MCTオイル(中鎖脂肪酸)で糖質制限ダイエットを加速させる方法
2017/05/17
糖質制限ダイエットを成功させるには糖質を制限する代わりに、大量の脂肪を摂取する必要があります。
そして、脂肪は脂肪でも糖質制限ダイエットを大きく手助けしてくれる脂肪があるのです。それこそが…
MCT(中鎖脂肪酸)
…と言われる種類の脂肪です。
今回は糖質制限ダイエットの強い味方であるMCT(中鎖脂肪酸)についての解説とダイエットに効果的な摂取方法を紹介します。
※MCTとはMedium Chain Triglycerideの頭文字。日本語で「中鎖脂肪酸」
MCT(中鎖脂肪酸)とは
脂肪の構造や種類を語り出すとかなり長くなるので、ざっくりと解説します。
「脂肪」とは「グリセリン」に「脂肪酸」がくっついた構造をしています。そして、脂肪酸は炭素の数によって3種類に分類されます。
長鎖脂肪酸
炭素の数が13個以上の脂肪酸。
普段我々がよく食べる肉の脂身や調理油などは全て長鎖脂肪酸になります。
中鎖脂肪酸
炭素の数が5~12個の脂肪酸。
ココナッツオイルなどに含まれるラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸などが中鎖脂肪酸になります。
一般的な食事で摂取することはほぼ不可能です。
短鎖脂肪酸
炭素の数が4個以下の脂肪酸。
お酢やバターなどに含まれる酢酸や酪酸が代表的なものになります。
そもそも糖質を制限する意味って何なの?
MCT(中鎖脂肪酸)が糖質制限ダイエットに効果的な理由を理解するには、糖質を制限する本当の意味を理解する必要があります。
※何となくの理解でいいのでついてきてください
ヒトは身体(筋肉)を動かす際、ATPというエネルギー物質を使います(車で言うガソリンみたいなもの)。
このATPの材料となるのがブドウ糖です。
※ブドウ糖とは炭水化物が消化され細かく分解されたもの
糖質制限ダイエットでは炭水化物を極端に制限することになるので、身体はブドウ糖が不足した状態に陥ります。
ブドウ糖が不足すると当然ATPも不足するので、エネルギー不足(=ガス欠状態)になります。
しかし、ヒトの身体はいかなる状況にも適応する能力があります。
ATPの材料であるブドウ糖が確保できない場合、身体はタンパク質や脂肪を分解してATPの材料を作り出そうとするのです。
タンパク質とは肉や卵の他に、自分の筋肉も含みます。脂肪とは肉の脂身や調理油、そして自分の体脂肪のことです。
さて、今回はMCTの話なのでタンパク質の分解の話は別の機会に解説します。
以前の記事でも詳しく解説しましたが、糖質制限中は脂肪の摂取量をかなり増やす必要があります。
その理由は2つ。
筋肉の分解を防ぐ
ひとつ目の理由が「筋肉の分解を防ぐため」です。
先程「ブドウ糖が枯渇した状態では代わりにタンパク質と脂肪が使われる」と言いました。
このときに脂肪の摂取量をも制限してしまうと、タンパク質が優先的にATPの材料として使わるようになり、筋肉が大量に分解されてしまいます。
筋肉量の減少は「基礎代謝の低下→停滞期やリバウンドのリスク上昇」という最悪の結末に繋がるので、糖質制限ダイエットを成功させるには男女問わず筋肉量を維持する必要があり、そのためには大量の脂肪を摂取する必要があるのです。
※話は少しそれますが、糖質制限ダイエット中に鶏の胸肉やささみばかり食べるのも、こういった意味で良くありません
脂肪を糖質に代わるエネルギー源として使う
そして、大量の脂肪を摂取するふたつ目の理由が…
「脂肪を効率良くエネルギー化する体内サイクルを作るため」
…です。
詳しく説明するわ
ヒトは通常、ブドウ糖を優先的にエネルギー源として使います。と言うのも、ヒトの身体はブドウ糖をATPの材料として使いやすいように出来ているからです。
しかし糖質を制限し、その代わりに脂肪の摂取量を増やすと、身体は仕方なく脂肪を効率良くエネルギー化する体内サイクルを作り出すように適応します。
ここで言う「脂肪」とはもちろん体脂肪のことでもあり、脂肪を効率よくエネルギー化することで体脂肪も効率良くATPの材料として使うことが出来るのです。
【糖質を制限する代わりに脂肪の摂取量を増やすことで、筋肉の分解を抑制すると同時に、脂肪を効率良く燃焼する体内サイクルを作る】
これこそが糖質制限ダイエットの正しいあり方なのです。
MCT(中鎖脂肪酸)が糖質制限ダイエットを加速させる理由
糖質制限ダイエット中に大量の脂肪を摂る必要性はご理解頂けたかと思います。
では、なぜMCT(中鎖脂肪酸)が糖質制限ダイエットに有効なのでしょうか?
