とか、オーガニック○○とかの話。


●有機栽培野菜は普通の野菜に比べて危険

 有機農業は化学肥料よりずっと危険 食中毒では死ぬが、残留農薬では死なないと似た話ですが、有機栽培野菜の怖さについて。

 A Successful Failureさんによると、ミネソタ大学の研究で以下のようなことがわかったそうです。
(そろそろ無農薬/有機栽培野菜に対する盲信を見直してはどうか - A Successful Failure(2008-08-17))
2004年、ミネソタ大学のAvik Mukherjee博士らは『ミネソタの農場で有機栽培および通常栽培された果物や野菜の、大腸菌群、大腸菌、サルモネラ菌、大腸菌O157:H7 の収穫前評価』という農場レベルにおける有機栽培果実や野菜に関する初めての微生物学的評価を発表した。

調査では新鮮な476種類の有機栽培農作物と129種類の通常栽培農作物の大腸菌群による汚染状況を調べている。有機栽培農作物の大腸菌群汚染率は9.7%と、1.6%の通常栽培農作物に比べ6倍もの高率を記録した。

 大腸菌群汚染率が高い理由は、"有機栽培においては家畜の糞尿を原料とする有機質肥料や堆肥がよく利用される"ためです。私は有機栽培ではこれが一番怖いですね。大腸菌というのは、例のO157が有名です。ですので、当然生命に関わってきます。

 O157が猛威をふるった年として知られているのは、以下の1996年です。ただ、Wikipediaに載っているだけでももっとたくさんの例があります。
O157 - Wikipedia

O157(オーいちごなな)は、O抗原が157番の大腸菌である。一般には特に腸管出血性大腸菌O157:H7(Escherichia coli O157:H7)のことを指す。(中略)

1996年(平成8年) - 岡山県邑久町(現瀬戸内市)を始めとしてO157の集団感染が多発し、被害は、発生件数179件、患者数14,488人、死者8人。連日の報道で多くの人々にO157の危険性を知らしめることになった。

 有機栽培野菜はそもそも安全性を売りにしているのですから、これを否定されたら終わりですね。

 ただ、もちろんオーガニックな野菜を食べたら必ず死ぬというわけではありません。有機農業は化学肥料よりずっと危険 食中毒では死ぬが、残留農薬では死なないでは、安全への意識がイマイチだったという話が出ていました。ただ、きちんとした手順さえ踏めば、消費者の口に入る前のどこかで危険な菌は除去されているはずです。


●有機栽培野菜は普通の野菜に比べておいしくない

 安全性に比べれば重要度は落ちますが、おいしさについても否定的な研究が多いようです。この手の話は以前、高く売れる野菜は有機栽培・無農薬じゃなくて普通においしい野菜で書いています。

 ただ、A Successful Failureさんの話は文献に基づいているってのがいいですね。以下の通りですけど、先ほどの安全性についても触れらていますので、両方否定する形です。

・英国食品基準庁は2003年、「有機栽培農作物が通常栽培農作物に比べて、より安全とかより栄養があるという科学的な証拠は現時点ではない」とする見解を発表している。
・フランス食品衛生安全機関(AFSSA)が公開した報告において、食品の安全性及び栄養において有機栽培農作物と通常栽培農作物の間に有意な差を見出せないと結論している。
・スウェーデンの国家食品も同様の報告を挙げている。

 これらは差がないというものですが、さらに痛いのが消費者団体Which?の"Organic vs non-organic"というリリースです。ブラインドテストでは、専門家でも素人でも有機栽培野菜より通常栽培野菜の方が有利な結果になったようです。

・有機栽培農作物と通常栽培農作物の比較試験を行った結果、通常栽培農作物のほうが美味しく、栄養価も高かった。

 
●有機栽培に有利な研究も

 A Successful Failureさんは極めて有機栽培に批判的でしたので、他も。結局、Wikipediaを見ると楽だったんですが、こちらだと有機栽培に有利な情報もあります。

