▼2.アルカリ性の性質が肌に刺激を与える石けんの本当の弱点はこの「アルカリ性であること」です。 肌は弱酸性で保たれるのが健康を維持でき、最も安心できる状態です。 弱アルカリ性といえども、肌にとっては結構な負担になる性質なのです。 そのため肌につけるスキンケア製品は、ごく特殊なものを除き、全て弱酸性に作られています。 育ちの良い肌だと石けん程度の弱いアルカリの性質などは感じることもないのに、肌の育ち度レベルが低く、未熟な肌だとバリアー能が不完全なため、大きな刺激として受け取り、時には肌自らが炎症を起こしてしまうことがよくあります。 石けん洗顔で赤みが出るのはその警告段階と言えます。 これは由々しき石けんの欠点です。 いずれの製法で作られた石けんもこのアルカリ性であることは同じです。 pH値も殆ど大差ありません。 ところが皮肉というか、このアルカリ性であることが、肌に使用する洗浄剤としての最大の長所、肌に界面活性剤を残さない性質を作っているのです。 最大の短所が最大の長所でもあるわけです。これは困りましたね。 「それでは、どうしようもないのでは!?」 その通りなのです。どうしようもありません。 ここで大切なのは、諦めることです。 何を?って、もちろん石けんの使用を諦めるのです。 肌がマイナスの反応を示すようでは、石けんの良さなど吹っ飛んでしまいます。 炎症反応は断じて避けるべきです。 肌の育ち度レベルが、あるレベル以下の場合、石けん使用は諦めることが鉄則です。 「すると、この点においては製法上の優劣は無し?」 いずれの製法も、ほぼ同じpH値でアルカリ性の石けんを作るのですから、優劣はないと言えそうです。 ところが、アルカリ性が与える刺激の中にはとんでもないものが隠れていました。 「遊離アルカリ」の存在です。「残量塩基」と説明している場合もあります。 固形石けんは、いずれの製法も苛性ソーダ(水酸化ナトリウム≒アルカリ)と脂肪酸が反応して鹸化が起こるわけですが、原料である油脂をそのまま使用する限り、たくさんの不純物を含んでいるので、どうしても反応しない強アルカリが残り、石けんの中に含まれてしまうのです。 水酸化ナトリウムは、強酸である塩酸や硫酸と変わらない劇物です。 微量な存在だから、pH値には現れませんが、過敏な肌はこの強アルカリをしっかり受け止めてしまうのです。 多くの肌が感じている石けん洗顔による刺激はこの「遊離アルカリ」、残留した塩基が起こしているものなのです。 育ち度レベルの未熟な過敏な肌では、赤みを簡単に起こすだけでなく、かぶれ症状まで起こしてしまいます。 このように言うことが出来ます。 石けんを使用できる肌が大きく広がります。 肌の育ち度レベルが多少低くても、石けん本来の弱アルカリ性の範囲なら、たいていの肌は使用できるというわけです。 それには『遊離アルカリ』の存在しないことが決め手となります。 つまり、自然の油脂をそのまま使用するのではなく、複数の脂肪酸のみを取り出し、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム≒アルカリ)と反応させることで実現できるのです。 これが可能な製法は『中和法』のみとなります。 中和法の良いところは、もう一つあります。 油脂の脂肪酸のみを抽出し利用するのですが、その際、刺激の強い脂肪酸を除外することができます。 どうしようもないアルカリ性の性質を持つ石けんですが、不純物を完全排除し、原料の純粋さを脂肪酸レベルまで追求すると、マイナス要素は最小となり、より多くの肌に使用範囲が広がります。 |