February 08, 2010

立ち上るインド臭にやられました





最近の私の生活には、インド風が吹き荒れております。

インド料理研究家の香取薫さんとの出会いの翌日は、ずばり直球、インドからの贈り物が届きました。

南インドはチェンナイ在住chiliさんから届いたそれらは、コチラの楽しいインド旅動画にも登場していた南インドのヴェジタリアン料理家、ヴィジ先生のレシピ本(オットのアーユルヴェーダ食作りの参考になるのではないか、とのことで……感涙)と、謎のナッツ類。

この不思議なナッツ、インドでは“シカカイ”(写真左)、“リタ”(写真右)と呼ばれているものなんだそうです。





以前、世界のエコ・アイデアを紹介するサイトの中でインドネシアで衣類の洗濯にナッツが使われている動画を発見して驚き、それを即座にTwitterでつぶやいたところ、インドのchiliさんから

「それは“リタ”というもので、私もお洗濯に使っています」

と教えていただいたのです。

インドネシア、そしてインドにもあるならば、スリランカにもあるに違いない!と、即座に歌うアーユルヴェーダ植物栽培研究家のピヤルさんに電話で聞いてみたところ、ありましたよ、スリランカにも!

シンハラ語では「ペネラ」と呼ばれるそうで、衣類の洗濯だけではなく、金などの宝飾品の洗浄にも使われてきたとの情報をゲット。その後さらに調べてみると、“Soap Nuts”(Sapindus trifoliatis)という名前でカナダの会社が販売しているのも見つけました。

それによれば、衣類の洗濯だけではなく、シャンプーやハンドソープ、さらに万能クリーナーとして家中のお掃除に、さらには煮出した液体は蚊除けとしても使えるという、なんとも使えるナッツであることが判明。

どうでもいいんですが、歌うアーユルヴェーダ研究家、ピヤルさんが本当にテレビで弾き語っている姿はこちら。


















ま、それはさておき、これでめでたく“リタ”の正体が分かり、しかもスリランカにも自生しているものであることが判明。

ではでは、気になるもう一つの“シカカイ”とは一体なんなのでしょう?


先に種明かしをしてしまうと、chiliさんによればこのシカカイなるもの、インドではリタとあわせて昔から髪を洗うのに使われているんだとか。インド女性の長く美しい黒髪は、このシカカイ、そしてリタなどの天然素材によるお手入れで作られている、な~んて話を聞いたら、一度試してみたくなりますよねえ。

そこで登場するのが、同じくchiliさんから届いた包みの中から出て来た怪しげな粉末の入った袋。

先日、海外からの郵便物のうち船便や重たい荷物、また課税対象になるものが中央局留めになるというお話をご紹介したばかりですが、このインドからの小包も、コロンボの郵便局に留め置かれてしまいました。
毎年スリランカから南インドのchiliさん宛に出す年賀状が2年連続で不着だったということもあり、今回この小包が止められたのも、南インドとスリランカの微妙な政治情勢が影響しているのではないかと勘ぐってはいたのでですけどね、いやいや、なんのことはない、私の代理として荷物を受け取りに行ってくれ たオットによれば、この怪しげな粉末が一部袋からもれ出しており、さらになぜだかビリビリに破れた封筒全体がこの謎の粉まみれだったそう。

郵便局員が、まるで得体の知れないものをおそるおそる触るかのようにまっすぐに腕を前に延ばし、親指と人差し指で封筒の端っこをつまんで倉庫からカウン ターまで運んできたという話を聞いて、思わず爆笑してしまいました。
南インドからの怪しげな粉末にまみれた荷物、そりゃスリランカ人もビックリ、ってとこだったでしょう。

そして特筆すべきは、この粉から立ち上る強い臭気!!

すでにビリビリに裂けた封筒の隙間から、ものすごいインド臭が漂ってくるんです。

いやいや、「臭」という字を使うと臭そうですけどね、決して臭いわけではないものの、いわゆる私の先入観の中で既に確立されている、これぞまさに「ザ・インドの匂い」。
とにかく激しい匂いといいますか、同じスパイス大国スリランカにおいても、ここまでキョーレツな匂いは感じたことがないぞというような、やはりこれ は「インド臭」と呼ぶのに相応しい香りなんです(強いていえば、日本のインド雑貨を扱う店に漂っている匂いをもっともっとぐぐ~っと濃縮した香りといいますか)。

その匂いにクラクラしつつ、Twitterで早速chiliさんとやりとり。




この得体の知れない粉末、件の“シカカイ”が配合されたオール・ナチュラルな成分でできた髪を洗うためのものだということ。

パッケージの後ろを見ると、おお、確かに「シカカイ、ディル、ハイビスカス、アムラ、リョクトウ……」などと書かれています。
ふむふむ、これには“リタ”、すなわちソープナッツは使われていないんですね。