 有機栽培に有利なものを○、そうじゃないものを×にして、箇条書きにしていきます。なお、前述の情報と重なるものもそのまま載せていきます。


× 2003年、英国食品基準庁は「有機食品のほうが良いというエビデンス(研究による科学的根拠)が全くない」という姿勢をとっている。

○ 2006年9月、英国食品基準庁は有機的に飼育された牛乳に関してはω-3脂肪酸が多いため栄養価に違いがあるという科学的証拠があったと見解を出している。

○ ニューキャッスル大学による研究中である4年間のプロジェクトでは、有機食品は抗酸化物質をより多く含み、脂質はより少ないという一般的な傾向があり、小麦、トマト、ジャガイモ、キャベツ、タマネギの栄養素を20~40%多く含んでいるとされた。有機的に飼育された牛乳の抗酸化物質含量も有機農業の方が50-80%高いとされた。

× ただし、ニューキャッスル大学による研究は未だに論文にされていない。(発表は2007年10月)

× カリフォルニア大学のAlyson E. Mitchellらは10年間調査してきた結果、有機食品は、抗酸化物質であるフラボノイドを多く含んでいると報告した。フラボノイドは、養分欠乏や傷害や病害や紫外線などの環境ストレスによって生合成が誘導される物質。

○ 2006年、スイスの200以上の農場で行われた大規模調査では、フィトケミカルやビタミンCが多く、硝酸のような望ましくない物質についてもメリットがあり、保存性についても上がると報告した。

× 2009年7月29日、英国食品基準庁(Food Standards Agency (FSA))は、有機食品と慣行農法による食品の間には栄養素の含有量や健康上の利点において重要な違いがないと発表した。また、その違いは公衆衛生において意味を持たないと説明した。

(有機農業 - Wikipedia 最終更新 2015年1月19日 (月) 08:15)


●残留農薬の点ではオーガニックにメリット?

 同じくWikipediaに載っていた残留農薬に関する以下のような研究は、有機栽培に有利なものになっています。

○ 有機的な食事をした場合に尿に排出される有機リン化合物が減ったので、残留農薬による不確実なリスクを避けることができるだろうと報告された。

○ 血中の残留農薬濃度が高い子どもは注意欠陥・多動性障害(ADHD)の発症リスクが通常の2倍であるという報告がある。

 ただ、大腸菌は大抵除去されてしまうという話をしたように、残留農薬も減らすことは可能です。私も過剰な農薬の使用は、全く良いと思っていません。(個人的には、万が一残っていた場合の危険性の大きさでは、比較にならないと思いますが)

 カリフォルニア大学の研究では、"慣行栽培であれ、有機栽培であれ、過剰施肥はトマトがもたらす健康面での利点を減らすことになるだろうと警告"されています。ごく当たり前の話です。

 また、農作物の有用さは有機栽培かどうかより、それ以外のもろもろの要素の方が影響が大きいという指摘もあります。比較的オーガニック食品に有利な見解をとったとしても、あまりオーガニックにこだわる利点はなさそうな感じです。

 ただ、科学者が何を言おうがオーガニック何とかといったものは売れやすいので、商売的に重要なのは間違いありません。ビジネス的には大いにメリットがありますね。


 関連
  ■有機農業は化学肥料よりずっと危険 食中毒では死ぬが、残留農薬では死なない
  ■高く売れる野菜は有機栽培・無農薬じゃなくて普通においしい野菜
  ■人が口にする農薬の99.99%が植物由来の天然農薬 人工農薬は極小
  ■コレステロールは制限の必要なし、アメリカ新指針で上限値撤廃
  ■減塩食が健康に良いという幻想 効果なしどころか減塩でリスク大
  ■朝食の重要性と擬似相関 朝ごはんを食べないと成績が悪くなる?
  ■サッカリンなどの人工甘味料の危険性 摂取はやめるべきなのか?
  ■食べ物・飲み物・嗜好品についての投稿まとめ