それを理解するにはMCTの作用の前に「ケトン体」と「ケトーシス」について知っておく必要があります。
ケトン体とケトーシス
先程「脂肪を効率良くエネルギー化する体内サイクルを作る」と言いましたが、正確には脂肪そのものがエネルギー化される訳ではありません。
脂肪が分解されて生じる「ケトン体」という物質がATPの材料となるのです。
※ケトン体とはアセト酢酸、β-ヒドロキシ酢酸、アセトンの総称
このケトン体こそがブドウ糖に代わるエネルギー源となります。
そして、このケトン体を優先的にATPの材料として使っている体内の状態を「ケトーシス」と言います。
糖質制限ダイエットを成功させるカギは、「早い段階で」「確実に」ケトーシスになれるかどうかにかかっています。
と言うのも、糖質制限を開始してもすぐにケトーシスになってくれる訳ではなく、個人差がありますが1~2週間以上の期間を要します。
そして、この1~2週間の期間は「糖質もケトン体も不足した状態=完全なるエネルギー不足状態」に陥りやすく、倦怠感を感じたり炭水化物への欲求が非常に高まったりしてしまうのです。
なので、糖質制限ダイエットを成功させるには、この期間を出来る限り早い段階で終わらせ、完全にケトーシスに移行することが重要なのです。
そして、この期間を縮めてくれる効果があるのがMCT(中鎖脂肪酸)なのです。
MCT(中鎖脂肪酸)の作用
普段我々が摂取する脂肪はほぼ100%「長鎖脂肪酸」です。
長鎖脂肪酸は多くの炭素が結びついており、細かく分解するのに時間がかかるため、ゆっくりと消化吸収されます。
また、長鎖脂肪酸はエネルギー源として代謝される際も手間と時間がかかります。
そのため、長鎖脂肪酸を摂取しても効率良くケトン体を作り出すことが出来ません。
一方、中鎖脂肪酸は炭素の数が少ない分、細かく分解する手間が省けるため速やかに消化吸収されます。
また、中鎖脂肪酸はエネルギー源としても素早く代謝され大量のケトン体を作り出します。
大量のケトン体が発生すると、身体はそれを処理せざるを得なくなり半強制的にケトーシスになるのです。
ただし!
ケトン体が作られるのは「糖質が極端に不足している」ということが大前提となります。
糖質摂取量が多い状態だと、上の絵で言う『アセチルCoA』→『ケトン体』の変換がされなくなるので、「糖質を普通に摂取しながらMCTを摂取しても何の意味もない」ということは覚えておきましょう
※なお、短鎖脂肪酸も効率よくケトン体を生成してくれますが、食品から十分な量を摂取することは不可能なので短鎖脂肪酸を利用することは出来ません。
MCT(中鎖脂肪酸)の効果的な摂取方法
まず最初に言っておかなければならないことは、ここで紹介するMCTの使い方は「糖質制限ダイエット」を目的としたものです。
なので、徹底した糖質制限が出来ていることが前提になります。
もう一度言いますが、炭水化物を普通に食べている状態でMCTを摂取しても何の意味もありませんので、そこだけは頭に入れておきましょう。
MCTの摂取源
現在、MCTの摂取源として主に使われているのは以下の3つです。
ココナッツオイル
ココナッツオイルは約60%が中鎖脂肪酸で、残りの40%が長鎖脂肪酸になります。
ホットコーヒーに入れたり、調理油としても使用できます。
私は冷蔵庫で固まらせたココナッツオイルをフォークなどで削って、それに塩を少しだけ振りかけて食べるのが大好きです。
一瞬で溶けてなくなりますが、メチャクチャ美味しいです!