と、chiliさん曰く、私のような腰がなくて細い髪質にはシカカイのみだとペタっとなりやすいとのことで、別の小袋に入った「シカカイ、リタ、アムラ」のミックスを混ぜて使ってください、とのこと。これを使うと、猫っ毛の人は自然な腰が出てくるとのこと。

ちなみに、“アムラ”というのはインディアン・グースベリー(Indian Gooseberry、Emblica officinalis)、スリランカでは「ネッリ」と呼ばれるフルーツです。私はこのネッリの味が大の苦手なんですが、まあ、食べるんじゃなくて髪を洗うのなら問題ありませんから。

何はともあれ使ってみようじゃありませんか、このインド臭たっぷりの不思議な粉を!!

* * *

早速、粉が飛び散らないよう密封容器に詰め替え、バスルームへ直行。
chiliさんの言う「適量」というのがよく分からぬまま、とりあえずラベル付きの大きな袋に入っていた粉末を大さじ1杯ほど、そしてシカカイとリタ、アムラのミックス粉をその3分の1ほど混ぜて、少量の水に溶かして頭にかけてみました。

う~ん、水で溶かしても、かなり粉っぽいです。そしてまったく泡立ちません。ますますよく分からぬまま、とりあえず髪を洗うというよりは、頭皮を10本の指を使って数分間マッサージ。
ま、こんなもんかというところでシャワーでざざ~っと流してみました。

流してみても、ほんのり自分の頭から立ち上るインド臭。いや~、刺激的。

その後、もっぱらズボラな自然乾燥派の私は櫛で梳かしてそのまま放置。そしてまだ濡れたままの髪を触ってみると……、

あれあれ?いつもと肌触りが違う!

ズボラだから……いえいえ、そういうワケではなく、肌が弱くてかぶれやすいため、もうかれこれ10年近く普段の洗髪には香料や着色料など無添加の味も素っ気もない安~い石鹸を使い続けてきました。ちなみにその前は7~8年ほど石鹸ベースのシャンプー。
こんな石鹸まみれの安上がりな私だったのですが、石鹸洗髪ってどうしても石鹸カスが残るからでしょうかね、きしむし、洗い上がりがややベタつく感じがあるんです。

が、この恐るべしインド粉、洗い立ての髪の指通りがなんとも軽やか。まだ乾いていないというのに、なんだかツル~、サラ~っとしているんです。

さらに、通常ならば自然乾燥だと伸びきった髪(最後にカットしたのは昨年11月半ばの一時帰国の際)が乾く途中であっちこっちにハネはじめて閉口していたのですが、なんと、櫛で梳かした状態のまま、素直にキレイに乾いてしまいました。これも、自然な腰が出ているおかげなんでしょうか。

いや~、コレ、かなり良いです。というか、もう石鹸には戻れないかもしれません。ズボラな私の性格だと、全身この粉で洗う日も近いのではないかというほど気に入ってしまいました。

* * *

が、しかし。

毎回インドから粉まみれの荷物を送ってもらう訳にはいきませんし、インド女性が使っているのならば、スリランカ女性も使っているにちがいないと、早速リサーチを開始したものの、我が家の三女に見せたところ、

「なにコレ? え?頭を洗う粉? そんなの聞いたことも無いわ!」

と。

ならば、一世代前のアンマなら知っているかも。

「ねえアッケ(姉さん)、アンマは何使ってる?」

「え、アンマ? ああ、サバン、サバン!(石鹸、石鹸!)」

う~ん、そうでしたか。


分かりました、ではこういうときの救世主、超ド田舎に住む親戚のスダッタ・アイヤに聞いてみましょう。

すると、先に出て来た“リタ(ペネラ)”も、シンハラ名が分からなかったものの“シカカイ”らしきものも、そのあたりに普通に生えていることが判明。そしてまだシャンプーというものが市販される前の時代、アイヤのおじいさん、おばあさんたちが使っていたと言うではありませんか。

やった~!今では手軽な合成シャンプーに取って代わられて、もはや誰も使っていないというのは悲しいですけど、少なくともこれで毎回インドから怪しげな粉を密輸(?)せずとも、ここスリランカで原材料は手に入れられるというのは分かりました。

それにしても、インドの女性たちがいまだに衣類の洗濯や美しい髪をキープするために使っているという“リタ”や“シカカイ”、なぜスリランカでは誰も使わなくなってしまったのでしょうか。

