無理なダイエットと摂食障害
ダイエットの問題点
自己認識との隔たり
女子高校生の約9割が「やせ願望」を持っているということが、平成14年の厚生労働省の全国調査でわかりました。それほど肥満が多いようには見えませんが、彼女たちの自己認識は違うようです。同じ調査では、体重が「普通」の範囲内に入っている女子高生の約7割が「太っている」と思っていることがわかりました。また、低体重の生徒でも約18%が「太っている」とし、56%が自分を「普通」と考えています。つまり、「やせている」と正しく自己認識している女子高生は4人に一人しかいないわけです。
こうした傾向は女子高生に限らず若い女性全般に見られるようで、美の基準が極端にやせ型にシフトされた現代では、もはや健康うんぬんを言っても聞く耳を持たないというのが現状です。かつて「グラマー」がもてはやされた時代は、遠い昔になってしまったようです。
無理なダイエットの弊害
肥満を解消するためのダイエットは決して悪いことではありません。ただし、客観的には「やせ」の部類に入る人のダイエットや、肥満体でも急激なダイエットは危険です。ダイエットは1ヶ月に2~3キロ減が限度といわれ、5キロ以上やせると体に必要な成分までカットしてしまったり、リバウンドで制御できないほど食欲が増進して逆戻りしたりします。下手なダイエットをした人には、次のような体の不調や症状が見られます。
・便秘になる。
・鉄が不足して貧血になり、また生理が止まることがある。長期にわたると不妊になる。
・ビタミンが不足し、肌荒れになる。
・カルシウムが足りなくなり、骨が溶け出す。成長期のダイエットは危険。
・内臓に脂肪がつく。むくみが出る。
・急激な体重の低下は基礎代謝量が低下して、やせにくい体質になる。
・摂食障害になる。
また、ダイエットとリバウンドを繰り返している方や、ストレスから食べ過ぎてしまう方は、心療内科に行くことをお勧めします。拒食症や過食症になる前に専門家の診察を受けたほうがよいからです。
なお、食事制限だけでダイエットするのは無理があります。脂肪が落ちず、筋肉が落ちてしまうからです。エネルギーを消費するための有酸素運動を合わせて行なうことが、上手なダイエットのコツです。食事と運動はダイエットという車の両輪です。
摂食障害は心の病
摂食障害とは何か?
摂食障害はいわゆる拒食症と過食症のことです。拒食症は日本では1960年代に増え、過食症は75年以降に目立ち始めたといわれます。どちらも若い女性が圧倒的に多くかかる病気で、治療を受ける男女比は10:1くらいだとされています。なお、アメリカの精神医学界の診断基準では拒食症と過食症をそれぞれ「神経性無食欲症」、「神経性大食症」と呼び、さらにどちらにも当てはまらない「特定不能の摂食障害」を加えた3つの上位概念として「摂食障害(Eating Disorder)」という用語を使っています。
●拒食症(神経性無食欲症、思春期やせ症)
標準体重の85%以下にやせていて、しかも肥満を恐れている。生理が止まっている。自分の体型や体重に対する感覚が尋常ではない…などが判断基準です。なお、「無食欲症」といっても食欲低下は稀なので、日本ではこの名称は不適切とされています。
1970年代を代表するミュージシャン、カーペンターズのカレンが拒食症に悩まされ、死に至ったことはあまりにも有名です。この事件によって拒食症は全世界に知られたといっても過言ではありません。
拒食症は心の病ですから、家族で抱え込まず、専門医の元で適切な治療を受けることが肝要です。寛解するまでに時間がかかりますから、理解と辛抱が大切です。
●過食症(神経性大食症)
無茶食いをしてしまい、行動をコントロールできなくなる症状です。
体重増加を防ぐため嘔吐や過剰な運動をします。ただし、嘔吐の見られない過食症もあり、「嘔吐を伴う過食症」と「単にやけ食いだけの過食症」と2つに分類されます。
嘔吐を伴わない過食症は、その9割がダイエットからスタートするといわれます。
また、拒食症から過食症に移行することも多く、その逆のパターンもあります。過食と拒食は現象的には反対のようですが、別の病気ではなく、むしろ同一のものと考えてもよい部分もあります。
原因と治療
典型的な摂食障害の症状として、自分の体重、体型、食事に関するこだわりがあります。どんなにその認識がおかしくても、論理的に説得することはまずできません。そこが心の病であるゆえんであり、専門家のカウンセリングが必要なのです。治療は精神的なケアのほかに薬物療法が併用されます。摂食障害はダイエットと関係が深く、ダイエットの習慣のある社会に見られる病気です。女性に多いのは細身のスターやアイドルへの憧れと、体型への社会的なプレッシャーがあると分析されています。しかしそれだけでなく、何らかのトラウマ(家庭内の問題や学校での広い意味でのいじめ、その他社会とのあつれき)の後遺症が原因の場合もあります。
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