↑ここのココナッツオイルは風味が抜群なのでオススメ!
MCTオイル
MCTオイルとは中鎖脂肪酸そのものをオイル化したもので、100%中鎖脂肪酸になります。
特にクセはなく普通の油とほぼ変わりません。
こちらは長鎖脂肪酸が一切含まれないので、ココナッツオイルに比べ消化吸収が早く、より効率的にケトーシスになることが出来ます。
なので、「早くケトーシスになって1日でも早くダイエットを終了させたい!」という人はMCTオイルがオススメです。
MCTパウダー
MCTパウダーは中鎖脂肪酸を粉末状にしたものです。
こちらは70~80%が中鎖脂肪酸になります
※粉末状にする際に必要となるデンプンが20~30%含まれる
効果はMCTオイルと何ら変わりありません。ひとつ便利なのが「持ち運びがしやすい」ということです。
MCTは1日に数回に分けて摂取した方が効果的です。しかしオイルだと持ち運びがしづらく、1回分を小さな容器に入れてもベトベトになり結構不便です。
しかし、パウダーだとシェイカーなどに入れておき、欲しい時に水に溶かすだけで摂取することが出来ます。プロテインを飲んでいる場合は、プロテインに5~10g混ぜるのも良いでしょう。
私の場合、忙しい時期と糖質制限ダイエット期間が重なった時には「ホエイプロテイン30g+MCTパウダー5g」を1日に4~5回飲み、それを食事の代わりとしています(普通の食事は1日1回)。
ただ、ひとつ難点としては「ゲップが臭くなる」ということ。
味自体はほんのりと甘く全く不味いものではないのですが、なぜかゲップが臭くなります。
例えて言うなら「ホコリっぽいニオイ」。ホコリっぽい枕に顔をうずめた時のようなニオイがします。なんでだろ?
最低な摂取量
全脂肪摂取量の20~30%をMCTに置き換えるようにします。
例えば、1日の脂肪摂取量が100gならば、その内の20~30gをMCTで摂取します。
なお、MCTは1度に大量に摂取すると、お腹が緩くなる可能性があります。そのため1回の摂取量は10g以内とし、1日に数回に分けて摂取するようにしましょう。
※私の場合は7gを超えたあたりから下痢をします。
注意すべきはココナッツオイルを使用している場合です。ココナッツオイルは約60%が中鎖脂肪酸ですので、1日に20~30gの中鎖脂肪酸を摂取するなら、33~50gのココナッツオイルを摂取する必要があります。
効果的な摂取タイミング
MCTは1日を通して小分けに摂取することが重要ですが、その中でも特に重要となるタイミングが朝一と運動の数時間前になります。
朝一の摂取により1日の早い段階からケトーシスに近づけることが出来るので、1日を通して倦怠感や炭水化物への欲求を低く抑えることが出来ます。
また、運動数時間前にMCTを摂取することで、運動中に効率良く脂肪をエネルギー化することが出来るため、脂肪燃焼の効率化と運動中のスタミナアップが図れます。
ココナッツオイルなら運動開始の3時間前、MCTオイルorパウダーなら運動の1時間前に摂取すると良いでしょう。
結論
◆糖質制限ダイエット成功のカギは「早い段階で」「確実に」ケトーシスになることである
◆そのためには「徹底的な糖質制限+脂肪の大量摂取」で、体内でケトン体を作り出す回路を活性化する必要がある
◆脂肪摂取量の20~30%をMCT(中鎖脂肪酸)に置き換えることで、大量のケトン体を発生させ「早い段階で」「確実に」ケトーシスになることができる
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