人々の嗜好が手軽で便利なものに流れていくのは私もよく理解できますし、テレビをつければ美しい黒髪の女性たちが登場する、○○リーバといった大手外資メーカーのシャンプーのCMがよく流れてきます。小さな島国スリランカでは、人々がこうした広告戦略の影響をより受けやすいのか。いやいや、実はこうした外資メーカーのCMって、ほとんどがインドで製作されたものなんですけど、そのインドでは現代的なものと伝統的がきちんと共存しているんですね。

そのお隣インドの状況を少し羨ましいと思いつつ、スリランカ産“リタ”と“シカカイ”が手に入り次第、ネッリと混ぜてオリジナルのスリランカ洗髪パウダーを作ってみようと決心したのでした。実現したら、またここでお知らせします!


〈追記〉

この記事をアップした直後、オットが歌う博士ピヤルさんに再度連絡。その結果、“シカカイ(Acacia concinna)”が自生しているのはインドのみ、スリランカにはないことが判明しました。

う~ん、残念ですが、シカカイとかなり近い種類ならばあるとのこと。シンハラ名は「ゴダ・イングル」。ド田舎のスダッタ・アイヤのおばあさんが以前使っていたというもの、そしてスリランカのタミル人たちがやはり以前洗髪に使っていたという「シーヤッカ」というものは、きっとこれかもしれません。

さ、また一歩、シカカイに近づいたところで、夕方の沐浴の時間。これから早速、インド臭タップリの粉で頭洗ってきます~。



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この記事へのコメント

1. Posted by 香取   February 08, 2010 20:25
リタは日本名「ムクロジ」。うちの近所にもあります~
羽子板の羽根の実はこの種です。黒くて丸くて固いやつ。
インドでは天然ソープとして古来使われてますが特にシルクなどの高級素材の洗浄に適していると聞いています。
実をむいて水を付けて手のひらでこするとすぐに泡が立つ不思議な実、かわいいわ~~。
2. Posted by イエスタデイ伊藤   February 08, 2010 20:55
◇香取さん、
なんと!日本にもリタがあるなんて!!そして羽子板の羽の実だったとは、驚きの連続です。
確かにかわいらしい実ですよね。そして、なんだか美味しそうな匂いがするんですよ。思わず食べてしまいそうです(笑)。
3. Posted by 蘭花・柊   February 08, 2010 23:16
香取さんの仰る通りです。

「無患子」(むくろじ)です。(多分、辞書でも同じだと思います)
私の知ってる方達は(むくろ樹)と言ってます。因みに私も。
実は、実家には私が生まれるずっ~と前からありますから、多分、樹齢100年以上かも知れません・・・
樹は随分と太く、真ん中が抉れて蜂の巣が出来てます。
実が落ちて青い内は泡が出る覚えがありますが確かではありません、多分、皮に「サポニン」が含まれているから泡が出て、シャボン(石鹸)になるんでしょうね?
何ヶ月かしたら、イ籐さんの写真のような、色、皺が寄ってきたら皮を剥き、羽根突きの玉になります。
毎年、遠くから貰いに(拾いに)大勢の方が見えます。その実を枕みたいに作り、持って来て下さる方が居て、主人は腰の後ろに置いて座ります。が、枕でも気持ちが良いですよ!その代わり、すっごく重いんです。
この実が落ちる頃には木の下に車は置けません(硬いので小さな跡が付きます)
落ちた実が芽を出してるのを、時々実家の庭で見かけますよ。

余計な事を書き過ぎました。
4. Posted by イエスタデイ伊藤   February 08, 2010 23:29
◇蘭花・柊さん、
ありがとうございます!
サポニンが含まれた木の実、日本にはこのムクロジ以外にもあるそうですね。いろいろ勉強になります。
私が今使っているのはこのムクロジの他に“シカカイ”、ネッリ、他のハーブなどがミックスされたものなので、ムクロジのみで洗った場合どうなるかも試してみたいと思います。インド、スリランカ、インドネシア、そして日本、アジアのほとんどに生息しているんですね。とても興味深いです。
5. Posted by chili   February 08, 2010 23:45
日本にもリタがあったとは、そしてかなり身近な存在だったなんて!面白いですねー。ところで、このパッケージ、かなりいい加減だと思われます(笑)。Twitterにも書きましたが、リタも入ってるし、あとお米とか、フェヌグリークとか、あれこれ17種類も入ってる。で、どうやらヘアパックらしいのです(笑)いや、それも定かではありません。でも、確かなのは、いろんなハーブパウダーを使ってきましたが、ここのが今のところ一番お気に入りだということです。まだまだ調査しますよ!
6. Posted by イエスタデイ伊藤   February 09, 2010 02:28
◇chiliさん、
本当に良いものを教えていただいて、なおかつスリランカまで送っていただいてありがとうございます!
それにしても灯台下暗しでしたね。あとは、私はなんとしてでもシカカイをスリランカで発見したいと思います(笑)。私もあれからインドのハーブ洗髪について調べましたが、シカカイをトリートメントとして使っている方もいるようですね。なのでヘアパックというのも納得。今のところちゃんと洗えているようだし、洗った翌日もかなり良い感じをキープしているので、ヘアパックでも私には充分です(笑)。そしてフェネグリークは、ライムの絞り汁とあわせてこちらでも頭皮のケアに使われてきたらしいです。
そして、ぜひ引き続き調査の方、お願いします! 私としては、こういうものを今でも大切に守っているインドの状況が羨ましいです。スリランカはすっかり大手外資メーカーの製品に席巻されてます(涙)。
7. Posted by 丸半みぽ   February 10, 2010 13:18
伊藤さん、こんにちは。リンクやらフォローやら、いつもありがとうございます。久しぶりにお伺いしたら「インドもの」で盛り上がっていらっしゃるご様子! なんだかうれしいのでコメントさせていただきます。

