遂に我がシアターは9.1ch化を果たしました。1つの6畳間に10コもスピーカーがひしめき合う様は我ながらやり過ぎたと思っていますが、試してみて色々分かったことがあります。2か月ぶりのシリーズ続編記事です。しっかりとレポートさせて頂きます。
1.取り付け
ツッパリ棒に対して上にスピーカーを取り付けると高さは稼げますが、ツッパリ棒が重さで下側に湾曲してまい、非常に見た目が悪くなりました。そこでぶら下げるよう、設置してみるとこれが正解。湾曲することなく、キレイに取り付けができました。
ツッパリ棒の口径がクランプのアームに対して小さいのでゴムロールを加工して取り付けています。スピーカーはヤマハの小型ブックシェルフNS-B210を使用、フルレンジ2ユニット。
2.アンプ買い替え、セレクターが不要に
これが原因で8月の準備編から記事が書けずにいました。ソニーのTA-DA5800ESにリプレイスしたことでスピーカーセレクターが不要になりました。9.1chのAVアンプなので切換せずとも常時9.1ch上映が可能です。最初からこうするべきでした。反省....
9ch分スピーカーアウト
3.音を出してみる&フロントハイの効果
アンプの自動音場補正機能D.C.A.Cでスピーカーの設定をひとまず終わらせます。なんとか無事に音は出て問題はなさそうです。フロントハイスピーカー設置後の音質、効果を下記の条件下で試してみました。
圧巻のチャンネルインジケーター全点灯!!
ソニーAVアンプ用公式アプリ「ES Remorte」より操作
● A.F.D Auto
各種デコーダーの解説は
このモードは他メーカー製AVアンプでいう、ストレートデコード、音場補正以外の音場モード処理を作動させずに再生する基本モードとなりますが、DA5800ESでは「センタースピーカーリフトアップ」と呼ばれるセンタースピーカーの音源を上方向にリフトアップさせる機能があります。これは画面上の人物とセリフを同一線上に配置することが目的ですが、これを作動させた状態でA.F.D Autoで映画で確認してみるとセリフのみがフロントハイ2chから出力されます。
※センターchのみの音声を出力し、サラウンド側にある音声を処理して出力することはありません。2chのステレオ音源には機能しません。(後述のVocal Height / Movie Height 参照)
両方のフロントハイとセンタースピーカーから鳴るセリフがファントム定位し、画面中央に定位します。これは見事にスクリーンと音の位置がピッタリ合致します。よくできた機能です。なお、5.1ch、6.1chのEX/ES音声、7.1chの音声に対しても同じように作動しています。
●Pro Logic IIx (Movie / Music)
本来の拡張はサラウンドバックの7.1chまでですが、先述した「センタースピーカーリフトアップ」と併用することでセリフが上方向に持ち上げられます。実質9.1ch再生となりますが、PLIIx自体の効果としては違いはありません。また、当たり前ですがフロントハイからサラウンド側の音声が鳴ることはありません。ちなみにMovieモードではフロントハイが鳴りますが、Musicモードでは特性上、センターchを持ち上げる必要が無いので鳴りません。
●Pro Logic IIz
2chから7.1chまでの音声を9.1chまで拡張するドルビーのデコーダーですが、フロントハイから鳴る音声はサラウンド側の音声が聞こえてきます。ドルビー社の説明通り、サラウンド側の音声から逆相成分を取り出しているようです。耳を近づけるとモロにサラウンドと同じ音が出てます。フロントハイなのにこれってどうなんだろう、いいのかな?聴感上はなんとなく広く感じる、その程度でした。上から定位するような音は意識してもさほど聞こえません。ソフトの音源を選ぶようです。
●DTS Neo:X Cinema / Music
DA5800ESには11.1chまで拡張が可能なNeo:Xデコーダーが搭載されています。ですがパワーアンプは9コですのでそれまでなんですが、所有しているBD「エクスペンダブルズ2」にはDTS-HD MA 7.1に加え、Neo:X 11.1対応ミックスと記載があります。BD特典のDTSサウンドチェックがあるので試しに鳴らすと、スゴイ!!。ちゃんとフロントハイからしっかり音が鳴るではありませんか!ちょっと感動してしまいました。
BD「エクスペンダブルズ2」のパッケージ裏にDTS Neo:Xのロゴがあります。
※プレーヤーからビットストリーム伝送時のみフロントハイから音声が出ます。リニアPCMに変換してしまうと正しくNeo:Xでデコードされません。
ですが、完全に分離した音声ではなく、フロントスピーカーからも同じ音が聞こえてきます。音量比としてはフロントハイとフロント7:3ほどで上方向に音が定位します。マトリクスエンコードの限界点なのかもしれません。
流石に11.1chは....ムリです....(笑)
他の音源(2~7.1ch)に対して作動させると「ん~」と唸ってしまいます。Pro Logic IIzと効果がほとんど変わらないのです(笑)。フロントハイに割り当てる音声はやはり、サラウンド側から引っ張ってくるようで、さりげなく広がる音場感、ソフトにもよりますが悪く言えば曖昧な音になってしまいました。※ちなみに11.1ch時のフロントワイド(画像参照)ですが、フロントとサラウンドの間から音が出てますが、サラウンドの上方向で定位し、音が変なところまで吹っ飛んでしまいました。やっぱファントム定位は難しいようです。さらにDA5800ESにはスピーカーをファントムで再配置するスピーカーリロケーションがあるので処理が複雑化している故の挙動かもしれません。(それ以前にDA5800ESはフロントワイドのスピーカーパターン[Fw 5/4.1]をサポートしていません...)