インドにも外資系の製品(FMCG)、流入著しいですが、昔ながらのアーユルヴェーダなプロダクツも健在です。シカカイ、アムラ、ハイビスカス、サンダルウッドなどにアーモンドその他オイル配合シャンプーなど、組み合わせもあれこれあります。ちなみに乾燥系の髪質にはヘナは向かないそうです。

粉系の洗顔やパック、シャンプーもいまだ多いですね。水で溶く時「パフッ」っとなって、使いにくいですけど、記事を読んで今度試してみたいと思いました。抜け毛も激しいので……。リータは数カ月前から洗濯に使ってます。いい感じです。あ、GOOD EARTHの袋は、その「羽子板のはね」を袋のヒモの飾りに使っていてかわいいです。

またお邪魔しますね!
8. Posted by イエスタデイ伊藤   February 10, 2010 13:42
◇丸半みぽさん、
うわ~、嬉しいです!コメントありがとうございます。

そうなんです、インドで盛り上がっております(笑)。スリランカにもアーユルヴェーダ処方のヘアケア商品や化粧品など豊富にあるものの、その質は、インドと比べてオールナチュラルなものはかなり少ない印象です。ヘアオイル類はココナッツが豊富にあるためココナッツオイルベースの天然ものが各種ありますが、シャンプーは合成界面活性剤ベースにハーブの成分が配合されているものがほとんど。またインドでも使われているアムラはこうしたヘアケア商品によく配合されていますが、シカカイが使われているものは私が探したところ皆無でした(一つ、インドからの輸入シャンプーにシカカイ配合のものがありましたが)。
なので、ハーブをそのまま粉にした洗髪剤というのはとても新鮮でした。確かにあの「パフッ」は決して使い心地が良いものではないですが(笑)、効果が実感できるので今のところ楽しく使っています。ぜひ、チェンナイのchiliさんお勧めのこのSoft Air、試してみてください! そしてブログに紹介されていたリタの袋、羽子板のはねが飾りについていたなんて気づきませんでした。またあとでじっくり見に行ってみます!

そうそう、二つのブログ、毎日楽しく読ませていただいてます~(いつも読み逃げですみません)。
9. Posted by ちびちび   March 29, 2010 00:19
『インド粉』スリランカでは購入できないんですね。イエスタデイさんと同じ髪質なのでぜひ使ってみたかったのに残念です。
どんどんオススメのヘアオイルは『kumarika』なんですがこれって天然のものなんでしょうか。シャンプーもあるのですが合成界面活性剤ベースなんでしょうか。もしご存知でしたら教えてください。
10. Posted by イエスタデイ伊藤   March 29, 2010 00:52
◇ちびちびさん、
それが、タミル系の製品でひょっとしたら見つかるかもしれません。現在もまだ調査中です。ハンドルネームじゃないですけど、友人が送ってくれたものを、ちびちび、ケチケチと使っていますが本当に良いです。抜け毛がグンと減って、髪が本来の健康な姿に戻るというか。インド臭にもすっかり慣れましたし(笑)。
kumarika、まだ使ったことはありませんがオイルは天然のもののような感じがします。ただシャンプーはちょっと怪しいかも。単に見た目だけの印象ですけど。こちらの化粧品類はきちんとした成分表示がないので、気になる商品でも買うところまで至らないんですよね。結局日本にいたころから使っている成分が分かったものばかり使ってしまいます。肌が丈夫なら、気にせずいろいろ買ってチャレンジできるのに……と思うんですが。

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