●HD-D.C.S.(THEATER)
も9.1ch再生が可能です。聴感上、これらの中で最も実用的でした。「センタースピーカーリフトアップ」と併用することで映画館特有のサウンドスクリーンから迫るダイナミックな音場が楽しめますね。ソニーとしてもフルスペック[FH&SB 5/4.1]のHD-D.C.S.をカタログで薦める理由が分かります。
フロントハイから鳴る音としては、各chからの反射音と残響音がメインで前方一面に豊かな音場が広がります。フロント左が鳴るとフロントハイ右からは反射音、サラウンド右から音が鳴るとフロントハイ左から反射音... この中で最も複雑な立ち振る舞いをします。ある程度の上方向の情報を持っているようで、ヘリが頭上を飛ぶシーンでは立体感が感じ取れます。これを映画鑑賞時の常用モードとすることにしましょう。
●Vocal Height / Movie Height
ソニー独自のモードでVocal Heightでは主にライブ映像の音声をスクリーンの高さまで持ち上げる、センタースピーカーリフトアップ同様のモードです。サラウンドバックとセンタースピーカーからは音が出ず(2ch入力時)、フロントハイとフロント、サラウンドL,Rの6.0ch再生となります。
Movie HeightはサラウンドバックL,Rからも音声が出ます(2ch入力時)。文字通り、セリフが上方向に上がります。残響などの処理がなく、比較的素直な音しか出ないのでステレオ音源を上に持ち上げる場合は重宝するかもしれません。
4.まとめ
以上がフロントハイを導入した結果となります。結局、ソフトによりけりなトコロがありますが、ひとまず一定の戦果と情報が手に入れられたので良しとします。HD-D.C.S.の9.1chによる映画再生は圧倒的です。これだけでも大きな勝算です。やはり、ディクリートで音声が収録されない限り、フロントハイチャンネルの進化は下火でくすぶっているような印象を受けますね。そもそもフロントハイ自体、映画館の規格と異なるモノですから、どこまでいってもやはり家庭用のフォーマットな気がします。
※ごく一部のBDにはフロントワイド[Fw 5/2.1]の音声を記録した特殊な7.1ch BDもあります。ですが、フロントハイはBDの音声で規格されているにも関わらず、劇場用ミックスが存在しないため、フロントハイ7.1chという音声を収録したBDは私が知り得る限り存在しません。ドルビーアトモスが家庭用に登場したので別途フロントハイの音声を持ったBDは今後もリリースされないと推測しています。
特殊な例外としてStereosound社から発売、各種テスト信号を収録しているBDチェックディスク、にはバーチカルハイト=フロントハイが独立して収録されています。スピーカーパターンは[FH 5/2.1]の7.1chでフロントハイ用のスピーカー出力を持ったAVアンプであれば正常にデコード可能と思われます。
フロントハイによってセンターchを上に引き上げる機能のメーカー別呼称
ソニー製AVアンプ:センタースピーカーリフトアップ
ヤマハ製AVアンプ:ダイアログリフトアップ
デノン/マランツ/パイオニア/オンキヨー製AVアンプ:該当機能なし
ですが、映画で最も重要なセリフを上方向に修正し、スクリーンと一体化させるというアプローチは映画館の音を家庭で再現する方法としては非常に理にかなっています。収録されていない音を頑張って作り出し、仮想的に音場を拡げるのではなく、映画館に近づけるという点ではフロントハイの有用性があると考えています。